土地の活用方法によって変わる相続税
アベノミクス効果により三大都市圏で地価が上昇
いよいよ2015年1月より相続税が上がります。主な改正内容は以下の2点。①基礎控除額の4割減と、②税率の一部引き上げです。(表1)
そんな中、相続財産の約半分が不動産という興味深いデータがあります。そのほとんどが土地で、2012(平成24)年度は土地がおよそ46%を占めました。ちなみに、地価が高かった1994(平成6)年ではおよそ71%。相続財産に占める土地の割合は、地価の下落とともに減少してきたというわけです。(表2)
そしてここにきて、アベノミクス効果により地価が上昇し始めています。今年3月に発表された公示地価によると、全国の地価変動率は6年連続で下落したものの、三大都市圏では住宅地・商業地とも6年ぶりに上昇に転じました。積極的な景気対策が地価を押し上げた格好で、すべての都道府県で下落率が縮小、または上昇しています。
土地の資産価値上昇と増税で税負担が増すことは必至
不動産を所有している人にとって、地価の上昇は資産価値が上がるということで喜ばしいこと。けれども相続税のことを考えると、喜んでばかりもいられません。今の勢いで地価が上がっていけば、20年前のように7割とはいかないまでも、財産に占める土地の割合が高くなっていくことは十分に予想されます。
そして、以前よりお伝えしている2015年からの相続税の増税。資産価値が上がり増税も行われるということで、今よりも税負担が増すのは必至です。土地を相続させる人もする人も、活用方法を検討することは喫緊の課題といえるでしょう。
ツケは子どもたちに回さず将来を見据えて対策を
なお、国土交通省の調査によると、居住している土地以外の土地を所有している人はおよそ20%。そしてその中の約40%が未利用地を所有しています。それらの人に土地を利用していない理由を聞いたところ、「遺産として相続したが、今のところ利用する予定がないため」がトップ。つまり、多くの場合は遺産として相続し、またそのまま放置しておくということで、これでは相続税や固定資産税をただ払っているだけということになります。(表3)
未利用地を遺すということは、子ども世代にツケを回すということにもなります。子ども世代側に立ってみると、こうした土地を相続するということは、相続をめぐって親族間で裁判を起こさなくてはならなくなったり、あるいは泣く泣く土地を手放すということにつながりかねません。
子どもたちの長い将来のことを見据えて、元気なうちに相続税対策を講じる。それが親の愛情といえそうです。
賃貸併用住宅への建て替えがおトク
このままでは大幅にアップする可能性のある相続税。また、基礎控除額が減ることから、相続税が新たに課せられるケースも増えそうです。
そこでご紹介するのは、節税対策にもなる自宅の建て替えシミュレーション。例えば、古い自宅を賃貸併用住宅に建て替え、1/10の面積を自宅として使い9/10を賃貸にします。相続税は土地や建物の評価額などによって変わりますが、例えば①のケースの場合、試算では相続税がゼロとなります。
さらに建て替えによる新しくて快適な住環境と、賃貸部分の収益も確保。この方法は、2世代同居を新たに始める際にもおすすめです。
古くなったアパートを建て直すケースは②の場合です。節税対策にもなり、立地・間取りが良ければ入居率もアップ。安定した経営が望めます。