生前の不動産対策でさらに相続税を減らす

生前の不動産対策でさらに相続税を減らす

相続税対策は元気なうちに

あるとき、70代の土地持ち資産家の方が専門家のもとへ来られました。ご自身が入院されたことをきっかけに相続のことをお考えになり、何から始めるべきか相談にいらしたのです。税理士の先生は財産についてまずお話を聞き、土地に関する節税効果の高い方策を練りました。そして、いざ本格的に相続税対策を始めましょうという矢先、その方は亡くなってしまったのです。

その間、わずか1カ月。対策らしいことは何もできませんでした。このようなことは、実は珍しくありません。「いずれもっと年をとったり、病気になったりして、今ほど動けなくなる。そうしたらぼちぼち相続について考えるよ」という方もいます。しかし、実際にそうなってみると、相続対策にはなかなか手をつけられないものです。

人間、病気になってしまうと、財産のことまで考える精神的・時間的余裕がなくなります。私としてもそのようなときに慌てて相続対策に着手するよりは、治療に専念し、家族との時間を大切にしてほしいと思います。

また、子どもたちにとっても、重い病気を患っていたり、余命を宣告されたりした親に相続対策の話をするのは、精神的な負担になります。いくら必要だとしても、「この土地をこんなふうに分けて…」などという話は、なかなか言い出せるものではありません。

それゆえ、土地持ち資産家の方、つまり財産を次世代に引き渡す立場の方は、少し早すぎると思う時期から相続対策を始めてほしいと思うのです。

財産の規模が大きい土地持ち資産家ほど相続対策を生前から行う傾向にあります。しかし、全体的には、生前対策を行っている土地持ち資産家はそれほど多いとは言えません。十分な時間があれば十分な相続対策や相続税節税対策を行うことができるのに、その機会を逃してしまうのは大変もったいないことです。

相続税対策には時間がかかる

生前に相続対策をする意義は、不動産を含めた相続財産について、最善の分割方法について話し合いを行い、相続税の節税方法について、事前に検討することができるところにあります。

しかし、前に述べたように、生前の相続対策および相続税対策を行うためには相当な時間がかかります。

また、税理士等の専門家にとっては、その土地持ち資産家の方のすべての財産について完全に把握した上で、相続対策・相続税対策をご提案する必要があります。その土地持ち資産家の方の部分的な財産のみ把握しただけでは間違った対策を提案してしまうことになり得るのです。

土地・建物をどこにどのくらい所有しているか、法人を持っているか、法人があるとしたらどれだけの利益を上げていて、どれだけの財産評価となるのか、推定相続人は何人いるかなど、現状を細かく把握するのに最低半年。それから子どもなどの推定相続人の方々を交えた打ち合わせを重ね、実際に対策に着手するまでに1年くらいはかかります。

昨今は法人を利用した相続税対策を行うケースが増えていますが、法人を設立して相続税対策を行う場合には、法人設立から3年が経過しないと節税効果が現れないことがあります。また、生前贈与を検討する場合、相続発生前3年間の贈与分は相続税の申告上財産に加算することになります。法人を使った相続税対策や生前贈与を含めた対策を実施する場合には、やはり5年以上の対策期間が必要なのです。

子どもなどの推定相続人が後でもめたり、相続税の納税資金に困ったりしないためにそして最大限に節税し、後継者に円滑に財産を受け渡すために、相続対策および相続税対策の話は、家族全員が元気で、笑っているうちに始めるのがベストだと思います。

出典:[新書]「相続税ゼロの不動産対策」 著者:重邦宜 (著), 鎌倉靖二 (著) 出版:2013年2月
※本記事は、書籍出版時の情報を基に作成しております。マーケットの変化や、法律・制度の変更により状況が異なる場合があります。個別の案件につきましては、お気軽にお問い合わせください。

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