CREとは?不動産のCRE戦略のメリットや進め方、事例をご紹介

自社のオフィスは貸事務所を利用していても製造工場や駐車場、その他の拠点や社員寮など、不動産を保有している企業は多くあります。これら不動産の多くは、企業の保有資産ですが、近年では経営戦略の視点から保有資産を最適に活用し、企業価値を高める「CRE戦略」が重要視されています。 

今回は、CRE戦略の概要やその効果をお伝えするとともに、具体的な事例についてご紹介していきます。

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そもそもCREとは?

CREとは「Corporate Real Estate」の頭文字で企業不動産を指し、企業が事業のために保有する自社ビルや工場、倉庫などを含めたすべての不動産のことです。

CRE戦略とは

CRE戦略とは、企業の保有する不動産の有効活用を通して中長期的な企業価値を最大化することを指します。

これまで、企業が不動産を保有することに関しては、社員の住環境を補助するために社宅を用意する、生産量を増やすために工場を保有するといったように「業務上で必要なこと」という認識に留まっていた企業も多かったのではないでしょうか。しかし、企業としてあらゆる成長の可能性を追求するのであれば、経営戦略の一環として保有する不動産を積極的に活用することも重要です。

CRE戦略の重要性

CRE戦略は、企業価値を最大化するうえで必要なことであるとともに、国の経済活動や社会的観点からも活用が期待されています。

現在では、個人や法人企業、国や地方公共団体などが保有する国内の不動産は総額約2,500兆円となっており、そのうち、法人企業が保有する不動産は約470兆円にものぼるといわれています。 これだけの金額規模を持つ資産が活用されずに残っているのであれば、社会全体から見ても大きなマイナスです。

そこで、企業の不動産を活用することによって土地を有効活用でき、地域経済の再生や地価の安定といった効果も期待できます。

企業がCRE戦略に取り組むことが重要視される背景

CRE戦略が重要性を増してきている背景には、企業を取り巻くさまざまな環境が変化していることにあります。

例えば、中小企業の事業承継もその一つです。中小企業庁が発表した「事業承継に関する現状と課題」 によると、経営者の平均年齢が上昇する中、後継者がなかなか決まらず事業承継がスムーズに行われていない中小企業が多いことがわかっています。
また、子供に事業を継ぐ意思がないことや、子供がいない経営者も多いため、親族だけで後継者を決めることが難しくなり、従業員などへの親族外承継やM&Aなどでの事業承継が増えています。そのため、事業承継を考える中小企業は、「継ぎたい」「買いたい」と思わせるために企業価値を上げなければならず、その企業価値向上の一環としてCRE戦略が重要視されるようになりました。このほかに、これまでの事業を廃止して、賃貸事業に転換したうえで承継(=相続)する事例も多くなっています。

また、「機関投資家に対する行動規範」として2010年に策定された『スチュワードシップコード』 や、「上場企業に対する行動規範」として2015年に策定された『コーポレートガバナンスコード』 により、企業価値の最大化がより一層求められるようになってきています。さらに、会計制度がグローバルスタンダード化していくのに伴い、キャッシュフロー経営が重要視され、保有資産の効率的な運用も求められるようになりました。

上記のような経営規定や経営スタイルの変化に感度の高い先進的な企業ほど、CRE戦略への対応を重要視していると言えます。

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CRE戦略を実施することで得られる効果 

CRE戦略を実施すると、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
ここでは、CRE戦略を導入すると得られる効果について、以下のポイントに絞ってお伝えしていきます。

・事業承継
・企業価値向上
・ステークホルダーへの説明責任
・地価下落リスクに備える

それぞれ詳しく見ていきましょう。

事業承継

前述の通り、中小企業においては事業承継を実施する前に、CRE戦略を導入することは重要です。活用されていない不動産があると、不動産の額面価値に関わらずM&Aなど事業承継の際に、活用されていない不動産を保有していることがマイナスと見られる可能性もあります。不動産を保有していれば固定資産税や都市計画税がかかりますし、いざ売却しようとしてもすぐに売却できるとは限らないからです。

一方、有効活用している不動産が多ければ、前述のように事業価値として計算できるため、事業承継の際にはプラスに評価されることが多いでしょう。

また、中小企業の事業承継の場合には、保有している不動産のうち、企業が保有する不動産とオーナーである個人が保有する不動産が混在している場合があります。企業が利用しつつもオーナーの個人が保有しているような不動産があれば、企業へ売却するなどして、事業承継後も不動産を利用できるようにすることもCRE戦略の一環として挙げられます。

企業価値向上 

まず、CRE戦略を導入することで企業価値の向上を期待できます。企業価値の概念にはさまざまな説がありますが、「事業価値に非事業用資産の価値を加えて算出したもの」とするのが主流の考え方です。

