FEATURE
「逆転現象」
分譲マンション高騰で
ファミリー層賃料上昇中
コロナ禍の収束が進むなか、
首都圏及び大都市圏では家賃が
上昇しています。
著者:生和コーポレーション編集部
監修者:生和コーポレーション編集部
当記事は、土地活用サポートで50年以上の歴史をもつ生和コーポレーション編集部が、賃貸マンション市場の動向と競争力について解説します。
分譲マンション高騰でファミリー層賃料上昇中
シングルよりもファミリー層広い面積帯が市場をけん引
2つの図表は、東京23区の面積帯別平均家賃(図1)と平均家賃指数推移(図2)を表したものです(2024年8月/アットホーム調べ)。
これによると、70㎡超(大型ファミリー向き)を除く3つの面積帯で家賃が上昇しているのがわかります。なかでも、30〜50㎡超(カップル向き)と50〜70㎡(ファミリー向き)が急上昇中。今、賃貸市場で何が起きているのでしょうか。
図1: 東京23区の賃貸マンション面積帯別平均家賃 (2024年8月)
(差額)
(差額)
出典:全国主要都市における「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(2024年8月)アットホーム調べ
「首都圏の賃貸需要は、コロナ禍前の状況に完全に戻ってきています。その要因は、オフィス出勤が増えて『職住近接』を求める傾向が強まったこと、さらに新築マンション高騰に伴って中古マンションの価格も上昇し、購入をためらう層による賃貸マンションへの注目度が高まっていることが挙げられます」と片岡部長。「弊社でも、60〜70㎡の2LDKといった広いタイプから入居が決まるケースが増えています」と語ります。大阪市内や福岡エリアでも、ファミリー層の家賃上昇など同じような傾向が見られるとのこと。
かつての賃貸マンションは、シングル用のワンルームで住戸数を増やして収益を上げていました。ところが昨今は、増加するファミリー層の需要に応えることで、より利回りが高くなるという「逆転現象」が起きているのです。
図2: 東京23区の賃貸マンション平均家賃指数の推移 (2015年1月=100としたもの)
出典:全国主要都市における「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向(2024年8月)アットホーム調べ
着実なマーケティングと入居を促す付加価値を提供
こうした賃貸市場においては、物件の競争力が問われます。「現地訪問による確認、各地域の不動産ネットワークを生かしたヒアリング、第三者機関のデータ活用など多角的な調査を重ね、地域特性に合った企画や設計、家賃設定を行うことは競争力の大前提。各鉄道沿線の開発エリアを注視し、どこにどんな可能性があるのかを『読む』ことも欠かせません」と片岡部長。
また、賃貸マンションでは付帯設備などの付加価値も入居率を高める要素の一つ。「入居者に人気の設備ランキング2023」(全国賃貸住宅新聞調べ)の「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まるTOP10」では、シングルとファミリーともに1位と2位が同じで、それぞれ「インターネット無料」「エントランスのオートロック」という結果でした。片岡部長によると、「弊社も、インターネット無料・宅配ボックス・スマートロックなど、入居者様の利便性を考慮した設備の標準仕様化に取り組んでいます。オーナー様には、点検やメンテナンスはもちろん、将来の長期修繕計画を見据えて準備をするなど、手厚い管理体制を提供しています」とのこと。
では、今後の賃貸市場はどうなるのでしょうか。「東京23区だけでなく、大阪・福岡・名古屋を含む4大都市圏は、ファミリー向けニーズが旺盛なため、新築・築浅のファミリータイプの供給が追いついていないのが現状です。また、これからは高齢者の単身世帯が間違いなく増加します。賃貸マンションを通して、そうした社会の課題解決に寄与することも、私たちの役割だと考えています」
【コンセプト賃貸】特定のテーマで差別化を図って入居率を高める
コンセプト賃貸は、一つのテーマに特化した賃貸物件のこと。「音楽・楽器演奏」「アウトドア」「車」「ペット共生」「コミュニティ」などの趣味やライフスタイル、「子育て応援」「防災強化」といった暮らしのサポートなど、特定のテーマに合ったデザインや設備、環境を整えることで、一般的な賃貸物件と差別化を図ることができます。
オーナー側のメリットとしては、ニーズが合致する入居者への訴求力が高いため、多少家賃を高く設定しても入居を希望するケースが多いこと、長期入居の可能性が高いことなどが挙げられます。
コンセプト賃貸は、暮らしにこだわる入居者ニーズに対して、どれだけ応えられるかが鍵となります。
地域に開放された「コミュニティ賃貸」
ペットと楽しめる「ペット共生型賃貸」
【Owner’s Style】遠隔地で賃貸マンション経営 トータルサポートにより深まる安心感
10年前から、軽井沢に居住しながら墨田区の賃貸マンションを経営されているSさま。
立地を生かしたマーケティングで夫婦2世帯などの入居者が絶えない状況が続いているとお喜びです。
1LDKで潜在ニーズをキャッチ 的確なプランで高い入居率
Sさまが、東京都墨田区の運河沿いに7階建て18戸の賃貸マンションを建設したのが、2014年のことでした。当時、木材業を営んでいたSさまですが、将来を考慮して、駐車場として貸していた土地を有効活用することにしたのです。 「建設にあたっては、2社に声を掛けていたのですが、私たちも一世一代の真剣勝負。多くの物件見学や事業計画の精査など、生和さんにはいろいろとお骨折りいただき、深く信頼することができました」と振り返ります。 賃貸住戸は42〜45㎡の1LDKで、運河沿いに建つため眺望も良く、スカイツリーも間近に見えます。立地するのは、かつては木材の問屋などが多かったエリアですが、人気の錦糸町にも近く、都心へのアクセスが良いことから、昨今は周辺にマンションが林立する一画。「生和さんの提案は、周囲に多いワンルームや1Kではなく、当時まだ少なかった広めの1LDKでした。共働き夫婦や結婚前のカップルをターゲットにしたのが功を奏しましたね」とSさま。外観や内装には娘様の意見も反映して住みやすさを追求した結果、現在も満室状態が続いています。
総合サポートで安心経営今後の課題にも向き合う
営業所閉鎖と同時に軽井沢に住み替えたSさまは、花や野菜を育てながら、穏やかに暮らされています。「遠隔地にいながら、何らの心配もなく生活できているのは、設計や施工はもちろん、一括借上げシステムによる入居者管理や建物管理といった生和さんの総合的なサポートのおかげです」とのこと。そして最後に、「今後は、設備交換や大規模修繕といった課題に向き合うことになります。生和さんと相談しながら、しっかりと進めていきたいですね」と締め括ってくださいました。
7階建て18戸の賃貸マンションは、温かみのある色調の外観デザインに、こだわりが生かされています。
運河沿いに建っていることから、バルコニーからの眺望も抜群。
エントランスホールは、中央のモザイクタイルと左右の縦格子が心地よさを演出しています。
広めの1LDKは、暮らしやすさを考えた空間構成が魅力の一つ。落ち着きのある内装が特長となっています。
マンション名のロゴは、娘様のセンスが生かされ、飽きのこないやさしいフォルムが印象的です。
趣味を楽しみながら過ごされているSさまご夫妻。たくさんの草花に囲まれた軽井沢のご自宅前にて。