自宅を取り壊して賃貸併用住宅を建てる場合、検討すべきポイントは多くありますが、特に重要なのが木造にするかRC造にするかという構造の選択です。外観からは見えない構造部分は、建物の骨格を支える重要な要素であり、それぞれの特徴を正しく理解して判断する必要があります。
本記事では、賃貸併用住宅の建築にあたって知っておきたい、木造とRC造それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。なお、他にも建物の構造として鉄骨造がありますが、一括りに鉄骨造と言っても構造が重量鉄骨・軽量鉄骨に分類され、それぞれのメリット・デメリットが異なるため、字数の関係上ここでは割愛いたします。
木造のメリット・デメリット
木造建築は柱・梁・筋交いなど主要部分に木材を使用する構造が特徴で、在来工法と呼ばれ、日本では主流の木造軸組工法、もしくは、壁や床などの面材を組み合わせる構造のツーバイフォー工法と呼ばれる木造枠組壁工法により建築するのが一般的です。木造建築のメリット・デメリットは以下の通りです。
○メリット
建築コスト、修繕費が抑えられる
日本の住宅建築でもっとも多いのが木造建築です。そのため携わる職人も多く、材料費が安いなどの条件にも恵まれ、建築、修繕費などのコストを低く抑えることができます。固定資産税が安い
建築コストが低い分、固定資産税評価額も下がり、固定資産税も安くなります。工期が短い
他の工法よりも、工期を短くすることができます。○デメリット
災害(火災・地震)の影響を受けやすい
RC造や鉄骨造と比較すると堅牢さが劣るため、災害の影響を受けやすくなります。特に燃えやすいという特徴があるため、火災に注意する必要があります。白アリなど害虫被害
木造は白アリなどの害虫が好むため、被害を受けやすくなってしまいます。白アリ対策処理が必要です。防音、遮音性が低い
構造によりますが、RC造や鉄骨造と比べると防音、遮音性が低くなります。建物の大きさ
木造建築は耐震性・耐火性の観点から、4階建以上の大規模な建物にはあまり向いていないと言われていました。しかし、ツーバイフォー工法の中には、建築基準法の耐火構造を満たした4階建以上の建物を扱うハウスメーカーや建築会社があります。減価償却期間と耐久性
RC造や鉄骨造と比べると耐久性は低いと見なされ、減価償却期間はもっとも短い22年間とされています。土地活用のご相談、まずはお気軽に。相談から物件管理まで一貫したサポートを提供。
鉄筋コンクリート造(RC造)のメリット・デメリット
RC造は、正式には「鉄筋コンクリート造」と言います。堅牢な作りが特徴であるため、地盤改良や杭打ちが必要なります。RC造のメリット・デメリットは以下の通りです。
○メリット
災害(火災・地震)に強く耐久性能に優れている
鉄筋にコンクリートを流し込むという堅牢な作りであるため、災害に強く、耐久性に優れています。遮音性や断熱性能が高い
コンクリートである程度厚みのある壁をつくるため、遮音性や断熱性能は高くなります。建物の大きさ
建物の大きさは、かなり大規模なものまで対応することができます。減価償却期間
堅牢な作りにできるため減価償却期間は、47年間と長く設定されています。○デメリット
建築コストが高い
工法が複雑になること、資材が多くなること、資材自体が高いことから建築コストが高くなってしまいます。固定資産税が高い
建築コストが高くなるため、固定資産税は高くなってしまいます。工期が長い
他の工法よりも工期が長くなってしまいます。土地や建物の規模にあった選択が重要
木造でもRC造でも、それぞれにメリット、デメリットがあります。たとえば小さい土地にRC造では、建築費用がかさんでニーズに合った家賃設定ができない可能性があるかもしれません。台風の多い地域や豪雪地帯に木造では、耐久性の観点からその他の構造が向いているかもしれません。また、独身の女性やファミリー向けに賃貸するなら、防音性能や遮音性能に優れるRC造が好まれるかもしれません。家賃重視の建物にしたいのであれば、コストの安い木造の物件が喜ばれるかもしれません。
どの工法にするかは、立地条件やどのような入居者様を想定するかで決定する必要があります。賃貸併用住宅の場合も同様に、建物の規模や耐久性・防音性能・遮音性能・建築コストなど、さまざまな方向から適した建築構造を検討しましょう。
- 関連するタグはこちら
他の「土地オーナー様のお悩み解決」の記事を見る
-
将来を見据えて子や孫に財産を継承したいと考える一方で、贈与税や相続税の負担が気になる方も多いでしょう。 財産の継承方法には「生前贈与」と「相続」があり、特に生前贈与は、子や孫への投資、相続税対策、相続… -
不動産売却にあたって不動産会社と専任媒介契約の締結を検討しているものの、具体的な内容や手続きがわからずに不安を感じるオーナー様もいるのではないでしょうか。 専任媒介契約は、不動産の売却を不動産会社へ依… -
不動産の売買や相続、贈与などで所有権の名義が変わる場面では「所有権移転登記」が必要です。しかし、何から始めればよいかわからず、手続きを後回しにする方は少なくありません。 また、税負担や債権者からの差押… -
土地活用において、神奈川県はとても魅力的な場所です。利用できる土地があれば、ぜひ有効に活用したいところです。それでは、どのような形で活用するのが最適なのでしょうか。 まず考えておきたいのは、神奈川県は… -
土地所有者が自身の土地に建物を建設し、その建物を貸家として提供する場合の敷地を、貸家建付地と呼びます。貸家建付地には税額評価の際、自用地よりも評価額が低くなるという特徴があります。 本記事では、貸家建…






















