持ち家志向の低下で賃貸需要は堅調
住宅を所有する割合は低下し続けている
数十年前から低下傾向にある「持ち家住宅率」。年代別に見ると、やはり若い世代ほど持ち家比率が低いのですが、低下傾向が顕著なのが30代と40代。30代の場合、1988年には約50%だったものが2013年には約35%に低下しています。同様に40代は約70%から60%以下に減りました(図1参照)。賃貸に住む人が多い首都圏ではさらに低いというのが、皆様の実感でしょう。
都市部では賃貸を選ぶ人が多い
持ち家住宅率を地域別に見ると東京都が最も低く、以下、沖縄県、福岡県と続きます(図2参照)。3大都市圏全体では57.8%で、3大都市圏以外の地域の66.3%に比べ8.5%下回っています(図3参照)。
持ち家住宅率が低い都市部では、賃貸需要が今後も堅調と考えられます。住宅を所有する必要があると考える人は40〜50代でも減少しているので、都市部のファミリー層のかなりの部分が、賃貸志向にシフトしているといえるでしょう。
経済状況やライフスタイルの変化による賃貸志向
かつては、若くて収入が少ないうちは賃貸に住み、結婚や昇給を機に家を買うというステップが普通のことと思われていました。しかし現在は、土地や建物の所有願望が減っており、一生賃貸に住むという決断をする世帯も増えています。
その理由として最も多いのが、景気や雇用に関する不安から、住宅ローンを抱えたくないというもの。仕事や生活スタイルが変化し続けている時代なので、住み替えがしやすい賃貸住宅の方が低リスクだと考える人もいるでしょう。
ファミリー層を意識した賃貸住宅の企画
所有するのではなく借りる、家族が増えても賃貸に住み続ける……そんな意識の変化に対応するには、賃貸住宅も変わっていかなければなりません。とりわけ重視されるのが、ファミリーが長く住み続けることができる間取りや設備など。単身者向けとは一線を画するグレード感や品質、耐久性も必要です。
子育てしやすい住宅建設を様々な自治体が後押し
東京都では2010年度から「東京都子育て世帯向け優良賃貸住宅供給助成事業(モデル事業)」を実施し、その検証結果を踏まえて「子育てに配慮した住宅のガイドライン」を策定しています。また、2016年には「東京都子育て支援住宅認定制度」を創設。設備などが一定の基準を満たした住宅を「東京都子育て支援住宅」として認定しています。同様の試みは大阪市など各地の自治体でも行われています。
今、注目したい子育て支援住宅
東京都子育て支援住宅
- 認定を受けるメリット
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- 他物件との差別化
- 認定マークの活用による広告効果、信頼度アップ
- 東京都ホームページによる認定物件のPR
- 整備費の一部などに補助金の活用が可能
- 総合設計制度及びマンション建替法 を活用して容積率の緩和を受けることが可能
- 認定基準
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※抜粋
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立地
- 子育て広場、保育所、小学校、学童クラブなどの施設周辺立地
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住戸内に関する基準
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共用部分に関する基準
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子育て支援施設やキッズルームなどの設置、子育て支援サービスの提供に関する基準
- 保育施設と連携した育児相談、一時預かりサービス
- 医療施設と連携した夜間診療、訪問診療
- ベビーシッターなどの訪問保育サービス
- 入居者イベント、地域交流など
- 子育て支援サービスの情報提供
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その他
- 区市町村からの意見を反映した子育て支援施設などの設置、または子育て支援サービスの提供
子育てしやすい賃貸住宅で社会貢献
1階に保育所を誘致する、キッズスペースを設置する、住民専用のガーデンに水遊びスペースを設ける……こうした子育て支援マンションは、今後も増えていくものと考えられます。居住スペースにも安全性や勉強のしやすさなどへの配慮がなされ、子どもが成長しても快適な生活を送ることが可能です。
当社も安心して子育てができる賃貸マンションに着目し、大阪市で賃貸マンションとしては初の「子育て安心マンション」の認定を受けることができました。少子化対策が叫ばれる今日、こうしたマンションの建設は社会貢献にもつながります。今後も賃貸マンションの事業計画の選択肢の一つとしてご提案させていただきますので、ご興味があればぜひご相談ください。