インターンシッププログラム 2021
「未来へつながる家」
本年度のインターンシップは、新型コロナウイルスの状況に配慮し、オンラインとオフラインを併用して実施しました。10日間の期間のうち後半の4日間では、コンペ形式のグループワークに挑戦。学生たちは5チームに分かれ、SDGsにも配慮しながら、神田に実在する賃貸マンションの最上階の部屋づくりに取り組みました。学校で学んでいる専門知識やスキルを応用し、コンセプト考案から間取り設定・デザイン制作など実際の仕事を想定したワークショップを体験。フルリモートの参加者が交じるチームでは、役割分担の工夫が見られました。与えられた条件と限られた時間の中で課題に取り組みながら、コミュニケーションの大切さや、ファシリテーション力、課題解決力などを学び取った4日間となりました。
満足度が高いポイント! 成長支援の充実
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インターンシップで学べる「力」
成長を促す行動サイクル
インターンシップでは、常に自分と向き合い、新しい気付きや課題を発見するために、「目標設定」「振り返り」「先輩社員からのフィードバック」を実施。就職活動はもちろん、仕事で活躍する上で不可欠な素養やスキルを身につけていきます。
参加した学生の声
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社員が親切で楽しそう!
社員の方が楽しそうに自分の仕事を語っているのが印象的だった。コンペで実際に設計した方や外部のプロの方に評価していただけたことは貴重な経験だった。
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きめ細かな指導
実際に設計を行い、社員の方からフィードバックいただくことで、自分に足りない点や、学校の課題との違いを知ることができた。実務で培われた技を教えていただき、とても感動した。
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成長できる学習の場
コンペでは、自分にない発想を他の人を通して学ぶことができ、とても良い体験になった。また、外部の設計者から直接評価いただいたことで、今の自分に足りないものを発見できた。
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カリキュラムが手厚い
建築業界のことだけでなく、インターン生一人ひとりの成長に対する講義は非常に勉強になった。こうした場を設けていただく機会が今までになかったので、貴重な体験になった。
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業務内容がおもしろそう
モデルルーム見学で、実際にお客様に紹介するお部屋がどのようなものかを見られたことがよかった。見ていてとてもワクワクした!
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新しい視点を発見
大学の課題では「おもしろくて尖った設計」を意識していたのに対し、実務では「整っていて効率的な設計」が求められることを知り、新しい視点で設計する体験ができた。
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課題内容
・ターゲット層に合わせて間取りのコンセプト(設備・家具を含む)を考え、提案する。
・物件名を提案する(※SDGsにも配慮すること)
(物件:神田の街に建替える14階建てマンションの最上階)ターゲット層
単身者 / DINKS / ファミリー / シニア夫婦から自由に選ぶ。
提出物
1.コンセプトシート
エリアマーケティングやターゲット分析を元に、コンセプトや間取りを決め、資料にまとめる。2.間取り提案プレゼン資料
考えたコンセプトに基づき、間取りや設備、インテリアのイメージを表現する模型やパース図を制作する。 -
インターンシップの流れ
DAY 1
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1.現場見学
生和が建築した高層賃貸マンションのオーナー様向けモデルルームを見学し、立地や広さなどをチェックしました。実際の物件を自分の目で見て肌で感じながら、デザインするイメージを膨らませていきます。
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2.ターゲットへのヒアリング
チームごとに単身者、DINKSなどに該当する各ターゲット層の社員へインタビュー。日頃の生活や仕事内容、住まいへの要望など、住む人のマンションに対するニーズや思いを拾い上げました。
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3.ターゲットの設定
神田という街の特性や、社員へのヒアリングを元に、部屋づくりの軸となるターゲット層を決定。家族構成、年齢、仕事、趣味などイメージ像を細かく設定します。
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4.コンセプト決定
間取りづくりの要となるのがコンセプト。設定したターゲットの満足度、地域との調和、社会への貢献を考えながら、コンセプトとキャッチコピーを練り上げていきます。
DAY 2&3
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5.間取りづくり
コンセプトを具現化する間取りを細かく決めていきます。部屋数、室内のイメージ、水回りの位置、インテリア、動線など、アイデアを図面に落とし込みます。
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6.プレゼン資料作成
まとめたコンセプトシートをもとに、スライド用資料や3Dパースなどを作成。どんな言葉が伝わるか、どのような見せ方が効果的かなど、試行錯誤しながらまとめていきます。
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7.イメージ模型作成
コンセプトやデザインをより具体的に見せるために、壁材や床の色、家具、設備などを落とし込んだ模型を作成。個性あふれる模型が仕上がっていきます。
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8.プレゼンリハーサル
実際のプレゼンを想定したリハーサルを実施。プレゼン内容、声の大きさやスピード、時間配分などについてアドバイスを受け、本番に向けてブラッシュアップしていきます。
DAY 4
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9.プレゼンテーション
生和の役員やクリエイティブディレクター、坂倉建築研究所の建築家を審査員に、プレゼンテーションを行いました。10分間の持ち時間をフルに活かし、4日間かけて作り上げた成果を発表。それぞれ斬新なアイデアや工夫が盛り込まれ、プレゼン方法にもチームの個性が際立ちました。
