ココだけは押さえておきたい不動産相続の落とし穴

ココだけは押さえておきたい不動産相続の落とし穴

相続税対策には無数の落とし穴が存在します

相続税対策には無数の落とし穴が存在します。

現在、さまざまな書籍やインターネットにおいて、相続税対策が取り上げられています。

それは、多くの資産家が、増税に向かう相続税に対して危機感を募らせていることを示しています。ゆえに、相続税を扱う税理士やファイナンシャルプランナーなど専門家に対しても、より高度な相続税対策の知識が求められています。

しかし、残念なことに、相続税に対する意識がこれだけ高まっても、いまだ失敗例が後を絶ちません。

失敗とは、節税するチャンスを見落とし、本来は払わなくてもよかった多額の相続税を払うことを意味します。納税額が足りず、手放したくない資産を手放す、または相続放棄に至る例も少なくありません。

なぜ、相続税対策に失敗するのか。その原因には、

  • 生前対策をしていなかった
  • 専門家に相談しなかった
  • 相談した専門家が相続について詳しくなかった…などが挙げられます。

また、相続案件を扱う専門家と共に石橋を叩きながら進めてきたにもかかわらず、落とし穴にはまってしまうケースも見られます。 一見「万全の相続税対策」のようでも、どこかで見落としをしてしまい、結果として節税のチャンスを逃してしまう、それがここでいう相続の落とし穴です。 相続案件は、落とし穴が多数存在していると思って下さい。どこかで同じような例を見たからといって、その例にそって対策を行うだけでは足りないことが多々あります。相続税対策は、その落とし穴に気づく視点が必要なのです。

事例で見る相続対策

相続税対策で建物を贈与したが、もっと節税できる贈与の仕方があった東京都多摩市にお住まいのIさん(89)は、最寄駅から25分の住宅街に図のような土地を持ち、そこに5つの賃貸アパートA?Eを所有していました。

土地の広さはA?Cが300㎡、Dが400㎡、Eが620㎡、路線価は、北側・西側の道路共に10万円です。

Iさんは税理士と相談し、相続税を減らすため、自分で建てた5つのアパートのうち2つを一人息子に相続時精算課税制度を使って贈与しました。贈与したのは、角地のAとBのアパートです。これで、アパートの家賃収入を子の代に移すことができ、Iさん自身の財産も減り、今後も増えないというポピュラーな相続税対策の完了です。

その後、Iさんが亡くなり、息子さんが財産を相続します。贈与したことにより、確かに相続税額は少なくなりました。しかし、金融資産も多く、税額が高額だったこともあり、納税資金を捻出できずに困り、私のもとへ相談に来られたのです。

確かにこの対策によって一定の節税効果はありました。この対策自体の考え方には何の間違いもありません。しかし、担当の税理士は相続発生後の土地の評価にまで考えが及んでいなかったようです。ここに落とし穴がありました。もう少しだけ注意して対策を立てていれば、もっと節税ができたはずだったからです。

ポイントは土地の評価の仕方、すなわち「評価単位」と「広大地」でした。

対策前は、土地・建物の名義がIさんの状態であれば、図のように建物の敷地ごとの単位で5つに分けて評価するのが原則です。これに対し対策後は、AとBの建物を贈与し、土地は使用貸借としたため、C?Eはそれぞれ貸家建付地の評価となりますが、AとBの建物敷地は300㎡ずつではなく600㎡まとめての自用地評価となります。このとき、A?Eの評価額の合計は、1億5200万円。

しかし、ここでAとBではなく、DとEのアパートを贈与していたら違った結果になったのです。DとEを贈与し、土地を使用貸借とした場合、DとEの建物敷地は400㎡と620㎡ではなく1020㎡まとめての自用地評価となります。そうするとこの1020㎡の土地は、間口が狭く、奥行きの長い土地になります。角地ではないので、周辺の標準的な画地面積で分割しようとすると道路、つまりつぶれ地が必要になります。すると、なんとこの土地は広大地に該当することになるのです。

DとEの1020㎡に広大地評価を適用した場合、A?Eの評価額の合計は、1億3000万円。AとBを贈与した場合よりもDとEを贈与した場合のほうが2200万円も下がります。仮に税率が30%だったとすると、660万円節税できたことになるのです。納税に困っている人にとっては大きな額です。

出典:[新書]「相続税ゼロの不動産対策」 著者:重邦宜 (著), 鎌倉靖二 (著) 出版:2013年2月
※本記事は、書籍出版時の情報を基に作成しております。マーケットの変化や、法律・制度の変更により状況が異なる場合があります。個別の案件につきましては、お気軽にお問い合わせください。

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