必要な補償が得られる保険選びを考える
水災や地震のリスクが高い日本
近年、日本では水害や地震による被害が相次いでいます。「令和2年7月豪雨」では、7月3日から31日にかけて、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で集中豪雨が発生し、多くの人が避難所暮らしを余儀なくされています。梅雨前線が東北地方に移動してからは、秋田県や山形県で大雨となり、最上川の氾濫などがニュースとなりました。
今年の7月上旬(1〜10日)に観測された全国の降水量の総和は、1982年以降の旬ごとで最大だった2018年7月上旬(西日本豪雨)を超えています。また、7月上旬に1時間50mm以上の降水が発生した回数は82回で、1982年以降最多だった2019年10月中旬(令和元年東日本台風)の69回を超えました。総務省消防庁による住家被害の状況(8月24日15時時点)は、全壊319棟、半壊2009棟、一部破損2230棟、床上浸水6985棟、床下浸水6949棟となっています。
また、活断層が多い日本では年間1,500回以上の有感地震(震度1以上)が発生しています。日本の国土面積は全世界の約0.28%ですが、マグニチュード6以上の地震の約20%は日本で起きています。「首都直下地震等による東京の被害想定」(2012年4月公表)では、東京湾北部地震 (M7.3)が起きた場合、建物被害は約30万4,300棟と予測しています(火災を含む)。
災害に強い建物はリスク対策の基本
こうした災害の被害を軽減するには、建物の強さが重要です。当社施工の建物は、構造の要となる柱と梁の耐震性を追求。コンクリートの質にもこだわり、建物を強固なものとしています。そのかいあって、阪神・淡路大震災や東日本大震災、2018年の大阪府北部地震では、当社の施工物件・建設中物件において、全半壊などの大きな被害はありませんでした。
当社施工の建物では、建物の構造を頑丈にするだけでなく、建物と地盤の間に免震装置を設ける免震構造をお選びいただくことも可能。土地の性質や予算などを踏まえ、最適な構造をご提案いたします。
安心な賃貸経営に必須の火災保険
災害への備えとして保険は欠かせません。その基本となるのは火災保険で、補償は自然災害にも適用されます。建物はもちろん、家具全般などの動産も補償の対象ですが、水災に関する補償をはずしてしまうと、例えば床上浸水等で家具や家電製品などに損害が出たとしても補償されません。ハザードマップで確認し、水災の恐れがある場合は水災リスクを必ず付帯しましょう。(図1参照)
火災保険は、建物のみ・家財のみ・建物と家財両方の3タイプがあり、賃貸物件のオーナー様が加入するのは建物を対象とする火災保険。入居者様が加入するのは家財の補償付きの火災保険です。
特約を付帯することで補償の対象を拡大
居住が困難になるほどの被害に備え、オーナー様が加入する火災保険に家賃補償の特約を付帯することもできます。これにより、家賃収入が途絶えても損失が補償されます。(図2参照)
通常、建物の不具合による漏水などは火災保険の対象外ですが、補償する特約もあります。排水設備による水漏れ事故や室内の汚損、共用部分の照明の破損による損害の補償も可能になりますが、どのような補償を付帯できるかは、保険会社や代理店に確認する必要があります。
地震被害の補償には地震保険が必要
保険で地震にも備えたいところですが、地震による損害は火災保険の対象外です。補償を受けたいなら、地震保険に加入する必要がありますが、地震保険のみの加入はできません。地震保険は火災保険に付帯する形でしか契約できず、補償金額は火災保険の金額に左右されます。
地震保険では、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失によって、保険の対象である建物または家財が損害を受けた場合に保険金が支払われます。補償対象となるのは、居住用の建物および、その建物に収容される家財(生活用動産)。住居として使用されない工場や事務所、有価証券、自動車などは対象外です。
防災力を強化した建物でリスクに備える
災害時に頼りになる防災力強化マンション
近年の風水害では、避難所生活を余儀なくされる人が多く、長期化が問題になっています。新型コロナウイルス感染の危険を考えて避難所の利用を躊躇するケースもあり、今後は在宅避難を選択したいと考える人が増えると思われます。
当社が設計・施工した建物の中には、こうしたニーズに応えられる「防災力強化マンション」があります。防災倉庫を11階以上の共用部に設置するほか、エレベーターを地震時の安全装置が付いたものにするなど防災力を高めており、大阪市の防災力強化マンションに認定されています。(事例参照)
事例
防災力強化マンション 認定物件
当社が設計・施工した、大阪市の「防災力強化マンション」認定物件。
高層住戸の災害後の生活の確保
防災倉庫を11階以上の共用部に設置
防災アクションプラン
被災時のマンション住民の生活基盤の確保や、地域への貢献に寄与するため、マンションの防災上の特色(津波避難ビルに登録)等について明文化し、建物賃貸借契約書における特約事項に定める。
大阪市「防災力強化マンション」認定制度の概要
①建物の構造
- 耐震性(住宅性能評価「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」等級1、「耐震等級(構造躯体の損傷防止)」等級1)
- 耐火性(耐火建築物、住宅性能評価「耐火等級(延焼の恐れある部分(開口部))」等級2、「耐火等級(延焼の恐れある部分(開口部以外))」等級4) ※ショウエイ靭は耐震等級2
②建物内部の安全性
- 住戸内の地震対策(家具転倒防止マニュアルの作成・配付、耐震枠付き玄関ドアの設置等)
- 地震時の安全装置が設けられたエレベーターの設置
- バールやジャッキ、布担架など被災時に役立つ救出救助資器材の設置
③避難時の安全性(避難路に面さない敷地)
④災害に対する備え
- 食料、食事の確保(かまどベンチの設置およびかまどベンチ用燃料等の備蓄)
- し尿処理の確保(マンホールトイレ用マンホールおよび災害用トイレキットを1セット設置)
⑤防災アクションプランの策定
当社は創業以来、建物の安全性を高めるノウハウを蓄積し、近年の様々な法改正にもいち早く対応しています。さらに、浸水被害を防ぐために床を高くする、防潮堤で津波に備えるといった特殊な工夫を盛り込んだ物件も手掛けております。
災害に強い建物は、オーナー様の大切な資産を守るだけでなく、入居者様にアピールできる大きな付加価値となります。建物だけでなく、保険のオーダーメイドに関するご提案も可能ですので、ぜひ当社にご相談ください。