土地活用に役立つ資格「宅建」とは
土地活用に役立つ資格は、土地活用プランナーやファイナンシャルプランナーなどいくつかありますが、なかでも最もよく耳にする資格と言えば、宅地建物取引士ではないでしょうか。この資格は、名称はよく聞いても、不動産取引をしたことのある人以外は、どのような業務を担っているかまでは、あまり知られていないようです。
そこで今回は、宅地建物取引士について解説します。
宅地建物取引士とはどんな資格?
宅地建物取引士は、宅地建物取引業法に基づいて定められている国家資格です。以前は宅地建物取引主任者という名称でしたが、法改正により2015年4月1日より現在の宅地建物取引士となりました。「宅建」あるいは「宅建士」と略されることもあります。
家や土地の売買などを行う宅地建物取引業者(不動産業者)は、事務所や国土交通省令で定められた場所ごとに宅地建物取引士を、定められた人数だけ置かなければなりません。そして宅地建物取引士は、家や土地の売買などの不動産取引をする場合は、必ずその取引に関わらなければならないという重要な役割を担っているのです。
宅地建物取引士の取得方法とその難易度
宅地建物取引士の資格取得試験は、年1回、通常は10月の第3日曜日に実施されます。受験資格は特になく誰でも受験することができます。しかし、試験の難易度はかなり高く、ここ10年ほどの合格率は例年15%〜17%程度となっています(2016年度の合格率は15.4%)。
また、試験に合格したとしてもそれだけで宅地建物取引士になれるわけではありません。試験に合格した場合は、資格取得試験を受けた都道府県に申請して、資格登録をする必要があります。
しかし、この資格登録をする際に条件が定められています。それは、「実務経験が2年以上あること」と「宅地建物取引業法に定められている登録の欠格要件に該当していないこと」という2つの条件をクリアすることです。
実務経験が2年以下の合格者は毎年大勢出ますが、登録実務講習実施機関で実施している登録実務講習を修了することで、実務経験が条件に満たない場合でも資格登録ができるようになる仕組みです。
資格登録が完了すると、都道府県から宅地建物取引士証が発行され、ようやく宅地建物取引士として実際の取引に携わることができます。
宅地建物取引士は具体的にどんな場面で役に立つか
数百万から数千万、多ければ億単位のお金が動く家や土地などの売買は、一般の人にとって一生に何度もない大きな出来事と言えます。そのため知識や経験不足による失敗は許されません。そんな時に責任を持って売買取引を手助けをしてくれるのが、国家資格として認定されている不動産取引の専門家、宅地建物取引士です。
宅地建物取引業法によって以下の3つの業務に関しては、宅地建物取引士だけの専権業務と定められています。
・重要事項の説明
家や土地を売買・貸借する際は、対象物件や契約内容に関する重要事項を記載した重要事項説明書を作成して、契約前に買主と借主に内容を説明することになっています。この際、ただ単に重要事項説明書を読み上げるだけでなく、きちんと契約内容を理解してもらう必要があります。
・重要事項説明書への記名・押印
買主や借主に重要事項をきちんと説明したことや、記載内容の責任の所在を明確にするために、重要事項説明書に記名・押印する必要があります。
・契約書(契約内容記載書面)への記名・押印
不動産取引締結後、契約内容を記載した契約内容記載書を作成し、内容に誤りがないことを確認して記名・押印する必要があります。
以上のように宅地建物取引士は、安心・安全に不動産取引をする上で欠くことのできない重要な役割を担っています。試験は合格率が低く、難関と言われていますが、不動産取引に興味がある人にはおすすめの国家資格です。土地活用をざまざまな形でサポートするためにも役立つ、ますますニーズの高まる重要な資格と言えるでしょう。