アパート経営・マンション経営における建替えの必要性とタイミング
アパート経営・マンション経営を長く続けていると、避けて通れない問題が建物の老朽化です。建物が古くみすぼらしく見えるようになると、ただ単にイメージが悪くなるというだけでなく、空室が増えたり、家賃が下がったり、修繕費が増えたりといった問題が発生してきます。
そのような時に頭に浮かぶのが建て替えです。建て替えによって、現在のニーズに合ったデザインや仕様にすることで、近隣エリアの競合物件との差別化も図ることができ、家賃の見直しや入居率のアップなど、建て替える前よりも収益率が向上する可能性が期待できます。
そこで今回は、アパート・マンションの建て替えに関して解説することにします。
アパート・マンション建て替えを検討するポイントは?
・1981(昭和56)年以前に建てられたアパート・マンションの耐震基準
1981年以前に建てられたアパートやマンションは、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。地震国日本では、いつどこで大震災が起こるかわかりません。地震によって老朽化した建物が倒壊して、入居者様に被害が出た場合は、オーナー様の管理責任が厳しく問われる可能性もあります。旧耐震基準しか満たしていない建物は、できるだけ速やかに建替える必要があります。
・維持・管理費の増加に対する収益性の検討
アパート・マンションは古くなればなるほど、維持管理費用が増加します。維持管理費用とは対照的に家賃は下がり、空室も増加傾向が強まってきます。それでもオーナー様が想定している最低限の収益を上回っていれば問題ありませんが、それを下回る可能性が出てきたときは、建替えを考えた方がいいかもしれません。
・現代のニーズにあった設備、間取りの検討
アパート・マンションの老朽化は、外観の問題だけではありません。エレベーターなどの設備、キッチン、風呂、トイレ、洗面台、間取りなど、あらゆるものが老朽化し、時代遅れになっていきます。リフォームやリノベーションによって問題を解決し、家賃の低下や空室の増加を食い止めることができればそれでも構いませんが、その程度ではカバーしきれない場合は、建替えを考えるしかありません。
・相続税対策についての検討
老朽化した物件と多額の預貯金や金融資産があり、そろそろ相続税対策を考えなければならないという場合は、老朽化した物件を建て替えて、預貯金をアパート・マンションなどの固定資産に変えておくことで大幅な相続税対策になります。
アパート・マンションの建て替えには、上記のほかに大規模災害による建設費の高騰などの要因も関係してきます。決断する時は、できるだけ多くの情報を入手して慎重に検討するようにしてください。