健在なうちにやっておきたい相続資産の評価

土地や建物に関するコンサルティングカンパニーSEIWAから土地オーナーの皆様の今後をサポートする情報を毎月お届けする「生和ジャーナル」vol39

SPECIAL FEATURE
相続対策の準備は、早めに行うのがカギ

健在なうちにやっておきたい相続資産の評価

資産を把握することにより、節税のための方策を練ることができる

相続税を減らすために、まずは資産の評価を

税務調査の対象となりやすい相続税

我が国の税収は90年代と比較すると大幅に落ち込んでおり、例年、歳入不足となっています。来年度以降も、赤字国債発行となる可能性は高いといえるでしょう。

こうした状況からすると、あらゆる税種で増税という流れになるのは必然的と言うべきかもしれません。中でも相続税は、多々ある税種の中でも増税について国民の理解が得られやすいとされており、国税庁も徹底した徴収体制を維持すると考えられます。

対策は生前からしっかりと行う事が重要

法人や個人事業主は、1年に1度、税務申告のために決算を行います。しかし、多くの資産家のご家庭でも、相続税の税務申告を念頭においた個人財産の決算作業(個人財産の棚卸)は行われていないのが実態ではないでしょうか。

確かに相続発生後、相続人によって相続財産の把握は行われます。しかしながらその時点で財産の評価を行っても、もはや具体的な相続対策を打つことはできず、節税という観点からすると手遅れともいえます。

相続税申告は、相続の開始を知った日(ご本人の死亡日)の10ヶ月後に申告期限が到来するため、それに備えた準備が必要です。しかし、亡くなった直後は葬儀や親せき筋へのあいさつなどで多忙を極めるもの。それと並行して資産の把握などを行い、その後相続人の間で遺産分割協議などを済ませなければならないということを考えると、とても十分な時間があるとは言い難いでしょう。

どういう相続対策が有効か、そもそも相続対策が必要なのか。こうしたことは資産把握を行わない限りわかりません。

所得税とは異なる相続税の特徴

法人税や所得税を自分で操作することはできませんが、相続税には節税のための手段を講じられるなどの特徴があります。

❶法人税や所得税とは違い、相続税では納税者自身が相続財産の評価を行います。その評価に基づいて税務申告を行うことになります。

❷通常、相続発生日(ご本人の死亡日)までに時間的余裕があります。すなわち、事前対策をする時間的余裕があるといえます。

❸ご本人様だけが財産を自由に処分できます。一定の範囲内ですが、相続税の納税額をコントロールでき、事前対策を考えることもできるのです。極端な話ですが、生前に財産を使い切ってしまうという選択肢もあるでしょう。また、投資用不動産を購入することもできます。例えば、預貯金1億円と、1億円で購入した投資不動産とでは、後者のほうが評価額を抑えることができます。

❹資産家の場合、相続税額は通常多額になります。生前に適切な処置を施さないと、子孫代々に伝えるべき大切な財産も処分せざるを得なくなります。

❺遺産分割という作業が必要です。各相続人に相続権がありますので、遺言などの生前対策を取る必要があります。

資産によって異なる評価方法

株式や土地建物など、資産の種類に応じた評価を行う必要があります。(下の表を参照)

節税のための土地活用は専門家の出番

土地の評価は専門家にとっても煩雑

不動産の評価は相続税法で言う「不動産の時価」となります。相続税法第22条で「相続、遺贈または贈与により取得した財産の価額は取得時における時価による」と定義づけられています。

財産評価基本通達での時価は、「課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間での自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」を言い、客観的な交換価値を意味しています。すなわち、特別な動機を持たないで、売買が成立するであろう価格です。従ってそれは、「売却可能な価格」を意味するはずです。

しかし、相続税申告での土地評価を納税者や代理の税理士が行おうとしても、時価の把握が困難です。そこで、国税当局が時価を求めやすいようにと、財産評価基本通達による評価手法が採用されています。

とはいえ、不動産はそれぞれが個別的であり、千差万別です。ですから担当者によって異なった価格が出てきてしまいます。 財産評価基本通達はあくまで簡易評価の基準を示しているものに過ぎず、鑑定評価基準のような完璧なものではないからです。したがって、この通達で評価しながら時価が路線価を下回るような場合には、こちらの価額を採用することが可能と考えることができます。

不動産の節税を視野に土地活用会社へ相談も考慮

土地や建物などの不動産は、有効に活用しなければなりません。ただ持っているだけで有効な活用がなされていないと、毎年固定資産税がかかり、土地持ち資産家を悩ませるタネになってしまいます。

土地にかかる固定資産税は、更地の状態が最も高く課税されることになっています。相続税を支払うために更地の状態で常に売却できるようにしている土地持ち資産家の方が多くいらっしゃいますが、有効な相続税対策を講じれば、その土地を手放さずにすむどころか、立派なマンションを建築できるというケースは、よく見受けられます。

国税庁発表の資料(平成23年度)によると、相続財産の内訳は、土地が46%、家屋5.7%、有価証券13%、現金預金が24.2%、その他11%となっており、相続財産の約半分は土地です。相続税を減らすカギは、この土地の活用にあると言えます。

土地活用を専門に行っている会社であれば、過去に何例も同種の事案を扱ったことがあり、適切な事業プランの提案が可能です。また、こうした会社は、税理士などの税務の専門家の中でも特に不動産と相続に強い先生を知っているものです。まずは、こうした会社の営業担当に相談するというのもよいでしょう。

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重 邦宜

重邦宜税理士事務所
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生前対策の重要性

いざ相続が発生すると、相続人間での遺産分割協議を経て、10カ月以内に相続税の申告及び納税をしなければなりません。遺産分割協議が成立しないまま相続税の申告納税期限が到達すると、相続財産が未分割の状態で相続税の申告を行うこととなり、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の評価減など、遺産分割協議の成立を前提とした各種特例(税額を軽減する特例)を使えないまま、一旦多くの相続税を納税することとなります。
生前に相続財産の棚卸(資産の種類及びその評価額の査定)を行い、相続財産の承継についてご家族でお話合いをすることは、相続人間のトラブル回避及び相続税の節税対策としてとても重要です。

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ヒル・ハウス(イギリス)

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