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最優秀賞発表&講評
最優秀賞:Team C
「引っ越させない家」
1人の男性の人生を時間軸に、年齢や結婚・子育てといったライフステージに合わせてフレキシブルに変えられる空間を具体的に提案した。天井に1m方眼の溝を作り、多彩な可動式壁を使うことで多様な間取り変更が可能に。可動式壁はマンションで共有し、リユースするという持続可能なシステムを考案した。
坂倉賞:Team A
「受け継がれる住宅」
「外と内をゆるやかにつなぐ」「人が集うコミュニケーションの場」「プライベートとパブリックを仕切る」の3つの役割を担う“土間”を、住居の中心に配置。壁を少なくし、可変性のある間取りを可能にすることで、どの世代にも柔軟に対応できる持続可能な住まいを提案した。
- 講評
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土間を大空間の中心に置くというアイデアが大胆でおもしろい。ふすまで仕切るシームレスな空間は、住む人にとって自由に使い方が広がり、いちばん住んでみたいと感じた。強いて言うなら内と外のつながりという点で、外の空間も一緒にとらえたアイデアがほしかった。
- 学生の感想
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なぜ土間にしたかという説得力を持たせるため、具体的な活用方法へ落とし込むのに苦戦しました。「一番住みたいと感じた」という一言が嬉しかった! みんなの個性を出し合いながら、最終的にいいものが仕上がったと思います。
設計賞:Team B
「Enjoy Change Life」
季節・昼夜・天気といった「外的な変化」と、家族構成やライフスタイルといった「住む人の変化」を楽しむ空間づくりをコンセプトに設定。芝生を敷いた半屋外空間、間取りを変えられる格子状の間仕切りなどで、季節や時間の移ろいを感じながら、仕事や趣味を楽しめる暮らしを表現した。
- 講評
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半屋外というアイデアを提案した唯一のチーム。ここにあえて本物の芝を敷いたところがポイント。程よい距離感を演出する小上がり、目線をずらす効果のある段差、おこもり感のあるワークスペース、動線など、人の住まい方がよく考えられた案だった。
- 学生の感想
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半屋外空間だけでなく、それ以外の部屋をどう活かすかにも注力しました。リモート参加のメンバーもいたので、コミュニケーションの大切さ、いろいろな意見を1つにまとめて進めていく難しさも実感しました。
アイデア賞:Team D
「Collection」
シニア夫婦の30年+その後の20年、約50年を想定した可変性を軸に、建物や街への愛着を醸成する住まいをコンセプトに設定。趣味の絵などを飾れる三角形の廊下や、バルコニーと一体化したサンルームなど、個性的な空間を盛り込みながら、住む人に合わせられる柔軟な間取りを提案した。
- 講評
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ターゲット層の趣味や生活に配慮し、素材選びやバルコニーの使い方までよく考えられていた。廊下をギャラリーとして活かすアイデアがとてもユニークだったが、窓がないため明るく開放的な空間にするといった視点があるとさらによかった。
- 学生の感想
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ワークショップを通して、実際にお住まいになる方の目線を意識できたことが一番の収穫。自分がチームに貢献していると感じながら作業を進められたことや、自分の考えに対して意見をもらうという経験が成長につながりました。
プレゼン賞:Team E
「本当の設計者はあなた」
2人の時間を共有できるよう、あえて壁を作らない大空間で、家具の配置を移動することで間取りを自由に変えられる住まいをコンセプトに設定。“食べること”という共通の趣味を踏まえて中央にキッチンを設置し、お互いの存在が感じられる自由な生活空間を創出した。
- 講評
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昨今の住宅はプライベートを大事にしがちだが、大空間の心地よさやフレキシビリティといった、昔ながらの日本の住まいの良さが重視されている案だった。CGで実際の部屋のイメージを視覚化したプレゼンがとてもわかりやすかった。
- 学生の感想
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模型制作とアニメーション、3D、企画書作りと、それぞれの得意を活かして役割分担し、スムーズに進めることができました。チームでのコミュニケーションや3Dパースのスキルなど、学べたことはとても多かったです。
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人事部担当者コメント
他校の学生との協力が、学びを高めてくれる
今年の特徴は大きく2つ、「SDGs」と「オンラインとオフラインの同時開催」です。例年以上に、課題の難易度もコミュニケーションのハードルも高くなります。しかし、慣れない課題ながら実際の住む人の暮らしを想像して、大胆な間取りやユニークな活用方法を提案してくれました。ただし、今年一番の良かった事は「周りを引き立てながら自分も成長」した学生が多かったことです。人のアイデアを一緒に楽しんで、さらに考えを深め、困ったときはお互いに手を貸し、周りの頑張りに応えようといつも以上に張り切る。そうして切磋琢磨しながら成長できた学生が多くみられました。グループ課題だからこそ、気づけたことや乗り越えられたものが多く、学生に多くの成長を与えてくれるインターンになりました。学校での課題の多くは一人で実施するものが多いため、一人で何とかしようとする能力は高い学生が多いです。企業がインターンを開催する意義として、学業の枠を超えて実践で活躍するための学びを今後も提供していけるように、より良いコンテンツ開発をしていきたいと思います。
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住む人の人生に合わせたイメージを具体的に見せるプレゼンがとてもよかった。また時代の変化に対応できる可動式壁や、「引っ越させない」というオーナー目線のコンセプトなど、世代・時代・オーナーという3つのポイントがしっかり考えられていた。印象的なタイトル、話し方など、聞いているだけでワクワクするプレゼンだった。
コンセプトづくりにもっとも力を入れましたが、どう具現化するのかかなり悩みました。初対面のメンバーと協力し、ひとつのものを作り上げる作業はとても新鮮でした。4日間という短い時間でしたが、自分たちが納得するものにたどり着けたと思います。