賃貸管理の種類とメリット・デメリット

土地や建物に関するコンサルティングカンパニーSEIWAから土地オーナーの皆様の今後をサポートする情報を毎月お届けする「生和ジャーナル」vol51

SPECIAL FEATURE
業者に依頼する前に検討すべきポイントは?

賃貸管理の種類とメリット・デメリット

賃貸物件の管理をどこまで依頼するのか、自己管理、委託管理、サブリース、各々の特徴を解説

戸数が多くなると自己管理は現実的ではない

賃貸経営に欠かせない適切な管理業務

収入と支出のバランスがとれた健全な賃貸経営のためには、賃貸物件の稼働率を高い水準で維持するとともに、維持管理・設備投資のコストの圧縮を考えなければなりません。そのために必須なのが管理業務。適切な管理は、入居者様に気持ちよく長い期間にわたって住んでいただくことにつながり、結果として稼働率を高めます。

また、日々の建物管理は建物の価値を維持し、修繕費用の圧縮と高稼働率に貢献します。今号ではこうした賃貸管理の形態を整理し、そのメリット・デメリットをご紹介します。

管理には大きく分けて3つの形態がある

賃貸管理は、以下の3つに分類することができます。

1.自己管理
2.委託管理
3.サブリース

……所有者(オーナー様)が賃料の回収や建物清掃・保守の手配など、すべての管理業務を自ら行います。言わば賃貸経営の原点で、一昔前にはこの形が一般的でした。
……管理を管理会社に委託。会社により、様々なプランがあります。
2-A:建物管理業務の委託/建物の保守・メンテナンスや、入居者様への対応を依頼します。
2-B:基幹業務の管理委託/家賃集金などを管理会社が担当。家賃の滞納保証付き、客付けを管理会社が行うなどのプランがあります。
……一括借上げとも呼ばれます。保証会社がオーナー様から建物(部屋)をまるごと借上げ、それを第三者(借主)へ貸す(転貸する)形。会社はオーナー様に代わって賃貸経営を行い、空室の有無に関わらず収入を保証します。

簡単そうに見えるが意外に難しい自己管理

自己管理は賃貸経営のすべてを自分で行うので、非常に負荷が高い方法です。もちろん、外注コストは削減できますので、所有戸数が多くない場合には検討するに値します。ただし、家賃の回収に関するトラブルの処理などについてかなりの負担を引き受ける覚悟は必要です。

事例

自己管理で家賃回収に失敗した体験談

「購入した賃貸用マンションの部屋に、元々数年にわたって入居されている方がおり、特にトラブルはないと聞いていました。仲介した不動産会社からは家賃代行システムなどを利用してほしいと言われましたが、家賃の5%という手数料を節約したいと考え、賃貸管理は自分ですることにしました。

物件を購入した約1年後、入居者様からの家賃振込が遅れがちになり、とうとう振込が途絶えてしまいました。電話をしても出てもらえず、部屋を何度か訪問しても留守で会うことができません。

自分ではどうにもできないため、賃貸管理会社と契約を結んで対応を依頼しました。内容証明の送付や、連帯保証人との協議などを管理会社と共同で行い、結局は入居者の退去という形で決着しましたが、滞納家賃の回収はできませんでした。」

管理費は毎月かかるものなので、コストとして認識されやすく、誰もが削減したいと考えるものです。しかし、ここでご紹介したようなケースがあり得ることを考えると、5%という管理費は安心料として妥当とも言えるのではないでしょうか。

サブリースとその他の管理形態の違い

委託管理の形態を選ぶ3つのポイント

1.滞納問題
 2.空室問題
 3.業務範囲の違い

1.家賃保証や滞納保証が付いた管理委託契約がありますが、実際の保証範囲などはプランにより異なるので、契約内容の細部まで確認が必要です。サブリースの場合は、一定の借上げ賃料が継続的にオーナー様に支払われます。

2.家賃を保証する「空室保証契約」が付いたプランなどがあります。サブリースの場合は管理会社が貸主となり、自社とオーナー様のために入居者募集を行います。オーナー様の家賃収入も保証されます。

3.建物管理業務のみの委託という形態は、委託の中ではオーナー様の作業負担が最も大きくなります。リフォームや家賃設定などの最終決定もご自身で行う必要があります。基幹業務の管理を任せる場合は、専門的な知識を要する判断は求められません。

サブリースでは賃貸経営のすべてを専門家にまかせるので、業務をほぼ手放すことができます。

所有の物件規模や手を掛けられる時間で決める

数戸程度の賃室所有で、ある程度時間をさけるオーナー様でしたら、自己管理も可能です。

しかし、中規模マンション1棟をまるごと所有されているオーナー様の場合、自己管理は難しいでしょう。こうした場合、専門業者へ相談しながら、どのような管理形態を選ぶべきか、様々な角度からしっかり考えてみることが必要です。

賃貸経営ノウハウ オススメの記事

ONE POINT!

