リフォームで他の物件との差別化を図る
設備の充実で物件の魅力を高める
多くの社会人や学生が新生活をスタートさせる4月を前に、賃貸需要がピークを迎えるのは12〜3月。この時期に入居者を確保することは、賃貸経営の必須条件です。
しかし、繁忙期だからといって空室が自然に埋まるわけではありません。競合物件がある以上、それらに負けないような対策が必要です。
入居者募集が活発になる時期、入居者を確保するためには他物件との差別化を図りたいもの。差別化方策の一つとして挙げられるのが、リフォームによる住宅設備の充実。入居者にとって必須の基本設備はもちろん、周辺相場より家賃が高くても入居を促すことができるだけの魅力を持った設備の導入を検討しましょう。
入居者が求める最低限の設備とは?
週刊全国賃貸住宅新聞では、毎年「この設備がなければ入居が決まらない TOP10」を発表しています。(図1参照)
これによると、単身者向け・ファミリー向けともに1位となっているのが、室内洗濯機置場。ベランダや玄関ドア外などに洗濯機置場がある場合、条件が許せば室内移動がおすすめです。
このほかに単身者向け・ファミリー向けの両方で5位以内に入っているのは、TVモニター付きインターホンや独立洗面台、洗浄機能付き便座。これらを基本設備とし、その他の設備はターゲットとする入居者像に合わせて選択するのもいいでしょう。
なお週刊全国賃貸住宅新聞では「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10」というランキングも発表しており、1位は単身者向け・ファミリー向けともにインターネット無料。エントランスのオートロックは単身者向けが2位、ファミリー向けが3位。これらはどちらの層にもニーズがある設備と言えます。
リフォームの際は費用対効果を考えて設備を選択
人気の設備の中には、かなりコストがかかるものもあります。洗濯機置場の室内移動は、給排水設備を移動できる場合のみ可能ですが、費用は10〜20万円といったところで、ニーズの高さからするとまずまずの費用対効果が期待できます。一方、ファミリー向けで人気の追いだき機能は20万円前後からと高額なので、建物の寿命なども考慮して設置するかどうかを決めたいところです。(図2)
ワンランク上の設備として注目のIoT機器
最近では、IoT機器を備えた賃貸物件も登場。センサー付きのセキュリティ機器が不在時の窓の開閉をスマートフォンに通知したり、家電などをスマートフォンで操作したりといったことが可能になっています。入居率が落ちて来ている場合、設備の陳腐化が原因の可能性もあるので、最新の動向のチェックはこまめに行うようにしましょう。
建替えを決断するポイントとは?
老朽化が進んだ建物は修繕費用が増大
住宅設備の充実は比較的安価に行えますが、建物の老朽化が進むと修繕の費用がかさむようになってきます。とくに、10年、20年といったスパンで行う防水工事や外壁塗装、配管更新といった大規模修繕は金額的に大きな負担となります。低コストで建物を延命させる手段としてリフォームは有効ですが、修繕費や維持費が高くつく古い物件では、リフォームのコストパフォーマンスも今ひとつです。
大規模修繕の時期は建替えのタイミング
一般的に外壁工事は約12年おきに必要ですし、給排水管や給水ポンプは約20年、エレベーターは約30年で更新しなければなりません。入居者様の安全性や快適性を確保するために修繕は必要なことですが、築20〜30年の建物を修繕するか、修繕費を建替え費用に回すかは悩みどころです。
修繕費用の例ですが、RC造20戸(1LDK〜2DK)の場合、16〜20年目で一戸あたり約23万円(棟あたり約460万円)となります。これには、ベランダ・階段・廊下の塗装や室内設備の修理、給排水管の洗浄・交換などが含まれます。21〜25年目の修繕費用は棟あたり2,320万円にまで膨れ上がりますので、30年目からは、将来の建替えも考慮した資金繰りが重要です。(図3参照)
建替えにより、修繕などの運営費の削減だけでなく、家賃収入の増加も期待できます。とは言え、地域の賃貸需要も含めた経営的判断は必要です。当社は土地活用・賃貸経営事業を50年に渡って展開しており、累計着工戸数9万7千戸を超える実績があります。リフォームや建替えをお考えの方、土地活用にお困りの方はお気軽にご相談ください。