相続に備えた底地(貸宅地)・借地の売却・買取りを考える

土地や建物に関するコンサルティングカンパニーSEIWAから土地オーナーの皆様の今後をサポートする情報を毎月お届けする「生和ジャーナル」vol99

SPECIAL FEATURE
相続に備えた底地・借地の売却・買取りとは

相続に備えた底地(貸宅地)・借地の売却・買取りを考える

権利関係を整理し、土地の価値向上と活用を両立

売却と保有継続のどちらを選択するかが問題

底地の所有者を悩ませる権利関係

底地(貸宅地)とは、地主から借りた土地(借地)に家を建てて住む借地人がいる土地のこと。底地を所有する地主(底地権者)と借地人(借地権者)という複数の権利者がいる土地ということになります。

底地の問題点としてまず挙げられるのが、権利関係の複雑さ。複数の借地人がいる場合もありますし、亡くなった借地人に複数の相続人がいて借地権者が増えるケースもあります。相続で権利者が増えるのは地主側でも起こり得ること。いずれにしても、権利関係が複雑になった土地は売却などの合意形成が難しく、市場に出しにくくなってしまいます。

基礎控除の縮小によって相続税が高くなっているのも問題です。相続税法の改正があった2015年あたりから、底地を持つ地主やその家族の意識も変わり、底地売却を買取り業者に相談する件数が増えてきました。

困難を伴う地代の値上げ交渉

相続が発生した後の税金負担に対応するため地代を上げたいところですが、昨今の厳しい経済環境下では、値上げに応じてもらうことは困難です。また、代々住み続けてきた借地人には、心情的に値上げ交渉がしにくいものです。もちろん、地代は双方の合意がなければ上げられませんので、交渉が長引くことは覚悟しなければなりません。

底地の問題の解決には売却か保有を選択

こうした問題を解決するためには、売却か保有のどちらかを選択する必要があります。売却には、底地のみの売却と、借地権と底地をセットにする同時売却があります。保有には、借地権の買戻しや等価交換などがあります。保有を継続する場合は、地代の値上げ交渉も視野に入れる必要があるでしょう。

ややこしい問題がなくなる「底地売却」

よくあるケースが、相続税の支払いのための売却。借地人が多すぎたり、借地人との関係がこじれたりしている場合に、借地人との関係を精算するために売却するケースもあります。

住宅地の場合、一般的に借地権割合は6〜7割で、底地を所有する地主の持ち分は3〜4割程度。買取り業者に底地を売却する場合、買取り業者が市場に出すための費用や利益を差し引くと、所有権として通常の不動産マーケットで販売する価格の1〜2割程度になります。

借地人に売却する場合は、買取り業者よりも高い金額での売却が期待できます。買うよりも地代を払い続けるほうが得と借地人が考えているとしたら売却は難しいですが、借地人が建物を建替えたがっている場合は別。借地のままだと住宅ローンの審査が通りにくいため、底地を買って借地権を外そうと考えるかもしれないので、売却のチャンスとなります。

資産を引き継ぐことも見据えた選択を

高値での売却が見込める「同時売却」

地主の持つ底地と借地人の借地権を同時に売却する「同時売却」。土地の所有権が得られるため、権利を別々に売るよりも高値での売却が可能になります。また、一般的な不動産のように、インターネット上などに土地の情報をアップして集客することもできます。借地人側にとっても、同時売却の場合は地主への承諾料が不要になるというメリットがあります。

同時売却を実現するには、借地人が借地権を手放したがっているタイミングであることがベターです。したがって借地人の人数が多いと、意志の統一がしにくくなるため、売却は困難になります。売却を急いでいる場合、同時売却は選択肢から外さざるを得ないと言っていいでしょう。

完全所有で相続対策にもなる「借地権の買戻し」

借地人に相当額を支払って地主が借地権を買うのが「借地権買戻し」。土地の完全な所有権が得られます。同時売却と同様に、借地人に借地権を売る意志があることが前提条件です。