森川 大輔

セイワ不動産株式会社
ゼネラルマネージャー 森川 大輔

プロの依頼にも応える当社の委託管理

最近ファンドやREIT(不動産投資信託)から弊社への委託管理の依頼が増えています。プロであるファンドやREITが外部へ委託管理を依頼する理由は、利回りを考えるとそれが最適なためです。家賃設定に問題があると空室期間の損失が膨らむリスクが発生します。一方、空室損を恐れて家賃設定を低めに設定してしまうと数年間に渡って利回りが下がってしまい、資産価値が下がってしまいます。非常におおまかな指標ですが、家賃を1万円下げてしまうと資産価値は約240万円程度下がってしまうと言われています。適切な家賃で貸し出すことで収入を最大化させつつ、支出を最小化させるために、プロが弊社に委託管理のご相談をくださっているのです。賃貸管理業務は多岐に渡りますので、人件費などを考えると委託管理してしまった方がコストを抑えられるケースが多いと言われています。

マンションの管理業務について
専門的な分野にまで踏み込んで
解説する本

すぐに役立つ 図解とQ&A マンション管理の法律とトラブル解決マニュアル

『すぐに役立つ 図解とQ&A マンション管理の法律とトラブル解決マニュアル』
藤田裕監修

平成28年3月公表の国土交通省「マンション標準管理規約」改正に対応。総会の準備、進行、管理組合の運営から修繕・建替え、管理費の徴収まで。マンション管理の法律常識がわかる。(1944円)

▸問合せ 三修社
https://www.sanshusha.co.jp/

しくみ図解シリーズ	マンションの設備・管理が一番わかる

『しくみ図解シリーズ マンションの設備・管理が一番わかる』
日下部理絵著

マンションに関わる業務や設備、トラブル事例、法令などを横断的に解説。マンション管理業務に携わる多くの従事者にとって必要な知識を習得できる1冊。 (2030円)

▸問合せ 技術評論社
http://gihyo.jp/

世界の有名な建築物をご紹介します!

メーリニコフ邸(ロシア)

メーリニコフ邸(ロシア)

コンスタンチン・ステパーノヴィッチ・メーリニコフは、ロシアの建築家。20世紀初頭におけるロシア構成主義建築、アバンギャルドの巨人のひとりとされ、パリ万国博覧会ソ連パビリオンの設計などで注目を浴びました。1929年、モスクワに建てられたメーリニコフの自邸は、二つのシリンダーを接合した形状で、六角形の窓が規則的に並んだファサードが特徴的。2階の客間と3階のスタジオへは、居間や寝室といった家族のスペースを通らずに螺旋階段で行くことができます。現在も個人の邸宅として使用されているため、内部の見学には特別な許可が必要となっています。

生和コーポレーション編集部

「すべてはオーナー様のために」をテーマに、土地をお持ちの方の目線で、不動産の有効活用に関連する情報を発信しています。当社の豊富な実績をもとに、税理士や建築士、宅地建物取引士などの有資格者が監修した記事も多数掲載。賃貸マンションの建設・管理から相続や税金の話まで、幅広いコンテンツを公開中。

編集部へのご意見・情報提供などございましたらお問い合わせからお願いします

会社名
生和コーポレーション株式会社
所在地

西日本本社
大阪府大阪市福島区福島5丁目8番1号

東日本本社
東京都千代田区神田淡路町1丁目3番

会社設立
1971年(昭和46年)4月16日
お問い合わせ・ご連絡先
0120-800-312

他の生和ジャーナル記事を見る

  • vol61 民事信託・家族信託を利用して「認知症リスク」に備える
  • vol56 事業使用の不動産を活用し、安定経営を実現!
  • vol52 賃貸経営に伴うトラブルの傾向と対策
  • vol48 賃貸経営法人化のメリット・デメリット
  • vol47 成年後見制度の活用で財産を守る
  • vol45 魅せるリフォームで賃貸物件の価値をアップ

【無料小冊子プレゼント】お客様の声が詰まった「建築事例集」プレゼント 建築までの資金繰りは?どんなサポートが必要?経営は順調?手がけてきた建築事例をお客様の声を交えてご紹介する一冊。あなたのオーナー生活に是非ご活用ください。

5分でわかる生和コーポレーション。土地活用一筋50年の生和の強みを5分でお伝えします。