利用度が低い不動産の活用で経営を安定化
企業の未利用不動産の増加でCRE戦略が注目される
企業が所有する土地はすべて活用されているわけではなく、遊休地や低利用地もかなりの割合を占めます。我が国の企業の持つ不動産は、日本の全不動産約2,300兆円のうち約490兆円を占めていますが(図1参照)、昨今の産業構造の変化によって未利用率が高まる傾向にあります(図2参照)。そのような状況を改善するために求められるのが「CRE戦略」です。
中規模企業において特に必要とされる不動産活用
中小企業代表者の個人資産においては、自社株式と事業用地が大きな割合を占める傾向にあります(図3)。事業用地の資産構成割合は2割に達しており、個人事業主の場合は3割を超えています。
資産に占める割合が高いだけに、事業用地の活用度合が資産の健全性を大きく左右します。したがって、その有効活用がより重要と言えるでしょう。
不動産の活用がもたらすメリットとは
利点1 生産性向上で事業継承が有利に
老朽化したためあまり使わなくなってしまった社員寮や、設備が陳腐化して生産性が低下した古い工場などの敷地を賃貸マンション用地として活用することで、安定的に収益が入る環境をつくります。先祖代々引き継いできた事業用地の価値をき損せずに、次の世代に移譲していくことが可能になります。
事業継承をスムーズにするために、企業が使用するオーナー個人の資産を会社に売却して企業所有に切り替え、オーナーが会社経営から退いたあとに資産の継続利用が可能な状態にしておくことも検討に値します。
利点2 相続税の原資確保と資産圧縮
未利用地の有効活用と収益化がもたらす安定的なキャッシュは、後年、相続時の納税の原資として活用することができます。また、賃貸住宅の建設によって土地を「貸家建付地(かしやたてつけち)」にしておけば、土地の評価額を下げることができるので、相続時の納税額を下げられる可能性もあります。それ以外にも、賃貸住宅を建てることで現金と比較して相続税評価額を下げるという効果が期待できます。
利点3 コスト削減
事業所や営業所、工場の統廃合などによって設備の修繕費や管理費を削減。物流コストや人件費、従業員の交通費などを減らすことも可能です。
利点4 M&A検討の際のプラス材料に
すべての不動産や固定資産を把握するための棚卸し、調査、鑑定がCRE戦略のファーストステップです。その後、それぞれの不動産や資産の最適な活用方法を考えていくことになります。事業にとって不要と判断した場合は、不動産の切り離しや現金化の決断も必要でしょう。こうしてバランスシートの改善を図れば、M&A(企業合併・買収)における企業価値の算定評価のプラス材料とすることができます。
収益性の低い不動産を所有せず、資産を有効活用するノウハウを持っている企業は、敵対的なM&Aのターゲットになりにくくなります。逆にM&Aを積極的に進めて企業を買収し、その企業の所有不動産の価値を高めるというサイクルを作ることも可能でしょう。
企業合併・買収なども視野に入れたCRE戦略
土地活用の専門知識が豊富なパートナーが必要
CRE戦略には土地活用に関するノウハウが欠かせません。賃貸住宅の建設ひとつとっても、市場のリサーチから事業計画、物件管理、相続など検討事項は多岐にわたるので、専門知識を擁するパートナー選びが必須となります。法人様名義の不動産活用や事業転換のコンサルティングにも豊富な実績を誇る当社にぜひ一度ご相談下さい。