値上がりが予想される建築関連費
金融緩和によって活発化する不動産開発
デフレ脱却を目指す「アベノミクス」がスタートして1年余り。その効果についてはまだ評価が定まっていませんが、いくつかの指標が期待先行で好転しつつあるようです。
東京オリンピックの開催が決まる前の2012年ごろから、不動産市況には回復の兆しがありました。アベノミクスによる大規模な金融緩和によって市場に大量の資金が流れ込んだことも、不動産開発を後押ししています。震災復興事業が本格化したことも一因でしょう。
需要が高まると上昇が予想される建設資材
建設資材の需要も高まっています。セメント、木材、鋼材などが今年になって10%以上の増加が見込まれているのです。
現在のところ、需要と供給のバランスが大きくは崩れていないようなので、価格の変化が少ない建設資材もありますが、マンションやビル建設に使用される異形棒鋼やH型鋼、コンクリート型枠合板などは値上がり傾向を示しています。
人手不足によって懸念される人件費の上昇
震災復興事業や公共工事などの増加により、熟練工を含む職人の不足が問題になってきています。そのため、建設工事に従事する作業員の人件費である労務費も膨らみつつあります。
リーマン・ショック後、大幅にダウンした労務費ですが、国土交通省が定める「公共工事設計労務単価」では、2014年2月時点で「普通作業員」が2012年比で24.5%増、「鉄筋工」が24.6%増、「型枠工」が24.9%増となっています。実際には、2013年に比べて数割程度アップしている例もあるようです。
マンションの場合、建設費の3?4割が労務費とされているので、人件費の高騰は建設コストの増大につながります。しかし、現在は建築費がまだ上がりきるところまではいっていませんので、まだ建築のチャンスがあるといえるでしょう。
建築関連費の上昇で
建設を凍結する自治体も
マンションの建設費が上昇に向かうというのが、多くの専門家の見解です。これから6年後の東京オリンピック開催に向けてインフラ整備事業や競技場建設などが進行すれば、資材価格や労務費がさらに押し上げられることも予想されます。
2014年9月には、東京都小金井市が2018年度の完成を予定していた新庁舎の建設を凍結するというニュースがありました。建築資材の高騰や人手不足により、建設費が当初想定の1.3倍になるとの見通しが出たためです。首都圏では他にも、公共施設の整備を延期する自治体が出ています。
相続増税と生前贈与優遇策
来年1月に迫る相続税アップ
2015年1月より、相続税が上がります。その主な内容は以下の通りです。
アベノミクス効果で地価が上昇に転じていますので、土地の資産価値も上がっています。このこと自体は喜ばしいことですが、増税によって税負担が増すことを忘れてはなりません。
活用していない未利用地を相続すると、相続税や固定資産税をただ払っているということになってしまいます。そこで考えてみたいのが賃貸併用住宅の建築。場合によっては、相続税をゼロにできるケースもあります。
2015年には消費増税が控える!?
政府は景気の状況を見ながら段階的な消費税引き上げを検討しています。2014年4月に8%になった消費税を、さらに10%に引き上げるというもので、2015年10月に実施される可能性が高いとされています。
もし消費増税が実施されれば、建築を行う方にとっては、さらなる負担増となります。少しでもコストを低減するため、増税前に建築関連の駆け込み契約が増えそうな状況です。
3月末までの契約なら8%の消費税が適用
2015年10月に引き上げられる公算が大きい消費税ですが、3月末までに契約が完了していれば、建物の引き渡しが2015年10月1日以降となっても消費税8%が適用される「経過措置」をうけることができます。とりあえず契約を済ませ、仕様は後から決めるということも可能ですが、額面は契約時に決定している必要があります。
現実的には、商談開始から契約まで2カ月程度は最低でも必要です。逆算すると、来年1月には商談を開始していなければなりません。
消費増税前に駆け込み的な建築契約が増えることは当然予想されますので、スムーズに商談を進行するためには、年内からアクションを起こすのがベターといえるでしょう。