建物は駅から徒歩数分の木造2階建てで、築40年以上を経過していました。オーナーはテナントに対し当該建物一部約60㎡を賃貸しておりました。テナントは飲食店を営業していましたが、現在は繁盛している様子は見られない状況でした。建物の一部に傷みがみられることから、9階建ての賃貸マンションに建替えることになりました。
飲食店が繁盛していないことを踏まえて、オーナーがテナントに対し立退料として金100万円を提示しましたが、テナントは応じませんでした。そのため、当職が受任することになりました。当職がテナントに対し退去を申し入れると、店舗に1,000万円以上の内装を要したとして、立退料として金1,300万円を求めてきました。立退料の金額で折り合いがつかないため、当職は訴訟を提起しました。数回期日を重ね、当方からは立退料としては最大300万円が限界である旨を伝えました。裁判所は立退料として金500万円を支払うとの和解案を提示しました。店舗が繁盛しているのか否かで立退料の金額が異なることから、時間をかけて裁判所の判断を求めるか、又は金200万円を加算することになるが、早期解決の観点から裁判所からの和解勧告を受け入れるのか、オーナーと話しました。オーナーにはご決断頂き、立退料の金額は増額になるが、早期解決の観点から、裁判所からの和解案を受け入れて、金500万円を支払って、テナントは退去しました。その結果、賃貸マンションに建替えることができました。