土地活用における等価交換とは?仕組みやメリット・注意点
土地活用を検討しているオーナー様のなかには、「等価交換とは?」「メリットや注意点はなに?」といった疑問を持つ方もいるかもしれません。
土地活用における等価交換とは、オーナー様と建築会社が土地と建物の一部を等しい価値で交換することです。
等価交換では、建物を自己負担なしで建て替えられます。土地活用を考えているけれど、自己資金の用意や金融機関からの借り入れが難しい場合に、検討したい手法といえるでしょう。その他、先祖代々の土地を手放したくない、その土地に愛着があり住み続けたい、商売を営んでいるため転居したくない、などと考えるオーナー様にもメリットのある手法です。
また、等価交換によって建てられた建物が賃貸住宅の場合は、更地の状態よりも相続税の評価額が減額されます。そのため、相続税の支払いが難しく、土地を手放さざるを得ない状況を回避したい方にもメリットのある手法といえるでしょう。
この記事では、等価交換の概要やメリット、注意点について解説します。併せて、等価交換を行なう際の具体的な流れや、等価交換に向く3つのケースなども紹介します。
この記事の目次
等価交換とは
等価交換とは、価値が等しいもの同士を交換することです。
そして、不動産における等価交換では、まずオーナー様が建築会社に土地の一部または全部を提供して、建築会社はその土地に建物を建設します。建物が完成したあとに、オーナー様と建築会社が土地の所有権の一部と建物の所有権の一部を等しい価値で交換します。
等価交換の2つの種類
等価交換の方式には、以下の2つの種類があります。
- 部分譲渡
- 全部譲渡
いずれも、最終的に土地と建物の一部の所有権をオーナー様が持つことは変わりませんが、土地の所有権の譲渡方法が異なります。オーナー様が安心して等価交換できるように、それぞれの方式について理解しておくことをおすすめします。
ここからは、等価交換の2つの種類について見ていきましょう。
部分譲渡
部分譲渡では、オーナー様が土地の所有権を保持したまま建物の建設が進みます。オーナー様は、建物が完成した時点で土地の所有権の一部を建築会社に譲渡し、その代わりにその土地に建設された建物の所有権の一部を等価で取得します。
全部譲渡では、いったんすべての土地を建築会社に売却するため、土地を再購入する際に不動産取得税が課税されますが、部分譲渡ではこのような課税は発生しません。
等価交換は基本的に部分譲渡で行ないますが、土地のオーナー様が複数いる場合や、オーナー様の変更が生じる可能性がある場合には、所有権や土地の利用に関するトラブルを避けるために全部譲渡で行なわれます。
全部譲渡
全部譲渡では、オーナー様が等価交換の対象になる土地を、一度すべて建築会社に売却するため、土地の所有権は建築会社に移動します。そして、オーナー様は建物の完成後に、売却した土地の価格と等価になる土地と建物の所有権を購入します。
全部譲渡は、1つの土地に複数のオーナー様がいる場合に適しています。これは、建物が完成するまでの間、オーナー様に相続の発生や破産などのトラブルが発生した際に、土地が第三者へ売却されるリスクを軽減するためです。
等価交換5つのメリット
等価交換の5つのメリットは次のとおりです。
- メリット1. 借入金や自己資金がなくても土地活用ができる
- メリット2. 譲渡所得税の繰延措置がある
- メリット3. キャッシュフローの向上が期待できる
- メリット4. 自己資金ゼロで自宅の確保と賃貸経営を同時に実現できる
- メリット5. 遺産分割がしやすくなる
ここからは、等価交換の5つのメリットについてそれぞれ解説します。
借入金や自己資金がなくても土地活用ができる
等価交換では、オーナー様が金融機関から資金を借り入れたり、自己資金を用意したりすることなく、建築会社に土地を提供するだけで新しい建物の所有権を得られます。これにより、資金不足で土地活用ができないといった問題を解消することが可能です。
また、建築会社が建設費用を負担するため、オーナー様は借り入れの返済リスクを負う必要がありません。自己資金を用意する必要もないため、使用せずに済んだ現金を他の投資や事業に利用することも可能です。
譲渡所得税の繰延措置がある
