おわりに
相続時に土地・不動産を活用する場合には注意することがある
本稿の著者である、重先生と鎌倉先生はそれぞれ税理士、不動産鑑定士として、「税理士の業務負担軽減と申告時の安心」と「相続人のための節税」を業務の2本柱とされております。
本稿は、そんな両先生の専門的視点を合わせて、それぞれが経験されてきた事例を通して、相続税対策について述べて参りました。
最後まで読んでくださった方は、相続税対策で重要視すべきことや、どのようなところに落とし穴が潜んでいるかが少しおわかり頂けたと思います。
本稿でお伝えしたいことは、相続時に土地・不動産を活用する場合、ほとんどの場合と言えますが、次の点に留意して頂きたいということです。
- ①不動産対策は個別対応が必要であること。
- ②不動産には相性があること。
- ③分野ごとに、専門家の力をうまく利用すること。
- ④広大地評価などの規定や、役所調査を特に意識すること。
- ⑤先人たちの失敗をムダにしないこと。
本稿では具体例を挙げていますが、ご自身が同じような面積や立地条件の土地をお持ちだからといって、同じように減額できるとは限りません。逆に、事例よりも大幅に減額できるかもしれません。不動産対策は、個々の条件によって異なる”オーダーメイド”なのです。
たとえば、賃貸住宅の経営もその一つ。節税のために賃貸住宅を建てる方はたくさんいます。しかし財産状況や名義、入居率などの個々の条件により、その効果はさまざまです。
もともと不動産に興味のない方が節税のために賃貸住宅を建てても、失敗する傾向にあることを実感してきたと述べておられました。つまり、不動産には相性があるということです。
そのため、相続税対策では、ご自身が賃貸経営に向いているか、最後までやり切れるかをしっかり見極めることが大事です。そういった部分での詳細な助言やお手伝いができるのは、やはり土地・不動産の専門家であればこそです。「商売は道によりて賢し」と言われるように、その道にはその道の専門家、特に経験豊富な専門家に相談するのが一番です。
※本記事は、書籍出版時の情報を基に作成しております。マーケットの変化や、法律・制度の変更により状況が異なる場合があります。個別の案件につきましては、お気軽にお問い合わせください。
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