地価の上昇は、売却や土地活用のプラス要因
売却?賃貸経営?土地活用の選択肢
所有している土地の活用を考える際、自己使用しないのであればまず売却または運用のどちらかを決断する必要があります。
売却して現金化した場合、印紙税、住民税、所得税がかかります。住民税と所得税は譲渡所得(売却価格ー取得費ー譲渡費用)に対してかかるものです。土地を相続した場合など取得費が不明な場合は、売却価格の5%を「概算取得費」とします。
したがって、相続した土地の場合は、売却価格の大半が譲渡所得と判断され、その15%が所得税、5%が住民税として徴収されることになります。売却する土地の所有期間が5年以下の場合、さらに税率は高くなります。
このように、相続した土地を売却する場合はかなりの税金がかかることを念頭に置く必要があります。都市部など賃貸需要があるエリアでは、土地を活用した賃貸経営も検討すべきでしょう。後述するように、アパートやマンション経営には、税金の優遇措置で固定資産税や都市計画税が大幅に減額されるメリットもあります。
地価は今がピーク?土地売却は早めがベター
土地は、ただ持っているだけでも固定資産税や都市計画税がかかるので、売却して確実に現金化するというのも一つの考え方です。現在、大都市圏や人気観光地の不動産価格は高止まりしているので、売却の好機と言えます。
2019年7月に発表された首都圏の路線価の上昇率を見ると、東京都4.9%、千葉県1.0%、神奈川県0.9%、埼玉県1.0%で、6年連続の上昇となりました。大阪府も1.9%で6年連続上昇、愛知県は2.2%で7年連続の上昇となっています。(図1参照)
路線価の上昇に伴い、税負担も増加します。負担調整措置はあるものの固定資産税が上がりますし、相続評価に関しては上昇を免れないため、相続税負担は増えることになります。特に近年は税制改正などもあり、過去に検討した相続税対策は役に立たないケースがありますので要注意です。
路線価の上昇要因として考えられるのは景気回復や大規模開発、鉄道新線開通、インバウンドの増加によるホテル需要の高まりなど。路線価の上昇率が高い大都市圏や集客力のある観光地と、それ以外の地域の二極化傾向が続いています。
東京オリンピックをプラス材料として上昇した地価がどうなるか判断は難しいところですが、オリンピック後も大阪万博や統合型リゾート(IR)の誘致、リニア中央新幹線開通などのトピックが控えています。訪日観光客の増加傾向も定着していると思われますが、地価は今がピークだとする見方もあり、先を見通すことは難しい状況です。
賃貸経営のメリット・デメリットを理解する
賃貸経営による節税は大きなメリット
土地の売却のメリットは、早く確実に現金に変えられること。もちろん土地の所有権は失いますが、リスクを取らずに現金化できます。一方、土地活用には借り入れなどリスクがつきものですが、継続的に収入を得ることができます。
所有しているだけで税金がかかる土地ですが、効果的に節税が行える方法としてアパート・マンション経営が挙げられます。住戸一戸あたりの広さにより軽減措置を受けることができ、更地の状態と比べて固定資産税が最大で1/6、都市計画税が最大で1/3になるというメリットもあります。(図2参照)
所有している土地に建物を建てると、建築代金の6割前後が相続税評価額となります。建物が賃貸住宅であれば、さらに評価減につながります。小規模宅地等の特例措置が適用されると、土地の相続税評価額が最大8割減となる点も見逃せません。評価を下げることで減税することができます。
なお駐車場経営の場合、こうした優遇処置はありません。そのため、地価が高いエリアでは、納税額に大きな差が出てきます。
土地の特性に合わせた活用法を選択
土地活用の方法としてまず考えられるのは賃貸経営。木造のアパートは建築費を抑えることができ、比較的低リスクで経営することが可能です。RC造のマンションは、建設費などの初期費用が高くなりますが、その分耐久性に優れ、機能性やイメージの高さから賃料を高めに設定することも可能です。
ほかにも、オフィス賃貸経営や駐車場経営、トランクルームなど、土地活用には様々な選択肢があります。土地が持つ個性にもよるので単純には言えない部分もありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。(図3参照)
土地活用で考慮すべき点は多岐にわたりますし、売却を考える際にもただ売るのではなく、資産の組み換えも含めて検討することが重要です。
当社では賃貸マンション・アパート経営はもちろん、売却も含めて最適なご提案をすることが可能です。土地活用でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。