地震、台風、洪水etc.…賃貸住宅の災害リスク対策は?

土地や建物に関するコンサルティングカンパニーSEIWAから土地オーナーの皆様の今後をサポートする情報を毎月お届けする「生和ジャーナル」vol73

SPECIAL FEATURE
災害時にのしかかるオーナー様の負担

地震、台風、洪水etc.…賃貸住宅の災害リスク対策は?

災害に耐える強固な建物と、災害保険や地震保険でリスクに備える

災害後の修理費用は通常オーナー様の負担

外国と比べて自然災害が多い日本

このところ、台風や地震の被害が相次いでいる日本。日本の国土面積は全世界の約0.28%ですが、世界で起こったマグニチュード6以上の地震の約20%前後は日本で起きています(年により異なる)。日本は大雨や洪水、土砂崩れなどの自然災害も多く、災害被害額は巨額なものとなっています(図1参照)。

自然現象によってもたらされる災害は、人間がコントロールすることができない「天災」です。しかし、そのリスクに備えることは可能です。賃貸経営においても、オーナー様が負うリスクを洗い出し、対策を講じておくことが重要です。

地震による死傷の賠償責任は?

地震によって賃貸マンションが倒壊し、借主が死傷したとします。その場合、貸主に賠償責任はあるでしょうか?

地震などの天災は不可抗力です。地震による建物の倒壊は民法第709条にある「故意又は過失」のいずれにも該当しないので、賠償責任は生じません。

民法第709条 【不法行為による損害賠償】

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

ただし、建築当時の耐震基準を満たしていないなど、違法の建築物だった場合は別です。貸主の過失で借主が死傷したと判断される可能性があるからです。実際、過去の震災において、倒壊した建物の下敷きになって亡くなった借主の家族が起こした訴訟で貸主が敗訴し、賠償責任が確定した例もあります。建物の適法性はもちろん、施工会社の信頼性も必須と言えるでしょう。

自然災害後の修理費は誰が負担?

自然災害で賃貸マンションの建物が壊れた場合、修繕費用をオーナー様が負担するということに異論がある人は少ないでしょう。では、地震で入居者様所有の家具が倒れ、壁や床が損傷した場合はどうでしょうか?

地震によるこうした被害は通常、貸主、借主のどちらにも責任はありません。しかし、賃借人に責任がないことが原因で賃貸住宅に被害があった場合、貸主の負担で修理をしなければなりません(民法606条)。なお、借主所有の家財道具などの損害は、修繕義務の対象外です。

民法第606条

  1. 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
  2. 賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
借主に過失があった場合

「借主が家具に転倒防止金具を付けておけば被害を防げたのでは?」「借主の趣味で置いていた水槽がひっくり返って床がダメになったのは、借主の責任では?」

こうしたケースでも、修理は貸主の全額負担となります。

ただし、借主の責任が明らかな場合は借主負担になります。台風が来るのに雨戸を閉めなかった、ベランダに山積みにしていた物が地震で崩れて窓ガラスが割れた、といったケースです。また、簡単に倒れそうな家具を不安定な場所に設置した場合も、賃借人に原状回復が求められる可能性があります。

被害状況の把握は早めに

災害時はオーナー様、入居様ともに大変な思いをされているわけですが、建物の被害は災害直後に把握しましょう。退去時に、部屋の損傷が災害によるものかどうかでトラブルになることがあるからです。

借主に悪意がなくても、被害の報告が遅れることはあり得ます。貸主の側から積極的にアプローチして被害の有無を聞くべきでしょう。

建物の耐震性確保と保険によるリスク対策

耐震性の高い建物はリスク対策の基本

震災がない年でも、震度1以上の有感地震が年間で1,500回前後発生している日本。入居者様の安全を守ることはもちろん、修繕費用を低減するためにも、賃貸住宅には地震に強い構造が求められます。倒壊した建物は救助活動の妨げになりますので、地震に強い建物は社会的な要求でもあります。

阪神・淡路大震災が発生した1995年当時、京阪神間で当社の施工物件・建設中物件は350件以上ありましたが、震災で全半壊したものはゼロでした。当社の鉄筋コンクリート造は、高品質の鉄筋と厳選したコンクリートを用いることにより、建物全体を頑強なものにしています。低層の木造賃貸住宅においても当社は高い耐震性を追求しており、制振装置や免震装置を用いた商品もラインアップしています。