一般的に、土地を売却して現金を受け取る場合、譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)が課されます。
等価交換では、一定の要件を満たすと「立体買換えの特例」を利用できるため、譲渡所得税の支払いを将来に繰り延べることが可能です。
ただし、等価交換の際にオーナー様が土地の売却による現金を受け取った場合は、譲渡所得税が課されるため注意しましょう。
キャッシュフローの向上が期待できる
等価交換では、専門知識のある建築会社によって土地のポテンシャルを引き出す開発が行なわれるため、土地の運用効率が上がります。その結果、オーナー様のキャッシュフローの向上も期待できます。
自己資金ゼロで自宅の確保と賃貸経営を同時に実現できる
等価交換において、オーナー様は土地を提供するのみです。建物の建設費用は負担せず、土地を提供すれば、土地と同等の価値の建物の所有権を得られます。
例えば、建設した建物が賃貸物件の場合には、そのうちの一部屋を自宅、その他の部屋を賃貸経営に回すことが可能です。
このように、等価交換では自己資金を使わずに自宅の確保と賃貸経営を同時に実現できます。確保した住居は、子どもや親、親族などに割り当てることも可能です。
遺産分割がしやすくなる
相続によって1つの土地を複数人の相続人で分割する場合、所有者同士で意見が対立したり、トラブルが発生したりすることがあります。
その点、遺産となる土地を、等価交換を利用してマンションを建築すれば、床面積や部屋数に応じて等しく分割することが可能です。遺産分割しやすくなるため、トラブルの発生を未然に防ぐことにつながるでしょう。
等価交換3つの注意点
等価交換には前述した複数のメリットがありますが、以下のような注意点もあります。後悔するだけでなく、トラブルを発生させることにもなりかねないため、これらの注意点を十分に把握しておくことが大切です。
- 注意点1. 立地が良くなければ実現は難しい
- 注意点2. 土地の所有権の一部が失われる
- 注意点3. 減価償却費が小さくなる
それでは、等価交換を行なう際の3つの注意点について解説します。
立地が良くなければ実現は難しい
不動産市場において、交通の利便性が高く治安が良いといった立地の良い場所は、建築会社からの需要や投資価値が高まります。一方、立地の悪い土地は需要が低いため、等価交換が実現しにくくなります。
土地の所有権の一部が失われる
等価交換により、土地の一部の所有権を建築会社に譲渡するため、オーナー様は元の土地全体の所有権を保持できなくなります。等価交換に利用する土地が先祖代々守ってきた土地であれば、土地の所有権の一部が建築会社に移ることに抵抗を感じる方もいるでしょう。
また、等価交換では土地や建物を複数の権利者で共有するため、権利関係が複雑になる点にも注意が必要です。
減価償却費が小さくなる
一般的な賃貸経営では、建物全体の建築費用を減価償却費として経費計上できます。一方、等価交換では建物の取得価格は等価交換を行なう前の土地の取得単価を引き継ぐため、自己負担で建物を建築するよりも減価償却費が小さくなります。
建物全体の建築費用を減価償却費として経費計上できない分、事業所得が上がることから、等価交換では所得税や住民税の負担が重くなる点に注意しましょう。
また、自己負担で建物を建てた場合、すべての収益はオーナー様のものになりますが、等価交換では建築会社とオーナー様がそれぞれに取得した物件から生じる収益を得ることになります。
つまり、等価交換では自己負担で建物を建てたときよりも、収益が低くなります。等価交換の契約を結ぶ前に、シミュレーションを活用して税負担や収益を確認しましょう。
等価交換の具体的な流れ
等価交換を実施する際は、以下のような流れで行ないます。
- 建築会社を決定する
- 建築会社と打ち合わせをする
- 土地の所有権の譲渡方法を決める
- 契約を締結する
- 全部譲渡の場合は土地を売却する
- 契約内容に基づき設計と建築が開始する
- 土地や建物の所有権を移転する
等価交換を行なう流れについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.建築会社を決定する
等価交換を行なう際は、まず「どのような建物を建てたいのか」をイメージしましょう。それにより、どのような建築会社に依頼すべきかが変わるためです。
