自分でできる耐震診断。耐震補強のてびき

ご自宅は大丈夫ですか？

大地震への備えで最も大切なのは住居の耐震性の確保

日本には2,000ヶ所以上もの活断層が存在します。全国どこであっても大震災に遭う可能性を否定できません。内閣府が2006年に発表した「首都直下地震による東京の被害想定」では、負傷原因の実に半数近く（46.2%）が「建物の倒壊」なのです。

震災を無事に生き抜くには、まず身の安全を確保することがもっとも大切。「倒壊しない住居に住む」ことは、そのための最低限の条件なのです。

しかし日本では、既存の木造住宅の約4割に十分な耐震性が備わっていないのが現状です。これは1981年の建築基準法改正以前の耐震基準（=旧耐震）のめやすが「震度5強で倒壊しないこと」を想定しており、その時期に建てられた住宅が今も多く残っているためです。そのような住宅は老朽化を迎えているケースも多く、一刻も早い耐震補強が望まれますが、皆様のご自宅は大丈夫でしょうか？

実は、国土交通省住宅局が木造住宅についての自分でできる耐震性チェックテストを監修しています。ご自宅の状況を気軽に確認するにはうってつけですので、ぜひお試し下さい。

まず何をどうすれば？
補強工事の流れを知る

ご自宅の耐震性に不安があっても、補強工事までの手順がわからないために躊躇する方も少なくないと思います。そこで大まかな流れをご紹介しましょう。ステップは3つ。「耐震診断」→「耐震補強計画」→「耐震改修工事」です。

まず「耐震診断」では、建築士が設計図面や建物を目視するなどして、建物の強度やバランスを診断。耐震工事の必要性と、改修工事後の耐震性を確認。

続く「耐震補強計画」では、診断の結果を受け、その建物の性能をどの程度向上させたいのか「目標」を立てたうえで、設計図を作成。その段階で、工事金額の概算が出てきます。

最後が「耐震改修工事」の段階。実際に施工を担当する建築会社などから出てきた見積もりをチェックし、納得できるものであれば契約を。工事が始まり、基礎の補強、耐震壁の増設、筋交いの設置、屋根の軽量化など、設計図に基づいた補強が施されれば、耐震補強工事は完成となります。

各自治体の補助を賢く利用しましょう

意外に知られていないのが、各自治体からの補助の存在。例えば、東京都新宿区では、要件を満たした案件について前記の各ステップで補助制度を設けています。予備診断として建築士を無料で派遣してくれるほか、詳細な耐震診断・補強設計費用に対しては、上限額15万円の補助があり、工事の段階では、最大50万円～300万円の工事費用と最大8万円の工事監理費用を補助してくれます。（自治体によって異なる為、詳細は各自治体にお問い合せください）

不安なことも多い昨今ですが、「備えあれば憂いなし」とも言います。これを「安全な暮らし」への意識を高める良い機会ととらえ、必要な備えを十分に行なったうえで、なるべく不安の少ない生活を送りたいものです。