都市部を中心に3年連続で路線価が上昇
昨年の0.4%を上回る0.7%の上昇率
今年も7月初め(2日)に国税庁が路線価を発表しました。路線価は道路に面した標準的な宅地1平方メートルあたりの評価額を示す指標で、課税価格を計算する基準となります。
全国32万4000地点の平均変動率は前年比で0.7%プラスとなり、3年連続で上昇しました(昨年の上げ幅は0.4%)。
18都道府県で上昇し、沖縄が上昇率のトップに
都道府県別では、大阪、京都など大都市圏を中心に、前年比で5県増の18都道府県が上昇しています。中でも上昇率が最も高かったのが沖縄県で、現在の統計方法となった2010年以降で、上昇率が初の5%台を記録しました。訪日客の増加によるホテル需要の高まりやリゾート開発が要因と考えられています。
東日本大震災の被災地では宮城県が昨年と同じ3.7%、福島県が1.3%の上昇。2016年に熊本地震が起きた熊本県は2017年に0.5%下落しましたが、2018年は0.7%の上昇に転じています。滋賀、岡山、佐賀、長崎は、下落または横ばいだったのが今年は上昇に転じました。
大都市圏と地方で明暗が分かれる
上昇しているのは18都道府県。上昇率が高い沖縄のほか、宮城や東京などの大都市圏における上昇が目立ち、それ以外の地域の上昇率は小幅です。残りの29県では下落となり、青森、兵庫、宮崎など7県は下落幅も拡大。大都市圏と地方の路線価の二極化という傾向は今年も変わっていません。
大都市ではマンション需要やオフィス市況が好調で、中心部で地価が高止まりしており、それが周辺地域にも波及。活発化する不動産売買が、全体の路線価を押し上げる結果となっています。
上昇が続く東京は最高路線価を更新
路線価のトップは今年も銀座5丁目の鳩居堂前で、1平方メートルあたり4432万円。これで33年連続の日本一で、過去最高だった昨年の4032万円を更新しました。
なお上昇率でみると、税務署別で最も高かったのは、4年連続で北海道倶知安町山田の道道ニセコ高原比羅夫線通り。前年比88.2%と上昇率も拡大しました。スキーリゾートとして人気の場所とあって、外国人を中心とする不動産取引が盛んに行われており、外国資本によるホテルの建設ラッシュも上昇の要因とみられます。
路線価が上昇したら、考えるべきは節税対策
3年に1度発表される固定資産税路線価
実は路線価には「固定資産税路線価」と「相続税路線価」の2つがあり、単に路線価と言う場合には通常、相続税路線価を指します。
毎年発表される相続税路線価に対し、固定資産税路線価の発表は3年に1度で、今年(2018年)は発表の年にあたります。各市区町村のHPなどで4月初旬に公開されています。この機会に、ご自身が所有されている物件の固定資産税路線価をチェックしてみてはいかがでしょうか?
固定資産税路線価とは
固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基となる。3年に1回、前年の1月1日を基準日として計算される。地価公示価格の7割が、固定資産税評価額になる。なお、土地の価格が下落した場合には、見直しの年を待たずに下落修正が行われることもある。
相続税路線価とは
相続税や贈与税の算定基準となる土地評価額。毎年1月1日時点で評価したものを国税庁が発表する。国土交通省が毎年3月に出す地価公示価格の8割程度を目安に、売買実例や不動産鑑定士の意見なども参考に算出している。
相続税や固定資産税、融資条件にも影響する路線価
路線価の上昇は相続評価のアップ、すなわち相続税のアップにつながります。土地にかかる固定資産税評価額も上昇しますので、適切な節税対策が求められます。
一方、評価額のアップにより土地の担保力が高まるという側面もあります。路線価による担保評価を重視する金融機関の場合、融資額の増大や融資条件の改善も期待できるでしょう。
当社では、節税につながる土地活用のノウハウを長年蓄積してまいりました。2018年度の税制改正なども踏まえたアドバイスをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
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トップ画面で「固定資産税路線価等」か「相続税路線価等」かを選び、下記の画面に移動します。
※2018年度の固定資産税路線価は7月末、相続税路線価は11月末に掲載予定
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左上に、郵便番号・住所で探せる検索ボックスがあるので、知りたい場所を入れて検索します。
※住所一覧や地図から探すこともできます
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知りたい場所の地図を表示させる ※「中央区銀座5丁目」で検索した例
路線価は千円/㎡で表示されている。丸の形は地区区分を表す(地区区分の凡例は左のボタンをクリックすれば表示される)。
表示されている価格×面積=積算評価額。ただし、この積算評価額は実勢価格とは異なります。実際には用途地域や土地の形状を考慮して算出する必要があります。