基本のノウハウを知れば怖くない、ペット可・共生型賃貸経営。
それなりの苦労があるも入居率アップの可能性大
ペット可・共生型賃貸のメリットといえば、やはり入居率アップの可能性が高まることでしょう。ペット不可物件で断られた入居検討者をはじめ、物件数の少ないペット共生型賃貸に限定して部屋探しをしている入居検討者もいますから、こうしたターゲット層を獲得することができます。
また、ペットと暮らす入居者は、新たに物件が見つかりにくいということもあり、比較的長期間の契約が見込める点もポイントです。快適なペットライフを送ることができるペット共生型賃貸となればさらに希少で、どちらも高い稼働率が期待できるでしょう。
デメリットは、ペットを飼わない入居検討者の選択肢から外れること、臭いや汚れ対策に注力しなければならない、ペット共生型の場合は、初期投資がかさむといった点です。
首都圏のペット可・共生型賃貸は供給不足の状態
いまや供給過剰といわれる賃貸アパート・マンションですが、ペットが一緒に住める物件となると話は別ではないでしょうか。
新築や築浅の賃貸住宅で、ペットとの同居が許されているものが少ないのはもちろん、ある程度経年変化のある物件でも豊富とはいえず、ペットと住める部屋探しに苦心している入居検討者が多くいます。
実際、首都圏の賃貸住宅物件数に占める「ペット可」物件の割合を見てみると(下記表参照)、共同住宅では「ペット可」が1割強。ペットに癒しを求める人が少なくない中、これではペット可・共生型賃貸住宅は十分な供給があるとは言えないのではないでしょうか。
さらに、ペットを飼うことで子供の情操教育に役立てるファミリーをはじめ、高齢化や晩婚化が進む昨今、ひとり暮らしや子供を持たない夫婦など、ペットを家族として迎える世帯は今後も増えることが予想されます。
こうした状況を鑑みても、賃貸経営にペット可ニーズを採り入れることは、競合との差別化や、入居率アップに大変有効な一手であるといえるでしょう。
しかし、共同住宅ではペットに関するトラブルも多く、ペット可・共生型賃貸はオーナーにとって敷居が高いのも事実です。また、その一方で、ペット可・共生型賃貸に関するノウハウを知り、ポイントを押さえて賃貸経営を成功させている例も少なくありません。
なにより、ペットと住める賃貸は、入居者にとって大きな魅力。オーナーにとっては、高い入居率を維持するための有益な手段であり、競合に差をつける大きなアピールポイントといえるのです。
「ペット可」から一歩進んだ「ペット共生型」賃貸
賃貸住宅では多くの場合、「築年数が経った」「駅から遠い」などの物件の短所をカバーする手段として「ペット可」とすることが多いようです。
しかし、途中からペット可に切り替えた場合、すでにいる入居者にペット嫌いの方がいたり、「ペットの鳴き声がうるさい」「臭いがする」「子供が怖がる」などの苦情や、入居者同士のトラブルが起こったりするリスクも高まります。
思い切って計画段階から「ペット共生型」賃貸とした場合はどうでしょう。
ペットが出入りするための小窓や、ペット用足洗い場、汚れや引っかき傷に対応するペット用クロスなど、ペット専用の設備や飼育規則等をあらかじめ設定しておくことで、意識の高い入居者を募り、人もペットも快適に過ごせる環境を整備することができます。
また、建設予定地の周辺に他のペット可・共生型賃貸がどのくらいあるかを調査しておくことも大切。周囲に競合が少ない程、入居者獲得の可能性が高く、仮に、単に「ペット可」とした物件が多くても、ペットと人の快適な暮らしに特化した設備などがあれば、入居検討者に選ばれる決め手となるでしょう。
ペット共生型賃貸の建築は、経験豊富な施工業者を選ぶ
前述のようにペット共生型賃貸では、ペットのための設備や仕様を用意する必要があり、そのための業者選びも重要となってきます。
ペット専用の設備には、玄関のリードフック、汚れや傷がつきやすい範囲だけを貼り替えられるクロス、室内でペットの出入り口となる小さな扉、散歩後の足洗い場、ペットの日向ぼっこスペースなど、数多くのアイテムがあります。これらは、ペットと飼い主の日常生活をよく研究して作られたもの。中には設計の段階から組み込んでおかなければならない設備もあり、ペット共生型賃貸住宅を建築する場合は、専門業者や、ある程度のノウハウを持つ業者に依頼するのがベストです。
「ペット規約」を設けスムーズで確実な運営を
ペットと暮らす入居者との約束事をあらかじめ決めておくことも、大変重要です。
たとえば、ペットの種類、大きさ、頭数をはじめ、エレベーターなど共用部での禁止事項、また、万が一トラブルが発生した場合はどのように対応するのかといった項目について、「ペット規約」を作成しておきましょう。もう一歩進め、ペットをしつけ教室に通わせることを入居条件とするのもいいでしょう。
細かいようですが、こうした規約を定めておくことで、入居者間はもちろん、オーナーと入居者とのトラブル予防対策になり、スムーズな賃貸経営につなげることができます。
今後、賃貸アパート・マンションの建設予定があり、資金に余裕がある場合は、ぜひ、ペット可・共生型賃貸を検討してみてはいかがでしょうか。