アパマンローンの審査基準とは?
アパート・マンションローンの3つのポイント
賃貸住宅経営をはじめるにあたっては、まずマンションの建築資金をいかに調達するかが要となります。資金調達のスタンダードな手法は、アパート・マンションローンです。かつて、バブル経済と呼ばれた時代には不動産投資がもてはやされ、金融機関は土地さえあれば金を貸してくれたものでした。しかし、今はそんな時代ではありません。バブル崩壊、リーマンショックを経験し、金融機関の財布の紐は固くなっています。特に焦げ付きを未然に防ぐため、個人に対する融資の条件は厳しくなっていると言われており、金融機関ごとに独自の審査基準を設けて融資の実行を判断しています。
アパート・マンションローンの審査基準は、各金融機関によって異なります。新築の賃貸マンションの場合のローンは、建築する土地建物を担保として貸付けする"担保"ローンであり、賃貸経営を営む"事業"ローンと2つの性格を併せ持っています。したがって、一般に(1)土地の担保力 (2)賃貸物件の事業性 (3)オーナー(=経営者)の属性 の3点を総合的にみて融資可否を判断していると言われています。
では、まず「土地の担保力」からみていきましょう。
アパート・マンション経営のノウハウ本などでは、土地の担保価値の計算式について次のように書かれています。
土地の担保価値=(路線価×奥行補正率)×土地面積(平方メートル)×70?80%
ここでいう路線価とは、土地を評価するために国税庁が取り決めた、主要道路に面した土地に対する評価価格のこと。この路線価に土地それぞれの条件を加算・補正して計算していきます。道路に接している間口が1箇所で1区画(1筆)であれば上記の公式に記載されている路線価を使ってある程度は計算できます。2つ以上の道路に面している場合(角地)は、使い勝手が良いとのことで少し評価が上がります。
<(正面路線価×奥行補正率)+
(側方路線価×奥行補正率×加算率)>×土地面積×70?80%
さらに補正率には道路と接している『間口』も関わってきます。この『間口』が狭いほどかける補正率は低くなります。
次に問題になるのが、「賃貸物件の事業性」。
土地の担保評価のみでの融資額決定では多額の自己資金や、より多くの担保の提供が必要となってしまいます。そこで、賃貸物件の事業性を見てもらうことで、限度額以上の融資を引き出すことが可能となる場合があります。これには、一般的に「収益還元法」が用いられます。これは、対象不動産の年間収益を想定利回りで除算し、価格を求める手法で、不動産から生み出される収益そのものを担保として評価する方法です。より確実な評価ができることから、金融機関はこの考え方も併用して物件の評価をします。
最後のポイントは、「オーナー(=経営者)の属性」です。金融機関では、債務者(=この場合はオーナー)については以下のようなことを確認する場合が多いようです。
- □職業・勤め先・勤続年数・年収
- □家族構成、現在の住まいの種類(持家・借家など)
- □経歴
- □資産(預貯金・有価証券・不動産など)
- □年間の各種税金支払額、滞納の有無
- □既存借入額・年間返済額
- □他物件の収支(すでに賃貸経営をしている場合のみ)
さらに書類審査後は、クレジットカードや各種ローン、ふだんの仕事や健康状態などオーナーの信用力も審査対象にするようです。つまり、アパート・マンションローンにおける金融機関の融資判断では、オーナー本人の『安定性』と物件の『担保力』や『収益力』のバランスが保たれ、無理のない『経営力』を有しているかどうかが鍵となってくるのです。
アパート・マンションローンの金利が1%上昇すると
日本銀行の黒田東彦総裁は、今年4月26日の金融政策決定会合後の記者会見で、「2015年度には2%程度の物価上昇率に達する見通し」と述べました。
これに伴って2年後には長期金利も上昇し、住宅ローン金利(アパート・マンションローン金利)も上昇すると見られています。ローンを組む場合、「金利」「返済期間」「借入金額」の3つが重要な要素となります。いずれの要素も、数値が大きくなればなるほど返済負担が増えてしまいます。たとえば、賃貸アパートやマンションの建設費用の一部として5,000 万円を借入するとしましょう。35年の元利均等返済で毎月一定額を返済する場合の、金利2.5%と3.5%で借入した場合の比較は表1の通り。金利はわずか1%の違いでも総支払額で1,000万円以上の差がつきます。また、金利3.5%として、返済期間を10年短縮した場合も、表2の通り総支払額で1,000万円以上の差がつきます。今後の先行きの金利上昇を見越した住宅建設や、ローン借り換えに踏み切るケースの増加も予想されるでしょう。
魅力ある物件になっていますか
土地の形状や環境、エリアの特性によって求められる物件は異なります。にもかかわらず、建築会社によっては、同じタイプの建築物(企画商品)をあらゆる土地に無理矢理はめこむようなことがあります。それでは土地の魅力を最大限に活かすことができなくなります。その結果、入居者にとって付加価値のない物件となり、事業計画通りに入居が決まらず、1坪辺りの収益(利回り)も下がってしまうことが考えられます。また一括借上を利用していても、借上賃料固定期間中に賃下げ交渉される可能性もゼロではないのです。企画商品がぴったりとはまる土地ならいいですが、そうでない場合は、利回りを上げ、入居者に長く住んでもらうためにもオーダーメードのニーズに応えられる会社に依頼することが、賢明でしょう。
『アベノミクス』効果で不動産価格も上昇!?
『アベノミクス』効果は、不動産市場にも影響を及ぼすと見られています。住宅業界では、安倍政権誕生後の昨年末以降、自宅の建て替えや、所有する土地を活用して賃貸物件を検討する動きが目立ってきたそうです。これは、物価が上昇すれば現金の価値が下がるため、預貯金を不動産に振り向けた方が賢明だという判断があるためです。そうした状況から金融機関が融資に対してより積極的に動けば、不動産市場に投機マネーが流入し、不動産価格が上がる可能性もあります。