東京をはじめとする都市部の路線価が上昇
都道府県県庁所在地を中心に2年連続で上昇した路線価
2017年7月3日、全 国の路 線 価が国税庁から発表されました。全国平均で前年比+0.4%と、2年連続で上昇しています。特に注目されるのが、都道府県庁所在地の最高路線価が前年より2都市多い27都市で上昇していること。東京や札幌、仙台、横浜、金沢、京都、大阪、神戸、広島、福岡の10都市では前年度比2桁の上昇となりました。
都道府県別の上昇率で1位となったのは宮城県(図1参照)。仙台市の地下鉄整備や、震災以降に近隣から商業機能が集結したこと、郊外部における大型物流施設の建設などが要因とみられています。
上昇傾向が顕著な東京都の地価
宮城県に次ぐ上昇率となった東京都で毎回話題になるのが、最も地価が高いことで有名な中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前。こちらの路線価は4,032万 円/㎡と、前年度(3,200万円)比で+26%の大幅な上昇となりました(図2参照)。これは32年連続の日本一であるばかりでなく、バブル期ピークの 3,650 万円を突破し、過去最高値を更新しています。
なお銀座では、昨年9月に開業した「GINZA PLACE」前が「鳩居堂」前と同額でした。今年の4月、松坂屋跡地に開業した「GINZA SIX」に代表される再開発が、銀座エリアの路線価を押し上げたとみられます。バブル期のような転売による地価高騰ではないので、今後も大きな値崩れはないと予想されています。
路線価とは
- 相続税路線価
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相続税や贈与税の算定基準となる土地評価額。単に「路線価」と言った場合はこちらを指す場合が多い。
主な道路に面した標準的な宅地の1㎡あたりの価格のことで、毎年1月1日時点で評価したものを国税庁が発表する。国土交通省が毎年 3月に出す公示価格の8 割程度を目安に、売買実例や不動産鑑定士の意見なども参考に算出している。
- 固定資産税路線価
固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基となる。3年に1回、1月1日を基準日として計算される。公示価格の7割が、固定資産税評価額になる。
堅調な日本経済や訪日客の増加が上昇要因
地価の上昇の要因には、日本経済が好調さを維持していることや、マイナス金利による不動産投資・再開発の活発化が挙げられます。また、外国人観光客の増加により宿泊施設や商業施設などの需要が高まり、大都市やリゾート地などの地価の上昇が目立っています。
個人消費や公共投資などに支えられ、日本経済は当面堅調に推移するとみられます。政府は東京オリンピックが開催される2020年に訪日する外国人の数を4,000万人とする目標を掲げているので、ホテル需要などが今後も地価の上昇を支えると考えられます。
開き続けている大都市圏と地方の差
冒頭で述べたように、地価の全国平均は上昇していますが、都道府県別だと上昇したのは東京都を含め13都道府県のみ。2県が横ばい、残りの32県は下落となりました。上昇率が突出している東京をはじめ、大都市圏も上昇していますが、それ以外の地域の上昇率は鈍く、二極化に歯止めがかからない状態となっています。
路線価と土地活用に直接的な関係はない
土地活用において地価をどう考えるか
一般的な不動産投資においては、路線価が高い土地が必ずしも好ましい投資対象とは限りません。将来値上がりする安い物件の方が投資対象として魅力的なので、値上がり要因となる開発計画などの情報をいかに早く入手するかが重要になってきます。
では、賃貸経営による土地活用の場合はどうでしょうか? 実は、通常の不動産投資と違い、所有する土地を活用して家賃収入を得る場合、路線価と土地活用に直接の関係はありません。地価の変動自体は、収益(家賃収入)とリンクしないからです。
しかし、継続的に地価が下がっている地方エリアでの土地活用には注意が必要です。住む場所としての人気の低下が疑われる場合は、当然、賃貸需要も少ないと考えられるからです。
現在の若者、つまり賃貸入居層となる年代は、東京圏1都3県への居住願望が高まっているという指摘もあります(国土交通省発表「土地白書」など)。東京・名古屋・大阪在住の若者が利用する交通機関は自動車から鉄道やバスにシフトしており、利便性の高い地域が人気です。こうした事実を踏まえ、当社では継続的にオーナー様の収益が見込める4大都市圏に絞って土地活用を提案しております。