ここで指す事業価値とは、企業不動産のうち、コア事業に使用している不動産や貸しオフィスなどの賃貸事業で提供している不動産の価値となり、主にDCF法という計算法を用いて算出されます。DCF法とは、将来的に事業が生み出すキャッシュフローを、ある一定の割引率で現在の価値に還元する計算法です。そして非事業用資産は、事業で使用しておらずキャッシュフローをほぼ生み出さないため、時価に換算したものとなります。こうして算出した企業価値と非事業用資産価値を合算したものが企業価値です。

CRE戦略を実践し成功すれば、コスト削減や経営効率アップといった効果により、事業が将来生み出すキャッシュフローを増加させることができ、不動産を用いた事業価値が上昇し、引いては企業価値の上昇につながります。

ステークホルダーへの説明責任

前述の通り、機関投資家や株主により、経営資源の積極的活用が求められるようになってきていますが、CRE戦略に取り組んでいることやその成果を示すことができれば、ステークホルダーへの説得力も高めることができるでしょう。

地価下落リスクの回避 

不動産は企業のバランスシートの中で大きな割合を占めるケースが多く、いざ地価が下落してしまうと大きな損失となってしまいます。企業不動産をただ保有しているだけでは、こうしたケースの際、対応しきれなくなる可能性もあるでしょう。

CRE戦略に取り組み、地価の下落が見込まれる不動産を早めに売却したり、他の不動産とあわせて活用したりすれば、常に不動産を最大活用することができ、地価下落リスクも回避することができます。

CRE戦略の事例を紹介

最後に、具体的なCRE戦略の事例をご紹介します。

遊休不動産を賃貸マンションにして企業価値向上 

企業のなかには、もともと社宅や社員寮として使っていた跡地が遊休不動産となってしまっていることもあるでしょう。例えば、その遊休不動産の簿価が低く、売却を検討しても売却益により納税額が高くなる場合には、賃貸マンションなどの収益物件として有効活用することがおすすめです。

このように賃貸マンションなどとして遊休不動産を活用できれば、1つの賃貸事業を生み出すこととなり、企業価値の大きな向上を目指せます。

所有不動産を鑑定評価して財務体質改善 

多数の不動産を保有する企業の場合、すべての不動産を最適な状況で活用することは難しいこともあるでしょう。例えば、財務体質を改善するためにCRE戦略に取り組む場合には、保有する不動産をすべて鑑定することで、その査定内容から拠点の統廃合や移転、売却などを判断しやすくなります。

こういった活用できていない不動産を、他の不動産と併せた活用や売却も含めた対策を行うことで、遊休不動産がなくなり、強固な財務基盤が構築できます。

旧耐震建物の耐震補強工事と助成金申請 

もし、旧耐震建物を保有している企業であれば、そのまま建物を残して耐震補強するか、建物を解体して新しく建物を新築するかを検討することもあるでしょう。

耐震補強は、現状がどの程度の耐震性を保有しているのか、どの程度の耐震補強工事が必要なのかによって費用が大きく異なります。もし耐震診断の結果、建物本体の強度が比較的強く、耐震補強にかかる費用がそこまで高くなければ、耐震補強する企業が多いでしょう。なお、耐震補強にあたり助成金が申請できる場合がありますので、自治体などにおける助成金の取り組みの調査もしておくことをおすすめします。

ITを活用して不動産を一元管理 

CRE戦略では、企業不動産を売却したり、建て替えたりするだけでなく、適切に管理することも重要です。

例えば、数十件以上という数の企業不動産を保有する企業であれば、企業不動産を管理するための不動産管理システムを導入し、不動産情報を見える化することで一元管理ができます。これにより、不要な不動産をまとめて売却することなどができ、CRE戦略の策定・実行をしやすくなります。

CRE戦略は今後の経営戦略に欠かせないもの

CRE戦略について、その概要や特徴、得られる効果、具体的な事例などご紹介しました。CRE戦略は、企業を取り巻くさまざまな環境の変化によって重要性を増してきており、今後さらにこの傾向は強まっていくでしょう。

活用できていない不動産を持つ企業はCRE戦略について勉強し、実践していく必要があると言えます。また、企業不動産の活用を検討する際には、CRE戦略のノウハウを持つ不動産会社に相談することで、より高い効果を得られるでしょう。

※写真はイメージです
※本記事は、2019年4月以前時点の情報をもとに執筆しています。 マーケットの変化や、法律・制度の変更により状況が異なる場合があります
※記事中では一般的な事例や試算を取り上げています。個別の案件については、お気軽にお問い合わせください。

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