建物のイメージを固めたら、建築会社の実績や得意とする地域などを確認し、希望の建物や土地のあるエリアを得意とする建築会社を選びます。
2.建築会社と打ち合わせをする
建築会社との打ち合わせでは、以下のような内容について具体的な説明や提案を受けます。
- 土地の評価(周辺環境の調査、評価額など)
- 建物の設計(建物の規模、間取りなど)
- 還元率
- キャッシュフローのシミュレーション(例えば、建物を賃貸した場合の予想キャッシュフローなど)
提案されたプランに対して、必要であれば修正などの要望を出し、最終的なプランを確定します。
3. 土地の所有権の譲渡方法を決める
「等価交換の2つの種類」の章で解説したように、等価交換の種類には「部分譲渡」と「全部譲渡」の2つがあるため、いずれかを決定します。それぞれの特徴を理解したうえで選びましょう。
4.契約を締結する
等価交換のすべての条件に納得できたら、等価交換契約書を結びます。この契約では、土地と建物の出資比率が決定するため、契約書の内容や図面などを十分に確認しましょう。
可能であれば、契約前に弁護士に契約内容の整合性を確認してもらうことをおすすめします。
等価交換契約書の内容を確認する際は、仲介手数料や外注費の有無などにも注意が必要です。生和コーポレーションでは、基本的にオーナー様と直接取り引きを行なうため、仲介手数料が発生しません。そのため、オーナー様の土地の価値を十分に考慮した等価交換が可能です。
等価交換では、設計や建築を外部に委託する企業も少なくありません。しかし、生和コーポレーションは自社で建築を行なうため、外注費を抑えることができ、その結果、土地を高く買うことができます。
5.全部譲渡の場合は土地を売却する
全部譲渡を選択した場合は一度すべての土地を建築会社に売却しますが、部分譲渡の場合は土地を売却しません。
例えば、全部譲渡でオーナー様の土地を売却する際、テナントや入居者などの立ち退きは、弁護士に依頼するか、オーナー様自身が対応する必要があります。
生和コーポレーションでは、立ち退きや解体、境界確定を自社で行なっているため、安心してお任せいただけます。
6.契約内容に基づき設計と建築が開始する
賃貸マンションやオフィスビルなど、建物の規模が大きい場合、工事期間は長期におよびます。設計・施工などの進捗状況を把握する際は、建築会社に任せきりにせず、オーナー様自身が確認する姿勢が大切です。
7.土地や建物の所有権を移転する
建物が竣工したら、契約内容に基づいて土地や建物の所有権の移転が行なわれます。
土地活用で等価交換に向く3つのケース
土地活用のなかでも等価交換に向いているのは、以下のようなケースが挙げられます。
- 金融機関から借り入れをせずに土地活用がしたい
- 立地条件の良い広い土地を所有している
- 相続に備えたい
ここからは、等価交換に向く3つのケースをそれぞれ解説します。
金融機関から借り入れをせずに土地活用がしたい
等価交換を利用すると、土地を提供するだけで土地活用ができ、自己資金の用意や金融機関からの借り入れが不要になります。また、借り入れにともなう返済リスクを避けることが可能です。
金融機関からの借り入れを必要としない土地活用には等価交換以外に、事業用定期借地権、建設協力金、土地信託などがあります。
等価交換では、土地の所有権を失わずに土地を有効活用できますが、事業用定期借地権では、一定期間土地を貸し出すため、その期間中の土地の利用が制限されます。
また、建設協力金の場合は、オーナー様が借主から建設資金の出資を受け、一般的にはその金額が借主の賃料と相殺されます。
土地信託では、オーナー様がその土地を信託銀行や信託会社に貸し出し、管理や運営を任せます。オーナー様の土地は信託銀行や信託会社が活用するため、オーナー様自身がその土地を活用することはできません。
立地条件の良い広い土地を所有している
駅や主要道路の近くにある土地は交通の利便性が良いため、等価交換の対象として魅力的です。このような土地にマンションなどを建設すると、高い収益を見込めます。
オーナー様は、利便性の高い場所に新たに建設された不動産を取得することで、資産価値の向上と収益の確保が期待できるでしょう。