安心な賃貸経営に必須の保険

災害への備えとして、火災保険や地震保険は欠かせません。また、火災や自然災害などにより賃貸物件が損害を受けた場合の家賃の損失を補償する家賃保険もあります。

地震による損害は火災保険の対象外。補償を受けるためには地震保険に加入する必要があります。地震保険は火災保険に付帯する形でしか契約できず、補償金額は火災保険の金額に左右されます(図2)。

生和株式会社保険事業部では、オーナー様のリスクに対応する保険を取り扱っており、オーナー様のご事情に合わせたオーダーメイドの保険のご提案も可能です。賃貸住宅の事業プラン作成から建築、管理まで、豊富な実績を有する当社にぜひご相談ください。

賃貸の悩み オススメの記事

ONE POINT!

深沢 諭

東京海上日動火災保険株式会社
東京中央支店・
総合営業チーム統括 深沢 諭

最後に保険を見直されたのはいつですか?

北海道胆振東部地震や台風等の災害により被害を受けられた皆様に対して、心よりお見舞い申し上げます。
近年、日本各地で大規模かつ広域の自然災害が多発しています。火災・風災・水災など物件を取り巻くリスクは様々ですが、保険にご加入いただいていると、いざという災害時にも修繕や建替えの費用を確保することができます。しかし、ご加入時期やプランによっては、一部リスクについて補償対象外となっていたり、十分な保険金をお受け取りいただけなかったりするケースもございます(損害額の一部しか補償されない、損害額が20万円未満の場合は補償されない等)。
『保険や共済等に加入しているけれど、自分の保険が心配』『どんな補償かわからない』という方は、是非一度保険を見直して頂くことをおすすめいたします。

災害に備えるために
参考にしたいおすすめ書籍

大地震に備える!! マンションの防災マニュアル 改訂版

『大地震に備える!! マンションの防災マニュアル 改訂版』
千代崎一夫・山下千佳著

マンションの居住者が大地震にどのように備えればいいか、いざ地震の時にどのように行動すればいいのかを解説。「防災力診断チェックシート」「緊急簡易防災マニュアル」付き。(1836円)

▸問合せ 住宅新報社
https://www.jutaku-s.com/

「万が一」に役立つ!地震保険 入門とその落とし穴

『「万が一」に役立つ!地震保険 入門とその落とし穴』
阿藤博祐監修

地震保険の制度と実態について解説。被災した家の損害を調査し、保険会社に正しい鑑定をうながす被災調査人についても、判定の事例を交えて紹介。(1620円)

▸問合せ スタンダーズ
http://www.standards.co.jp/

世界の有名な建築物をご紹介します!

ホワイトハウス(アメリカ)

ホワイトハウス(アメリカ)

1800年、アメリカ合衆国第2代大統領アダムズの時に完成。設計案は公募され、のちに第3代大統領となるジェファーソンらを退けて、フィラデルフィアに住むアイルランド生まれの建築家ホーバンの作品が採用されました。建物は後期ルネサンスの建築家パッラーディオの影響を強く受けたジョージ朝建築の3階建てで、部屋数は100以上。建材には灰白色の砂岩が用いられました。1814年にイギリス軍の進攻によって焼失しましたが、1817年に再建。外壁が白く塗装され、文字通りの「ホワイトハウス」になりました。その後も増築や改修が重ねられ、1952年に現在のような姿となっています。

生和コーポレーション編集部

「すべてはオーナー様のために」をテーマに、土地をお持ちの方の目線で、不動産の有効活用に関連する情報を発信しています。当社の豊富な実績をもとに、税理士や建築士、宅地建物取引士などの有資格者が監修した記事も多数掲載。賃貸マンションの建設・管理から相続や税金の話まで、幅広いコンテンツを公開中。

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会社名
生和コーポレーション株式会社
所在地

西日本本社
大阪府大阪市福島区福島5丁目8番1号

東日本本社
東京都千代田区神田淡路町1丁目3番

会社設立
1971年(昭和46年)4月16日
お問い合わせ・ご連絡先
0120-800-312

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