インターシップ プログラム 2019
実施レポート
生和コーポレーションでは、8月後半から10日間のインターンシップを実施。最後の4日間では4チームに分かれ、コンペ形式のワークショップを行いました。学生たちは、学校で習得した専門知識やスキルを応用し、コンセプトづくりやデザイン制作など、実際の仕事を想定したプログラムに挑戦。与えられた条件に沿って課題に取り組みながら、仲間とのコミュケーションの大切さ、限られた時間の中で課題を解決する力などを学び取った4日間となりました。
- 満足度が高いポイント! 成長支援の充実
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インターンシップでは、常に自分と向き合い、新しい気付きや課題を発見するために、「目標設定」「振り返り」「先輩社員からのフィードバック」を実施。就職活動はもちろん、仕事で活躍する上で不可欠な素養やスキルを身につけていきます。
インターンシップで学べる「力」
成長を促す行動サイクル
- 課 題
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100年先のまちづくり
神田にある創業130年の歴史を持つ
「老舗オーダーメイドスーツ」ブランドの本社ビルの建替え- 課題①店舗コンセプトの提案
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エリアマーケティングやオーナー様の想いを元に、1階店舗の「外観」と「内観」コンセプトを決め、資料にまとめる。
- 課題②外観・内観デザインの提案
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考えたコンセプトに基づき、1階店舗の「外観」と「内観(レイアウト・動線設計)」のイメージ模型を制作する。
- スケジュール
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考える
概要説明
物件見学
エリアマーケティング
アイデア出し -
形にする
コンセプト決定
プレゼン資料作成
イメージ模型作成
プレゼンリハーサル -
提案する
プレゼンテーション
結果発表・講評
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考える
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01
アイスブレイク
チームに分かれた後、自己紹介を兼ねて、好きなことだけをまとめた「自己紹介シート」を各自作成して交換。趣味や食べ物、音楽、映画など、和気あいあいとした雰囲気の中でコミュニケーションを深めていきます。
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02
物件見学
建築中の物件を見学。図面と現場を見比べたり、写真を撮ったりしながら、立地や広さなどをチェックしました。現地を自分の目で見て肌で感じながら、デザインするイメージを膨らませていきます。
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03
エリアマーケティング
チームごとに物件の周りを歩き、周辺の環境や立地条件、人の流れ、道路事情などを調査しました。神田という街の特徴や、競合店舗の状況など、さまざまな視点でエリアの特性をつかんでいきました。
各チームのエリア調査方法
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a
オーナー様の現在の店舗を調査。店員に客層や店のこだわり、この辺りに
スーツ店が多い理由などをヒヤリング。コンセプトづくりのヒントも得られた。 -
b
秋葉原~神田駅周辺を中心にリサーチ。ショーケースにマネキンをあえて置かない“新しいショーケース”のアイデアのためのヒントを探した。
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c
オーナー様の店舗で、店のこだわりや客層、照明、どんな店にしたいかなどを
店員にヒヤリング。また、周辺を歩いて街並みの雰囲気などもリサーチ。 -
d
「電車で来る人」「車で来る人」を想定し、駅からの動線や大通りからの動線を確認。また、周囲の新しい建物や古い建物、競合他店なども調査。
形にする
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01
コンセプト決定
店舗づくりの要となるのがコンセプト。チーム内で出し合ったアイデアを深掘りし、時に白熱した議論を交わしながら、コンセプトを練り上げていきます。
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02
プレゼン資料作成
チームごとにまとめたコンセプトシートをもとに、PowerPointでプレゼン用の資料を作成。どんな言葉が伝わるか、どのような見せ方が効果的かなど、試行錯誤しながらわかりやすくまとめていきます。
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03
イメージ模型作成
コンセプトを具現化するために、壁材や床の色、動線、家具の配置など、店舗のトータルデザインを考えます。色や素材のイメージを模型に乗せたり、独自のパーツを作ったりしながら、模型を仕上げていきます。
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04
プレゼンリハーサル
ここまで作り上げた資料と模型で、実際のプレゼンを想定したリハーサルを実施。内容だけでなく、話し方や発表者の役割分担、時間の使い方など細かいアドバイスを受け、本番に向けて修正点を確認しました。
提案する
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01
