マンション経営の節税の仕組みと効果・経費計上する際のポイントについても解説
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マンション経営で発生する8つの税金
マンション経営を行うにあたり、納税義務がある税金について知りたい方もいるでしょう。
マンション経営で発生する税金には、8つの種類があります。
また、税金が発生するタイミングは、「確定申告時」「不動産の保有中」「不動産の取得時」の3つの時期に分けられます。
まずは、それぞれの税金がどのように課税されるのかについて、わかりやすく解説していきます。
確定申告のときに必要な税金
確定申告により税額が決定し、納税する税金は「所得税」「住民税」「事業税」の3つです。
それぞれがどのような税金であるのか見ていきます。
・所得税
所得税とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に発生した個人の所得に対して課税される税金のことです。所得税は、給与所得や事業所得をはじめとする10種類の所得を合算した金額をもとに算出されます。
マンション経営で得た不動産収入も所得に含まれ、所得税の課税対象です。賃貸経営により利益が出た際は所得税が発生し、賃貸経営による利益がない、もしくは損失が発生した際は賃貸経営による所得税が発生しないという仕組みです。
また、賃貸経営による損失がある場合、確定申告時に「損益通算」(詳細後述)などの所定の申請を行うことで、損失分を賃貸経営以外の所得から控除できます。給与所得などで所得税が源泉徴収されている方の場合、控除した損失分は、徴収済みの所得税から還付される形で返還されます。
・住民税
住民税とは、道府県民税と市町村民税を合わせ、住居がある(事業がある)市区町村へ納税する税金のことです。
住民税は、都道府県や市区町村の住民あるいは会社が平等に負担して納める部分(以下、均等割)と、個人の前年の所得に応じて納める部分(以下、所得割)から成り立つ税金です。
均等割の税額は住民へ一律に設定されているのに対し、所得割の税額は個人の所得に応じて変動します。そのため、賃貸経営などにより前年の所得が増えるほど、納税する住民税の税額は大きくなります。なお、住民税の税額を知りたいという場合には、前年の所得に所定の税率をかけて計算する方法が一般的です。
・事業税
事業税とは、不動産賃貸業などの収益事業を行う際に、道路や橋などの各種公共施設を多く利用するだろうという考えのもと、行政の資金政策のひとつとして制定された地方税のことです。
具体的には、不動産の貸付による個人の所得が事業規模であるとみなされた場合に、事業税の課税対象となります。事業税の課税対象となる場合、所得に課せられる税率は5%です。
保有中に発生する税金
確定申告時にかかる税金は、すでに発生した所得に対してかかるため、一時的な税金と捉えることができます。一方で、マンションを保有している期間中、継続的にかかる税金には、「固定資産税」と「都市計画税」が挙げられます。
・固定資産税
固定資産税とは、毎年1月1日時点で、土地や家屋などの不動産を所有する人に課される税金のことです。投資用不動産や居住用不動産など、すべての不動産が対象です。
固定資産税の税額は、不動産の価値について記載した「固定資産(土地・家屋)関係証明書」にある情報(固定資産税評価額など)をもとに算出されます。
決定した固定資産税は、1月1日時点の所有者が年4回に分けて納税する必要があります。ただし、年の途中で譲渡された不動産においては、不動産の決済日を基準として売主・買主間で固定資産税の日割計算を行い、買主が売主へ固定資産税の一部を支払うことで平等な税負担とする流れが一般的です。
・都市計画税
都市計画税とは、毎年1月1日時点で、「都市計画法による市街化区域内」に土地や家屋などの不動産を所有する人に課される税金のことです(特別な事情により、市街化調整区域で都市計画税が課される場合もあります)。
都市計画税は、公園・道路・下水道などの都市計画事業や土地区画整理事業のための費用に充てられることを目的として徴収される税金です。都市計画税を納める必要がある場合、固定資産税と合わせて納税します。
取得時に発生する税金
不動産を取得する際にも、手続きや取引のための税金が発生します。確定申告時に発生する税金のように一時的な税金となるため、見逃してしまわないよう留意してください。
不動産を取得する際にかかる税金は「不動産取得税」「登録免許税」「印紙税」の3つです。
・不動産取得税