ただし、立地条件が良く広い土地は、自分で活用しても安定した経営ができる土地といえます。そのため、等価交換を含めたさまざまな土地活用を提案できる建築会社に相談し、十分に検討を重ねることをおすすめします。
相続に備えたい
等価交換で先祖代々受け継いだ土地を手放すことはデメリットになり得ますが、土地をそのまま相続すると、高額な相続税が発生する可能性があります。
ただし、受け継いだ土地を後世に残したい場合は、等価交換を利用せずに金融機関から融資を受け、オーナー様が自分で建てたほうがよいでしょう。
金融機関からの融資が難しい場合は、等価交換を活用して、自己資金を負担することなく土地の所有権を保持したほうが賢明です。
高額な相続税は自分でマンションを建てることで圧縮することができますが、等価交換によって建設された建物を賃貸した場合も土地の評価額が下がるため、自己資金なしで相続税の負担を軽減することが可能です。
また、自己資金で建てるよりも等価交換を利用し、土地を分割して新しい建物の一部を所有する形に変えれば、相続が発生した際に、相続人にそれぞれの持ち分を明確に分けることができます。
等価交換で土地活用を成功させるための2つのポイント
等価交換で土地活用を成功させるためには、以下の2つのポイントに注意しましょう。
- 契約内容を十分に確認する
- 信頼できる建築会社を選定する
等価交換の土地活用を成功につなげる2つのポイントについて解説します。
契約内容を十分に確認する
契約内容は詳細まで十分に確認し、納得のいく条件で契約を締結することが重要です。出資比率や土地の所有権の配分、工期など、詳細な条件を確認し、双方の誤解やトラブルを未然に防ぎましょう。
可能であれば、契約前に弁護士に契約内容について確認してもらうことをおすすめします。
また、等価交換はリスクの少ない土地活用の手法ですが、キャッシュフローを最大化させたいオーナー様には向きません。その点をよく理解し、他の土地活用の手法と比較したうえで判断しましょう。
信頼できる建築会社を選定する
等価交換で土地活用する際は、実績が豊富で信頼性の高い建築会社に依頼することが大切です。
実績が豊富な建築会社は多くの成功事例を持っており、その経験をもとにした確かなノウハウがあるため、オーナー様が満足できるサービスを受けられるでしょう。
また、信頼性だけでなく、さまざまな土地の活用法を提案できる会社に相談し、比較検討することも重要です。
生和コーポレーションには土地活用50年以上の実績があります。賃貸マンションをはじめ、商業ビルやオフィスビルなど、さまざまな選択肢のなかからオーナー様の土地に最適な土地活用法を提案します。
生和コーポレーションの等価交換の事例をご紹介
生和コーポレーションでは、マンション経営、賃貸併用住宅、テナント・事務所併用物件、事業転換、等価交換など、さまざまな土地活用の提案が可能です。
徹底したリサーチとオーナー様のイメージを具現化する確かな技術力や実績をもとに、満足いただけるような提案を行なっています。
過去には、隣り合った変形地をそれぞれの土地オーナー様から買い上げ、その一部を整形して元の土地オーナー様に売却した、等価交換の事例もあります。
生和コーポレーションでは、オーナー様の希望や土地の状況に合わせて、最適な等価交換プランを提案します。一般的な等価交換はもちろん、柔軟な発想で土地の価値を高めることも可能です。
このように、生和コーポレーションでは、さまざまなニーズに対応する土地活用方法を提案し、オーナー様の資産価値を最大限に引き出すお手伝いをしています。
土地活用を検討する際は生和コーポレーションにご相談を
土地活用で等価交換を検討する際は、仕組みやメリット、注意点を十分に理解することが大切です。また、土地活用を成功させるために、実績が豊富で信頼性の高い建築会社を選択しましょう。
生和コーポレーションは、土地活用において50年以上の実績があり、等価交換以外にも、さまざまな土地活用の提案が可能です。また、賃貸物件の企画・設計・施工や、賃貸経営のサポートなど、土地活用におけるトータルサポートも行なっています。
オーナー様のニーズに合った最適な土地活用プランを提案しますので、土地活用をご検討の際は、お気軽に生和コーポレーションへご相談ください。
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