消費増税などに備えることが2019年の課題
2019年を迎えるにあたって求められる心構えとは? 経済に与える影響が大きい消費税アップなど、6つのトピックスについて整理してみましょう。
契約の時期で変わる建築費の消費税
2014年4月に8%となった後、2度に渡って消費増税が先送りされましたが、2019年10月1日に10%となるのは皆様ご存知のとおりです。現在、軽減税率制度などをめぐる議論が活発に行われています。
消費増税が土地活用に与える影響としてまず考えられるのは、マンションやアパートの建築費用の増大です。金額が大きいので、消費税が上がる前に建築しようとする人が増える事態は容易に想像できます。
建築費の消費税率が確定するのは、建物の完成・引き渡し時です。増税前に契約しても、建物の完成・引き渡しが2019年10月1日以降なら、消費税率は10%となってしまいます。
工期を考えると、消費税を8%にするための条件はかなり厳しいと言えます。そこで、2019年の3月末までに建築の請負契約が結ばれていれば、引き渡し時期にかかわらず消費税率を8%とする経過措置がとられます。とはいえ、残された時間は多くありません。賃貸集合住宅の建築をお考えの方は速やかに商談を開始されるべきでしょう。
建築工事費の高止まり傾向は継続
2020年の東京オリンピックに向けて建設工事は増加しており、建築工事費の上昇基調は変わっていません。建築資材の値上がりや、東日本大震災以降の人手不足に伴う人件費の値上がりも解消されていないので、今のところ建築工事費が下がる材料は見当たりません。大都市を中心に進められている大型の再開発プロジェクトも値上がりの要因となりそうです。建築工事を先延ばしにするメリットはないと考えてよいでしょう。
不正融資問題で金融機関の融資が低調に!?
日銀などのデータによると、2017年7月ぐらいからアパートローンの新規融資額が減少しています。この厳しい融資環境をさらに厳しくしたのが、シェアハウス投資に伴う不正融資問題です。借り入れをする人の資産状況などをごまかして融資が行われたことがニュースでも報じられ、金融機関としても新規の融資には慎重にならざるを得なくなりました。
担保がないサラリーマンなどに対しては、金融機関も貸付を渋る状況になっていると考えられます。土地を所有している場合は融資が期待できますが、将来どうなるかは流動的です。
長期にわたる低金利 最近は上昇の気配も?
日銀がマイナス金利導入を決めたのが2016年の1月。2018年10月31日の金融政策決定会合でも、長期金利を0%程度に誘導する金融緩和の現状維持が決定されました。したがって、急激な金利上昇はないと考えられますが、2018年11月の住宅ローンの長期固定金利の動きを見ると、前月に続いて引き上げる銀行が目立ちました。その上昇幅はわずかなもので、変動金利については史上最低水準のままです(図1参照)。
2016年にマイナス金利政策が導入されてから短期金利はマイナス圏で推移し、低位安定という状況。住宅ローンの変動金利に影響するといわれている短期プライムレートを長らく変化がない。2018年11月に固定金利はやや上昇したが、全体として低い水準のまま推移している。
長期金利は日銀の強い影響化にありますが、海外の経済動向や金融情勢によっては、日本の金利に上昇圧力がかかる可能性もあります。そうした事態が起きる前に、ローンを活用するべきかもしれません。
トップの沖縄は、前回は3位。東京都は2位で変わらず。宮城県は1位から3位となったが、上昇率自体は前回と同じで、仙台市中心部で進む開発が上昇要因と推測される。
大都市圏は路線価上昇で土地の担保力もアップ
もはやプチバブル?地価高騰の現状は?
2018年7月に国税庁が発表した路線価は、全国の平均変動率が前年比で0.7%のプラスで、3年連続の上昇となりました。東京、京都、大阪などの大都市圏を中心に、18都道府県が上昇しています(図2参照)。これ以外の29県では下落し、大都市圏と地方の路線価は二極化しています。
東京オリンピックに向けて様々な開発が進行していますが、オリンピック終了後の不動産価値はどう変化するでしょうか? 不動産投資オーナーおよび不動産投資検討者を対象に実施されたアンケートでは、山手線沿線や東京23区の不動産価値は現状維持、または上がると多くの人が回答しました。一方、地方では不動産価値の下落を懸念する回答が多くなりました。下落の要因となる人口減少や高齢化の影響は、地方の方が大きいと多くの人が答えています。
全国の総人口に占める割合は、2045年に東京都が12.8%(2015年は10.6%)、神奈川県が7.8%(同7.2%)に増大し、埼玉県や千葉県などでも増大すると予測されています。東京都と周辺県の総人口の割合が増大する一方で、それ以外の地域ブロックの割合が減少するという二極化は避けられないでしょう(図3参照)。
2015年に全国総人口に占める割合が最も大きかったのは南関東で、28.4%。その割合は今後も上昇し、2045年には31.9%に達する。その他の地域は横ばいか減少となる。
賃貸住宅のトレンドは災害に強い建物?
東日本大震災や広島土砂災害、大規模停電を伴った北海道の台風などがきっかけとなり、人々の防災意識は高まっています。災害に強い建物であるかどうかは、アパートやマンションを選ぶ際の重要なポイントとなると考えられます。
地震の多い日本では、賃貸住宅の耐震性の確保はオーナー様の責務と言えます。地震で賃貸住宅の建物が壊れた場合の修繕費用はオーナー様の負担となりますので、賃貸経営のリスクを減らすためにも、建物は強固なものとするべきでしょう。
着実なものとしたい 2019年の賃貸経営
消費増税のほかにも建築費や融資条件など考慮すべき点があり、なかなかビジネスの先が読みにくい状況ではあります。一方、低金利などもあり、土地活用に関してそれほど悪い材料はないと言えます。特に都市部では住宅市場も堅調で、賃貸経営も安定傾向にあります。
当社は48年の歴史の中で9万戸超の施工実績を積み重ねてまいりました。2019年も皆様の賃貸経営に貢献して参りますので、よろしくお願いいたします。