不動産取得税とは、相続など一定の条件をのぞき、土地や建物などの不動産を取得した際に課される税金のことです。取得した不動産が所在する都道府県により課されるため、道府県民税の扱いとなります。
・登録免許税
登録免許税とは、不動産・船舶・航空機・会社・人の資格など、特定の登記や登録、許可などを行う際に課税される税金のことです。
不動産においては、所有権保存登記や抵当権の設定登記など、登記情報の変更手続きを行う際、登記手続きを行う者に課税されます。登録免許税は、不動産の所在がある地域を管轄する法務局へ納税します。
・印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書や消費貸借契約書など、国が定める課税文書を用いた取引に課税される税金のことです。課税文書は第1号文書から第4号文書まであります。
マンション経営で発生する8つの税金のうち、金額が変動しやすく、かつ高額な税金となる可能性があるものは「確定申告のときにかかる税金」です。
次章では、確定申告のときにかかる「所得税」「住民税」「事業税」を納める際に重要となる、「損益通算」について見ていきます。
損益通算について
不動産所得と給与所得がある場合、税務申告にあたって、給与所得の利益と、不動産所得の損益を総裁できる制度を「損益通算」と言います。
例えば、年間に1,000万円の給与所得があったとしても、マンション経営で300万円の損失が計上されている、などの場合、総所得を700万円として税金が課税されることになるのです。
「マンション経営で赤字が出るのであれば投資をした意味がないのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、マンション経営は、始めた頃は現金収入があっても赤字になるのが基本です。
これは何故なのかといいますと、まずマンションなどを購入・建築するということに大きな初期投資が必要であること、これに管理費や広告費、設備投資など実際の支出を足してみると、どうしても始めは赤字になってしまうものなのです。
このため、給与所得と不動産所得を損益通算すると、税務申告上はほぼ赤字の報告をすることとなり、節税効果が期待できるというわけです。
更に、物件本体と設備は減価償却という計算方法によって、毎年一定の額が経費として計上される仕組みとなっています。実際に支出がなくても、毎年特別な向上が発生するということになります。
減価償却の場合は、建物の耐用年数を過ぎれば最大10%の価値まで下がってしまい、これ以上は下がりませんので、節税の限界はいずれやって来ることになりますが、耐用年数までは効果を得る事ができます。
このようにして損益通算の制度を通して、マンション経営で住民税・所得税を軽くすることが可能となるのです。
関連記事はこちら:「マンション経営のお金事情はこちら」
損益通算によりマンション経営における住民税・所得税を軽減するには、事前知識として、不動産所得に対する課税の仕組みを正しく理解し、効果的な節税対策を考えたいものです。
そもそも「不動産所得に対する課税金額」とは、家賃などの不動産収入から必要経費を引いたものとイコールの関係にあり、計算式で表すと以下のようになります。
【不動産所得 = 不動産収入 - 必要経費】
前述した減価償却の計算を行うには、「必要経費」に含まれるものや含まれないものを明確にし、損益通算の恩恵を十分に享受できるよう準備を整えていきましょう。
例えば、マンション経営の必要経費として挙げられるローンについては、ローンの「利息」は経費に含まれるのに対し、「元金」は経費に含まれません。
不動産所得に対する課税の仕組みについては、こちらの記事も併せてご参照ください。
関連記事はこちら:「マンション経営の税金についてまとめ」
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税金の種類別における節税効果の違い
マンション経営における節税対策は、「どの税金」を「どのように節税していくか」と明確な目的を持って行わなければ、思うような節税効果や経営実績をあげられない可能性もあります。
ここからは、前述したマンション経営で発生する税金ごとの節税効果について考えていきましょう。節税するかしないかで数千万単位で納める税金が異なる場合もあります。
所得税・住民税
所得税・住民税は、以下のような必要経費の計上により、節税対策を行えます。
・登記費用
・不動産取得税
・仲介手数料
・減価償却費
・ローン金利
・リフォーム費用
・固定資産税
・火災保険料 など
これらの経費の計上による節税効果は、高額な初期費用がかかり、確定申告時に赤字となりやすい初年度ほど大きな効果を得られます。
