アパート経営・マンション経営の収支計画を立ててみよう
アパート経営・マンション経営は、短期間で大きな成果を上げることを目指すのではなく、長期間継続して安定した収益を確保することを目指すビジネスです。そのため経営に役立つのは、直感やひらめきではなく、日々の地道な経営努力と言えます。具体的には、建築設計段階から経営開始後5年、10年、20年と長期に渡る収支計画をしっかりと策定しておくと、外壁の塗り替えなど、毎年ではなく長いスパンながら必ず発生する大規模な修繕費まで、しっかりと計算して盛り込むことができるため役立ちます。
そこで今回は、アパート経営・マンション経営の収支計画シミュレーションについて解説します。
この記事の目次
収支計画とは
収支計画とは、アパート経営・マンション経営に関わる収入と支出をすべて洗い出して計算したものです。建築の設計段階から20年後、30年後の収支まで1年毎にまとめておくと、施工後5年に1回程度発生する修繕のための費用を積立計画とともに盛り込んだり、10年後以降は建物の老朽化によって、空室率が少し増加した収支にするなど、様々なケースを想定したシミュレーションを作成することができます。
たとえば20年後以降の空室率を20%として計算すると、支出が収入を上回ってしまうことがシミュレーションによって判明した場合などは、それを回避するために早い段階で手を打つことが可能となります。
収支計画の重要なポイントとは
実際に収支計画を作成する場合は、以下の点に注意する必要があります。
・家賃設定
収支計画を作成する場合、もっとも注意する必要があるのは「家賃収入の見込みを低目に設定する」ということです。家賃収入はアパート経営・マンション経営のベースとなるものです。この設定が計画通りにいかないとすべての計画が、予定通りに進まなくなってしまうためです。
また、10年後、20年後には物件の老朽化が進み、家賃の値下げが必要となる可能性があります。家賃設定はその点も考慮に入れて計画しておくことが大切です。
・空室率
アパート経営・マンション経営をする限り、空室リスクは常に頭に入れておく必要があります。空室率は必ず1年目から設定するようにしてください。また、家賃保証契約を結ぶことで空室リスクを低くすることは可能です。
・修繕費
原状回復費、設備の寿命や故障・破損、建物自体の修繕などの修繕費は、築年数が経過すればするほど多くかかるようになります。きちんとそれを想定して計画する必要があります。外壁の塗装など数年に一度計画的に実行するものも、忘れずに計算に入れておくようにしてください。
・ローン返済
アパート経営・マンション経営を行う場合、初期投資をローンによって賄う場合、長期の返済やそれに伴う金利負担を軽減するために、無理な返済計画を立てると10年後、20年後の収支計画に無理が生じる可能性があります。その際、先のことは後で考えようなどと安易に先送りをすると危険です。借入金の返済額がキャッシュフローに大きな影響を及ぼさないように無理のない設定にすることが大切です。
どんなに綿密に収支計画をつくったとしても、10年後、20年後にはいろいろな事由により変化します。収支計画は、状況に合わせ適時シミュレーションし、柔軟に見直していくことが大切です。