プレゼンテーション
いよいよ本番。10分間の持ち時間を使い、練りに練ったコンセプトと店舗デザインを提案しました。それぞれアイデアや工夫が盛り込まれ、表現の仕方にもチームの個性や自信が垣間見られました。
結果発表・講評
最優秀賞:Team A
スーツから始まるあなただけの物語
新店舗から神田の街へスーツ文化を発信していくというストーリーと、お客様がスーツに巡り会うストーリーという2つの物語をコンセプトに設定。接客から生地選び、スーツの完成までの流れ=物語を、曲線を描く商品棚で構成した動線と、天井から吊したスーツの生地でドラマティックに表現した。
生和コーポレーション 専務取締役
立地や将来性はもちろん、スーツをインテリアに利用することで、テーラーという業態や、生地に誇りを持つオーナー様の思いなども明確にコンセプトに盛り込めていた。ターゲットを若い世代まで広げ、古いものと新しいものをミックスさせようとする未来型思考に可能性を感じた。
強い個性の集まりだったので、作りたいイメージを共有し、1つのコンセプトに落とし込むのに苦労しました。コンセプトづくりにいちばん時間をかけましたが、時間配分がうまくいかなかったところが課題。計画性を持って進める大切さを実感しました。
プレゼンテーション賞:Team B
魅せる、仕立て屋
「みせる」をキーワードに、店の伝統や歴史を見せるディスプレイ、仕立てを見せる動線、スーツを見せるレイアウトで構成し、ギャラリーのような雰囲気を演出。また、外観には神田の街を象徴する赤レンガを採用し、街並みとマッチする老舗の歴史や風格を表現した。
生和コーポレーション クリエイティブディレクター
街や店の歴史を踏まえたデザインは、「100年先の街づくり」というテーマをしっかり盛り込めていた。ボディランゲージを交えた話し方や、インタビュー形式での進め方など、プレゼン方法のアイデアとチームワークが際立っており、説得力のあるプレゼンだった。
どのアイデアでいくのか、見栄えを考えて模型をどこまで作り込むかなどかなり悩みました。学校ではチームで作業をすることは滅多にないので、グループワークの進め方や、コミュニケーションを取りながら仕事を進める大切さも学べ、いい経験になりました。
コンセプト賞:Team C
一瞬に一生の個性を
ターゲット年齢を35歳〜に設定し、年齢に合わせたスーツ選びができるよう、ライフステージに添った陳列と“円形”を用いたデザインで構成。円筒型の透明のディスプレイで近未来感を、外観にランダムに施した木のルーバーでオーダーメイドによる個性と手縫いの味わいを表現した。
生和コーポレーション 設計部
中央の採寸スペースや、360°見える円筒型のディスプレイなど、「円形」というアイデアを持ち込んだこと、また入口正面に大きな鏡を配置したことで、「一瞬」「個性」「近未来」というキーワードをうまく落とし込めていた。プレゼンでは手元を見ずに、自分の言葉で話せるとさらによかった。
コンセプトをデザインにどう落とし込むか、限られた時間の中で完成に近づけるのが難しかった。1人では思いつかないアイデアを出し合い、共有できるのがチームワークの魅力。率直に意見を言い合えたことで、お互いを信頼して取り組むことができました。
アイデア賞:Team D
手縫いこそ個性
「手縫い技術」というテーラーの特性を、中央に据えた“見せる作業台”で表現・強調したアイデア。また、裏通りという立地を考慮し、白い外壁やガラス、店の側面のあしらいなど明るく人を引きつけるデザインで、オーナーのこだわりと来る人の高揚感・期待感を同時に演出した。
建築家 川辺直哉先生
中央に作業台を置くことで「手縫い」という店の特性をうまく表現できていた。また、床のレベル差を付けることで客の高揚感を演出したり、スーツの色を見るのに適した外光を取り入れたアイデアがよかった。周辺に競合店が多いので、個性をもう少し深掘りしてみてほしい。
素材選びからデザインまで、チームでの作業の中でお互い妥協する点もありましたが、結果的に全員が納得できるものに仕上がったと思います。それだけに最優秀賞を取れなかったのが悔しい!実際の仕事を疑似体験することができ、仕事に対する視野が広がりました。
人事担当者コメント
- 「圧倒的に成長」できるインターン
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流行りのインターンは1日完結型の企業説明会が多い中、弊社のインターンは4日間の職業訓練型インターンです。コンペを通して学生には「より良いモノを創るにはどうしたらよいか」限られた時間の中で、クライアントに満足してもらう方法を模索していただきました。その中で今回「3つの学び」の機会を学生に提供できたのではないかと思っています。
①「目的の大切さ」
コンペでは実際のクライアントを想定して提案をしていただきました。クライアントが求めるモノ創りとは何か。プレゼンや模型の出来栄えだけでなく、厳密な審査を通してコンセプトの大切さに気付く機会を用意しました。
②「こだわりの活かし方」
建物の設計では、いくつかの提案からクライアントが選ぶコンペが一般的ですが、その時に大切なことが「他とは違うこだわり」です。自分に設計を任せてもらえば、どんな価値が提供できるのか。クライアントの目的を見失わずに、他にはない強みをどうやって出すのか。試行錯誤しながらこだわりを磨き上げてもらいました。
③「現状の自分のチカラ」を知ること
この時に大切なのは、理想と現状の自分のチカラの差を知ることです。やみくもに頑張ってチカラをつけるのは大変です。インターンでは、将来の理想像とインターンを通しての目標、日々の行動目標を元にインターンに取り組んで頂きます。これによって自分のチカラを自ら知り、指導担当からのフィードバックで客観視をして、インターン終了時には自分のやるべきことを明確にできるプログラムを用意しました。
実際に参加いただいた学生から、「勉強し直したいことが見つかった!」等の前向きな声が聞けたので、今後も「学びの多い機会」を生和コーポレーション一同で創り上げていきたいと考えています。