しかし、2年目以降からは、登記費用や不動産取得税などの費用がかからず、経費にできる費用は減少します。これにより、年数の経過とともに節税効果は薄くなり、最終的な節税効果は経営状況に左右される形となっていくことが実情です。
このことから、マンション経営では、所得税・住民税の節税にこだわりすぎず、長い目で見た運用に重点を置くことをおすすめします。
長期的に安定した利益を出すことを前提に、ローン期間中の生命保険効果や、ローン完済後の収益(家賃収入による収益や売却による収益)を得ることを目的として経営することで、目先の赤字に悩まされてしまうリスクを回避できます。
固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税については、特例により不動産の評価を下げることで節税が可能となる場合があります。
例えば、「小規模宅地の特例」は、住戸1戸につき200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)の課税標準額が6分の1に引き下げられる制度です。住戸1戸につき200平方メートルを超える部分(一般住宅用地)は課税標準額が3分の1に引き下げられるため、【課税標準額×標準税率】によって税額が決まる固定資産税の節税が可能となります。
マンションなどの賃貸住宅の場合、【戸数×200平方メートル】が課税標準額の軽減対象となるため、大幅な固定資産税の節税が可能です。
この特例を利用すると、都市計画税も同様に、住戸1戸につき200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)の課税標準額を3分の1に、住戸1戸につき200平方メートル超えの部分(一般住宅用地)の課税標準額を3分の2に軽減できます。
相続税・贈与税
相続税・贈与税の対策としての不動産運用も、賢い節税対策のひとつです。マンション経営を通して行う相続税や贈与税の節税は、所得税や住民税のように所得に応じた変動がないため、節税効果を体感しやすいと言えます。
例えば、現金による相続は全額が相続税の課税対象となりますが、不動産による相続は、「小規模宅地等の特例」を利用することで現金に比べて課税評価額が小さくなります。
小規模宅地等の特例には、課税評価額の軽減率が異なる3つの区分があり、それぞれの概要は以下の通りです。
区分1.特定居住用宅地等
特定居住用宅地は、住宅として使われていた宅地のことです。
特例適用時は、330平方メートルまでの部分の課税評価額が80%減額され、相続税の算定に用いられる課税評価額を20%まで抑えられます。
区分2.特定事業用宅地等
特定事業用宅地は、事業の扱いを受ける宅地のことです。
特例適用時は400平方メートルまでの部分の課税評価額が80%減額され、特定居住用住宅と同様に課税評価額を20%まで抑えられます。
区分3.貸付事業用宅地等
貸付事業用宅地は、不動産貸付業に使われていた宅地のことです。
特例適用時は、200平方メートルまでの部分の課税評価額が50%減額され、相続税の算定に用いられる課税評価額は半減することになります。
このように、不動産による相続を行うと、相続人が現金で納付するべき相続税を軽減できます。マンションなどで賃貸を行っている場合は、相続税評価額がさらに下がるという点もメリットです。
現金による相続では金額と評価額がイコールとなるため、相続する金額が3億円ならば評価額も3億円です。この場合、最大45%の相続税が引かれてしまうこととなりますが、不動産による相続を行うことで、多額な相続税のリスクを回避できるというわけです。不動産を相続することによる節税は、贈与税においても同様の効果を見込めます。
マンション経営を軌道に乗せることができると、手元に現金が増えることとなり、さらに規模を拡大した賃貸経営が可能です。そうして購入した不動産を生前贈与することで、将来に向けた節税対策を行うというのも、長い目で見た節税対策として有効な選択です。
関連ページ:マンション経営の節税の仕組みと対策・効果
マンション経営の節税は慎重に
マンション経営で発生する税金と、節税対策の仕組みや効果について解説しました。
節税は、「目先の小さな得」ではなく、「長期的かつ継続的な利益」に重点を置いて対策することで、最終的に大きな効果を生み出す可能性を秘めています。
安定したマンション経営や相続対策など、目的によって節税のアプローチは変わるため、求める効果を得るためにもご自身のケースに最適な経営戦略・節税対策を立てていくことが重要です。
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