2019年3月が消費税節税のリミット
2019年 10月、いよいよ消費税が8%から10%に
安倍晋三首相は10月15日の臨時閣議で、来年2019年10月に消費税を10%へ引き上げると表明しました。2014年に消費税が8%となったあと、10%への引き上げは延期されたままとなっていましたが、安倍首相の発言により消費税の増税はほぼ確定したと言えます。
消費増税前に高額商品を購入するなどの動きが活発になるのは確実。多額の費用がかかるマンション建設を、消費増税前に行おうとお考えの人も多いはずです。
増税回避の条件は9月までの引き渡し
ここで留意したいのが、消費税率が確定するのは契約時ではなく、建物の完成・引き渡し時であるということ。消費税を8%にしたければ、消費税が上がる2019年10月より前、9月30日までに引き渡しを行う必要があります。当然のことながら、消費税が上がる直前に建築の契約を結んでも意味はありません。
建物の規模や工法などによって変わりますが、通常、マンション・アパートの工期は着工後、半年から1年ほどです。工事の前に設計や事業計画の作成期間が必要なことを考えると、今すぐ建設に向けてアクションを起こしても、2019年9月末までの引き渡しは難しいかもしれません。
3月末までに契約すればOKとする経過措置
契約から引き渡しまでが長期間となる建築工事の実態を踏まえ、経過措置がとられることになりました。それは、2019年の3月までに建築の請負契約が結ばれていれば、引き渡し時期にかかわらず消費税率を8%とするというものです。
新消費税率適用に関する経過措置
- 新税率施行日の半年前(2019年4月1日)を「指定日」とする
- 指定日の前日(2019年3月31日)までに建築工事の契約を締結すれば、引き渡しが新税率施行日以降となっても旧税率を適用
②の「指定日の前日」、すなわち2019年3月31日までに建築の請負契約が結ばれていれば、完成引き渡しが2019年10月以降になっても、消費税率は8%になります(図1参照)。
この経過措置は、賃貸物件関連であればリフォームや修繕にも適用されます。費用がかさむマンションの大規模修繕工事などは、前倒しでの実施を検討してもいいかもしれません。
年内から動くことで確実に増税を回避
商談開始から契約まで最短でも2、3カ月程度かかることを考慮すると、残された時間は決して長くありません。ざっくりと契約だけ済ませ、詳細は後日に決めるという非常手段もありますが、額面は契約時に決まっていなければなりません。また、仕様の詳細などを詰めていくうちに大幅な契約変更になってしまうと別の契約とみなされ、旧税率が適用されない可能性もあります。やはり通常の手順を踏んで、早めに商談を進めるのがベターです。
値下がりが期待できない建築工事費
オリンピックなどが建築費上昇の要因に
いよいよ開催まで2年を切った東京オリンピック。オリンピック開催の決定後、工事の増加で建築工事費は上昇基調にあります。その背景には建築資材の値上がりや、東日本大震災以降から続く職人不足と人件費の高止まりがあります。
「オリンピックが終われば建築費が下がるのでは?」という予測もありますが、上記の問題が解消される見込みはなく、建築費が下がる要因は見当たりません。むしろ、大都市を中心に進行している大型の再開発プロジェクトなどの影響から、オリンピック後の建築費は上がる可能性があると言えます。
確実なコストダウンは消費税の節税
建築費が下がることが期待できない一方で、消費税が上がることは確実ですが、すでに述べたように2019年の3月末日までに建築契約を結べば消費税は8%のままです。
しかし、年が明けると増税を回避しようとする個人や企業による契約ラッシュが起きると予測されます。実際、前回の消費税引き上げ時には工事の注文が殺到して、着工まで時間がかかるという現象が全国的におきました。
契約までに時間がかかったり、綿密な商談ができなかったりすると、節税の機会を失うことになりかねません。マンション建設を検討されているなら、年内のなるべく早い時期から当社にご相談ください。