地震に対応する建物の構造は3つ
2,000か所以上もの活断層が存在するといわれる日本では、年間1,500回以上の有感地震(震度1以上)が発生しています。2016年の熊本地震
で、日本が地震大国であるという認識を新たにされた方も多いことでしょう。
「首都直下地震等による東京の被害想定」(2012年4月公表・東京都)では、建物被害は約30万4,300棟と予測されています。原因別では「揺れ」によるものが約11万6,200棟、「火災」が約18万8,100棟となっており、建物の安全対策が求められています。
震災で倒壊した建物が道路をふさぎ、救助活動の妨げになった例もあります。地震に強い建物にすることには公共的な意味合いもあるのです。
耐震構造、制震構造、そして免震構造
地震の揺れから建物を守るために用いられる構造は「耐震」「制震」「免震」の3つに分類されています。
日本の建物の地震対策として最も多く用いられているのが耐震構造。また、制震構造は建物内、免震構造は建物の下に装置を追加するためにコストが高くなります。それぞれにメリット、デメリットがありますので、建築の際は十分な検討が必要です。
耐震構造
RC(鉄筋コンクリート)や筋かい、耐力壁などで建物の構造を強固にする。
<メリット>
- 強風(台風)ではほとんど揺れない
- 現在の建築基準法では、ほぼすべての住宅が耐震住宅となる。耐震構造にするための追加費用は不要
- 地下室の設置に制約はない
<デメリット>
- 地震の揺れは直接建物に伝わる
- 地震のたびに、建物の損傷が進む
- 家具が転倒しやすい
制震構造
建物内部に取り付けた装置で揺れを吸収する。
<メリット>
- 2階から上階の揺れが軽減される
- 強風(台風)では、ほとんど揺れない
- 制震装置が建物の揺れを吸収するので、建物の損傷が少ない
- 2階から上では家具転倒が少なくなる
- 地下室の設置に制約はない
<デメリット>
- 地震の揺れは直接建物に伝わる
- 設置コストがかかる
- 制震装置を設置するために設計上の制約が生じる場合がある
免震構造
地面(基礎)と建物の間の免震装置で揺れを吸収する。
<メリット>
- 地震の揺れは直接建物に伝わらない
- 大地震では建物が長くゆっくりと揺れるので、建物の損傷が大幅に軽減される
- 家具の転倒は、階数を問わず大幅に少なくなる
<デメリット>
- 強風(台風)のときは2階から上階が揺れる
- 設置コストが高額
- 軟弱地盤では免震装置の設置が困難
- 免震装置が床下にあるため、地下室の設置は困難
建物の規模などによって構造を選択する
コストや地盤、地下室の有無などで地震対策は変わってきます。また、建物の大きさも重要な決定要因です。
資産を守り、賃貸物件の付加価値にもなる耐震性
一般に、低層の賃貸住宅の場合は耐震構造が選択されます。制震構造は耐震構造よりも割高になりやすいため、分譲マンションなどに用いられることが多くなります。免震構造はコスト面で最も割高となるため、高層ビルや商業施設といった大規模建築物で採用されるケースが多くなっています。
耐震、制震、免震技術を採用した当社の商品
1995年に大きな被害をもたらした阪神淡路大震災でも、当社施工の建物は一棟も倒壊しませんでした。創業以来、当社は建物の安全性を高めるノウハウを蓄積し、近年の様々な法改正にもいち早く対応しています。
低層の木造賃貸住宅においても強度が高い耐震構造を追求し、制震装置や免震装置を用いた商品もラインナップ。万全の地震対策を行っています。
堅牢なRC造(鉄筋コンクリート)の建物の場合も、その形状や規模を考慮し、地震に対して強い耐久力を発揮できるように商品設計を行っています。
次世代にまで受け継がれる価値
生和コーポレーションでは「100年先まで都会の土地にプラスの価値を」という目標を置いています。これを実現するために、建物の構造技術などに関して常に改良を行い、皆様に提供しております。
数か月先か、それとも数十年先か…時期の予知は困難ですが、発生することだけは確実視されている大地震。地震に強い構造はオーナー様の大切な資産を守るだけでなく、賃貸住宅の大きな付加価値として入居者様にアピールすることにもつながり、健全な賃貸経営に貢献します。