消費税の増税が決定的な状況に
土地活用をお考えの方、まだ手遅れではありません
ご存知のように消費税の増税法案(「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する法律案に対する修正案」)が成立し、来年2014年4月1日に現行の5%から8%へ、さらに1年半後の2015年10月1日には10%へと2段階で増税される予定となっています。
土地活用で賃貸住宅の建築をお考えの方にとって、建築にかかる金額が億単位と大きいだけに、消費税の負担増は経営にも影響を与えます。
では、現行税率5%の適用はいつまで受けられるのでしょうか。
原則では不動産に対する消費税は「引渡し」を受けた時点の税率が適用されますが、賃貸住宅の建築のように完成引渡しまでに長時間を要する請負契約については、増税法案の中で経過措置が設けられています。
下がその早わかり図。税率改正施行日の6カ月前の前日、今年2013年9月30日までに建築請負契約を締結した場合は、建物の引渡しが施行日の来年2014年4月1日以降になっても改正前の税率5%が適用される予定となっています。
賃貸マンションのような大規模な建築の場合は、長期間の工事になります。契約後に内容が変更になり、追加金額が発生することもあるでしょう。その場合は、2013年9月30日までの代金は税率5%が適用され、同年10月以降の追加金額については税率8%が適用の予定となっています。
そこで知っておきたいのが、経過措置の対象となる契約について。経過措置では、工事の請負にかかる契約だけでなく、工事の施工に関する調査、企画、立案、監理、設計にかかる契約と、測量・地質調査にかかる契約も対象になります。
避けたいのは、消費税対策だけを優先し、9月30日までに概算の見積予定金額で請負契約を締結してしまうこと。契約後に内容が変更になり、完成時に予定金額よりオーバーしてしまうと8%、あるいは10%の税率の適用を受ける可能性があります。
駆け込み需要が予想されますが、トータルな費用を算定した建築請負契約をするために、より時間的な余裕を持って、綿密な計画をすることをお勧めします。
駆け込み需要で物件数アップ!差別化が成功のカギ
消費税の増税により賃貸住宅建築の駆け込み需要が予想されます。前回消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年の増税時では、1年以上前から駆け込み需要が始まり、1996年度には新築賃貸住宅の着工戸数がピークを迎えました。
駆け込み需要が増えると、何が起こるのでしょうか。
賃貸住宅オーナーにとって一番の問題点は、新築ラッシュで物件数がアップし、入居者確保の競争が激化する恐れがあることです。となると必要な対策は、いかにしてライバル物件と差別化を図ることができるかということ。間取り・設備・家賃・デザインなどはもちろんのこと、入居者確保の方法、広告、運営、管理など、先々のことまで見据えた上での信頼できるパートナー(会社)選びが重要でしょう。
また、駆け込み需要が始まれば、着工自体が遅くなることも懸念されます。増税前に、土地活用を考えている土地オーナーは、早めの着手をオススメします。
リフォームなどの高額支出も増税前に
消費税が増税されれば、管理会社へ支払う管理費や物件の修繕費などにも消費税がかかるので、賃貸住宅オーナーにとっては支出が増えてしまいます。
したがって、できるだけ高額の支出は、増税前に前倒しして行ってしまうというのも得策でしょう。
消費税増税についての経過措置での工事請負契約の対象は、新築、建て替えに限ったものではありません。建物の修繕、設備の導入、太陽光発電システムの設置なども、工事請負契約によるものであれば、現行税率が適用されます。
既築マンションにおいても、来年度以降に予想される物件数の増加を見据えて、ライバル物件と差別化が図れるように、間取りや設備、建物の状態などを見直し、増税前にリフォームや耐震化、防犯強化などの早めの対策を打っておくのも良いのではないでしょうか。
資産の貸付けについても経過措置が適用されます
他にも、事務所等の賃貸契約など、資産の貸付けに係る契約(いわゆる賃貸借契約)に基づき、施行日前から施行日以後引き続きその契約に係る資産の貸付けを行っている場合、契約内容が一定の要件を満たしていれば、施行日以後に行うその資産の貸付けに係る消費税については、旧税率が適用されます。
一定の要件とは、
- (1)2014年3月31日までに引き渡し、貸付を開始すること
- (2)2014年4月1日以降に引き続き貸付を行っていること
- (3)貸付の期間と対価の額が定められていること
- (4)事業者が対価の額の変更を求めることができないこと
- (5)契約期間中にいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと
以上の(1)~(5)を全て満たしていることが必要で、定期借家契約などが該当します。
但し、一般的な不動産契約では「賃料が経済事情の変動、公租公課の増額、近隣の同種物件の賃料との比較等によって著しく不相当となったときには、協議のうえ、賃料を改定することができる」といった旨の規定があるので、そのような場合には上記(4)に該当しないため、経過措置を適用できないこととなります。