アパート経営とマンション経営の違い
不動産投資と聞くと、アパート経営やマンション経営などの賃貸住宅経営を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。実際に賃貸住宅経営に携わったことがないと、どちらも同じものと思いがちですが、実際はアパート経営とマンション経営には明確な違いがあります。
そこで今回は、アパート経営とマンション経営の違いについて解説します。
アパート経営とは
アパート経営とは、基本的に木造(または鉄骨造)のアパートを一棟所有して経営することを言います。そのためアパート経営を始めるためには、以下の3通りのいずれかの方法からの選択になります。相続でアパート経営を引継ぐケースもありますが、条件がさまざまなので割愛いたします。
・所有している土地にアパートを新築して賃貸する
・中古アパートを土地ごと購入して賃貸する
・土地を購入してアパートを新築して賃貸する
マンション経営とは
マンションとは、鉄筋コンクリート構造(RC構造)の集合住宅のことです。基本的にマンションは、分譲であれば居住用・投資用問わず一部屋のみの区分所有を行えます。そのためマンション経営を始める方法はアパート経営より選択肢が多く、以下の5通りの方法からの選択になります。相続でマンション経営を引継ぐケースもありますが、条件がさまざまなので割愛いたします。
・所有している土地にマンションを新築して賃貸する
・中古マンションを土地ごと購入して賃貸する
・土地を購入してマンションを新築して賃貸する
・区分所有できる新築マンションを一部屋(あるいは何部屋か)購入して賃貸する
・区分所有できる中古マンションを一部屋(あるいは何部屋か)購入して賃貸する
アパート経営・マンション経営の不動産の運用形態のよる傾向の違いなど
アパート経営・マンション経営と言っても、新築、中古、一棟、一部屋などさまざまな選択肢があります。賃貸住宅経営を始めるに際して、不動産投資の形態による傾向の違いやメリットやデメリットを比較検討する必要があります。そこでそれぞれのパータンごとに一般的な判断基準を以下に示しておきます。
・土地を購入してアパート・マンションを新築する場合
一般的に投資額は最も多くなります。規模が大きくなることから管理・運用費用は多くかかる傾向です。また新築なので減価償却費や修繕費の面でもメリットの大きなプランです。金額が大きくなる分、所得税など節税効果は大きくなります。
・自分の土地にアパート・マンションを新築する場合
土地代がかからないため、投資額は建物の規模による建築費用次第です。すでに土地の場所は決まっているため、所有する土地の有効活用という観点ではメリットの大きなプランです。節税効果は所有する土地の価値や収益に応じて比較的大きくなります。また、所有する土地・建物に担保をつけられるのでローンが借りやすい点がメリットとしてあげられます。
・一棟中古アパート・中古マンションを土地ごと購入する場合
新規で土地を取得して、新築のアパート・マンションを建築するよりは、投資額は安価な傾向にあります。しかしながら、駅から近い・都心にあるグレードの高いマンションを中古で購入する場合は投資額が大きく膨らむ可能性はある反面、郊外のアパートなら投資額が抑えられる傾向があります。新築と比較して購入価格が下がるため利回りが有利な傾向があります。また、過去の入居率がわかるので、利回りが予想できる点がメリットとしてあげられます。他のパターンと比較して規模が大きくなることから管理・運用費用は多くかかる傾向です。
・区分所有できる新築マンションを一部屋(あるいは何部屋か)購入する場合
アパートやマンションを1棟建築したり購入したりするより、投資額は少ない傾向にあります。一部屋を所有し賃貸する場合の空室リスクは高くなりますが、管理・運用費用は少なくて済むメリットがあります。節税効果は投資額その他の条件次第で変わりますが、それほど大きくはなりません。同エリアの中古と比較して、利回りはあまりよくありませんが、節税のメリットがあります。
・区分所有できる中古マンションを一部屋(あるいは何部屋か)購入する場合
一般的に最も投資額は少なくなります。一部屋を所有し賃貸する場合の空室リスクは高くなりますが、管理・運用は、マンションの管理会社が行うためにオーナー自身で行う必要はない特徴があります。しかしながら、中古の場合、区分のオーナーチェンジが比較的簡単にできるメリットもあります。新築と比較して比較的小規模な投資で賃貸経営ができることが最大のメリットです。また、投資しようとしているエリアの物件の動向が掴みやすいので、利回りの計算も立てやすい傾向にあります。
以下に利回り・資産価値の傾向をまとめます。
・利回りの傾向(利回りの良い順)
中古アパート>新築アパート>中古マンション>新築マンション
相対的に一戸当たりの価格が安いほど利回りは有利となります。
・資産価値の傾向(資産価値の高い順)
新築マンション>中古マンション>新築アパート>中古アパート
RC>鉄骨>木造
建物の値落ちの少ない物件が資産価値として高いと言えます。但し、一棟所有の場合は、古いほど全体の価値を占める建物の比率が減り、土地の比率が高まるので資産価値は目減りしにくい傾向があります。
賃貸経営を始めるにあたって、アパートがいいかマンションがいいかは、投資金額が比較的少規模で利回りが読みやすい都心の区分所有中古マンション経営から、自分の土地を有効活用できるマンション・アパート経営まで、事業規模や投資金額に対する利回りなど、それぞれの不動産投資にも特徴があります。また、投資額が大きいから成功する、土地を持っているから大丈夫というものでもありません。すべての物件が、セオリー通りに収益が上がるわけでもありません。立地条件やニーズ、資金繰りなど、賃貸経営において重要な点をしっかり検討した上、信頼できる不動産会社をパートナーとすることも需要な要素と言えるでしょう。