権利者がまとまるため、相続時に現金化しやすいです。また、所有権化した土地に節税対策を兼ねて賃貸物件を建てるといったことも可能になります。

分割しやすい資産になる「等価交換」

不動産の権利を交換することを「等価交換」といいます。底地の場合、地主と借地人の権利を交換することによって、土地に複数の権利者がいない状態にできます。複雑な権利関係がなくなり、売買もしやすくなります。

例えば100坪の土地で、地主が持つ60坪の底地権と借地人が持つ40坪の借地権を交換すれば、地主は40坪の土地の所有権を得ることができます(特例により譲渡税はかかりません)。底地100坪より所有権化した土地40坪の方が売却しやすく、相続の際のリスクも減らせます。

地主と借地人から土地の提供を受け、デベロッパーが建設資金などを負担してマンションを建設する等価交換マンションも同様のメリットがあります。

保有を続け収益性も高まる「地代の値上げ」

すぐに売却できない事情がある場合は、「地代の値上げ」が収益性アップの早道です。とはいえ、地主が地代改定の交渉をするのはかなりの負担。そういう場合は土地の管理を委託し、不動産業者を通じて地代の改定交渉を行うというやり方もあります。

最適な解決策の選択にはプロの目が必要

複数の権利者がいる底地にまつわる問題は、地主様の事情によって解決策も変わります。当社ではベストな解決策のご提案から売買、土地活用まで幅広くお手伝いが可能ですので、お気軽にご相談ください。

ONE POINT!

天野 幸治

生和コーポレーション株式会社
不動産開発部
プロジェクトリーダー 天野 幸治

相続に備えた底地(貸宅地)・借地の売却を考える

日本の法律においては弱者救済の視点から借地人が有利です。相続税路線価割合が示すように、借地権と底地の割合は住宅地では60〜70:40〜30、商業地では70〜80:30〜20と、借地権割合の方が資産価値が高いとされています。
土地活用の計画は施主様所有地に、収益物件の建築と安定収入を提案するものです。
借地権や底地のケースは以下の2つに大別されます。借地人が底地人に建替え承諾料を支払い土地活用する 借地人または底地人が、底地または借地権を買取って完全所有権にし、土地活用する 昨今の地価高騰は、借地人や底地人にとって当該権利売却のチャンスです。弊社は借地や底地でも双方の権利者の買取り調整等を図り、お客様利益の最大化を目指し、積極的に顧客提案することが可能です。特に商業地等の高度利用可能なエリアでの土地活用手法として、売却の検討は極めて重要と言えるでしょう。

世界の有名な建築物をご紹介します!

シアトル中央図書館(アメリカ)

シアトル中央図書館(アメリカ)

1街区をまるごと敷地として建てられ、2004年に開館。斜面に位置し、入口が1階と3階に設けられています。設計したのは、オランダの建築家レム・コールハース。ランダムに積み重ねた本をイメージしたという建物は、ガラスを菱形のフレームで支えたダイナミックな造形の外観が目を引きます。内部には開放的な空間が広がり、複雑につながったフロアの随所に読書や仕事ができるスペースが配置されています。無料で使える数百台のコンピュータやオンライン会議用の会議室、カフェなどもあり、年間を通して様々なイベントやワークショップを開催。社会に開かれた図書館として愛されています。

生和コーポレーション編集部

「すべてはオーナー様のために」をテーマに、土地をお持ちの方の目線で、不動産の有効活用に関連する情報を発信しています。当社の豊富な実績をもとに、税理士や建築士、宅地建物取引士などの有資格者が監修した記事も多数掲載。賃貸マンションの建設・管理から相続や税金の話まで、幅広いコンテンツを公開中。

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会社名
生和コーポレーション株式会社
所在地

西日本本社
大阪府大阪市福島区福島5丁目8番1号

東日本本社
東京都千代田区神田淡路町1丁目3番

会社設立
1971年(昭和46年)4月16日
お問い合わせ・ご連絡先
0120-800-312

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