アパートローンの金利相場と返済シミュレーション|メリット・デメリットについてもご紹介
賃貸経営としてアパートを経営する場合、物件の購入や建築のためにアパートローンを組まれることが多いでしょう。
しかし、ローンの仕組みや詳細をしっかり把握しておかないと、健全な返済計画や収入を確保した収支計画は立てられません。
今回は、アパートローンの仕組み、一般的な住宅ローンとの違い、利用するメリット・デメリットに関して説明しますので、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
アパートローンの基礎知識
アパートローンとは、アパートやマンションなどを、主に事業として建築・購入する場合に利用できる金融機関の融資商品です。また、賃貸経営を目的とした事業融資をアパートローンと呼ぶ場合もあります。
アパートローンの利用対象
所有する土地・建物を担保として貸し付けるローンであるため、所有している土地を活用してアパートを建築する場合やアパート物件を購入する際に利用します。その他に、所有するアパートのリフォームや修繕に利用する場合もあります。
住宅ローンとの違い
住宅ローンは、自分または家族の居住用物件などを購入するために利用できるローンとなり、投資用物件には利用できません。また、アパートローンとはローンを利用する目的が異なるため、借入期間や金利も異なります。
ただし、どちらのローンも手数料が必要となるため、ローンを組む際は手数料などの諸経費を含めた資金計画が求められます。
アパートローンを利用するメリット・デメリット
アパートローンを利用するメリット・デメリットを確認してみましょう。
メリット
ローンを利用して物件を購入または建築することで、少ない自己資金でもレバレッジ効果で収益性を高めることができます。
レバレッジ効果とは、レバレッジ=「てこ」となり、てこの原理を指します。不動産投資においては、前述のように少ない自己資金でも、借入金を利用することで見た目の利回り以上の大きなリターンが期待できるというものです。
たとえば、自己資金1,000万円で利回り10%の物件を購入する場合、ローンを利用せずに1,000万円の物件を購入すると、年間収益は1,000万×10%で100万円です。
しかし、自己資金1,000万円とローン4,000万円で5,000万円の物件を購入した場合、年間収入は5,000万円×10%=500万円になります。
仮にローン金利を3%とすると、年間で支払う利息は4,000万×3%=120万円、ローンを活用した場合の年間の実質収益は500万-120万=380万円になります。これがレバレッジ効果です。
デメリット
空室が複数発生した場合などで、ローンの返済額が家賃収入を上回ってしまうと、大きな赤字になる恐れがあります。
アパートローンの金利タイプは大きく分けて2種類
アパートローンの金利タイプには、大きく分けて「固定金利タイプ」と「変動金利タイプ」の2種類があります。
固定金利タイプ
固定金利には、借入期間中は金利が変わらない全期間固定金利タイプと、借入当初から2年・5年・10年・15年などの一定期間内は金利が固定され、期間終了後に、改めて金利を固定金利か変動金利か選択する固定金利期間選択タイプがあります。
基本的に固定金利の方が、変動金利よりも高めの金利設定になっていることが多いですが、固定金利は金利の変動がないため、将来的な返済額が把握でき、先々の返済計画を立てやすくなります。
また、仮に金融情勢の変化などで世間的に金利が上がっても、ローン金利は借入時のままとなるため、利息が増えることがないのがメリットです。
しかし、反対に世間的に金利が下がる場合は、相対的に高い金利で支払うことになります。
変動金利タイプ
変動金利は、金利情勢の変化によって金利が変動するタイプとなり、基本的に年2回金利の見直しがあります。
設定時には変動金利の方が、固定金利よりも低い金利となっていることが多いですが、将来的に世間の金利が大きく上昇した場合には、元本が減らず負担が増えてしまうのがデメリットです。
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アパートローンの金利相場とは
住宅ローン金利は、ほとんどの場合、金融機関のホームページや商品概要書で公表されていますが、アパートローン金利の多くは公表されておらず、実態把握はなかなか難しくなっています。
また、「アパートローン」という呼称自体共通したものではなく、金融機関の多くは固有の名称を使用しているようです。
2019年3月現在、各行のホームページに公開されている金利をいくつか名称とともにお伝えします。
・三井住友銀行:アパートローン
固定プラン10年…3.10%
・広島銀行:ビル・アパートローン
固定・変動選択型固定金利期間10年…3.25%
・東京スター銀行:スター不動産担保ローン
固定金利型10年…2.850%+調整幅(-1.50%~6.00% ※所定の審査により決定)
・住信SBIネット銀行:不動産担保ローン
変動金利…2.95%~8.9%
・オリックス銀行:不動産投資ローン
固定金利期間特約付変動金利型(5年固定金利特約型)…3.500%
・SMBC信託銀行:不動産投資ローン
固定金利型10年…2.20%
審査の際には、基本的に以下の内容を確認されます。
・資産(預貯金・有価証券・不動産など)
・担保物件の担保価値
・事業収支
・職業
・勤務先
・勤続年数
・年収
・家族構成
・現在の住まいの種類(持家か借家かなど)
・経歴
・年間の各種税金支払額、支払い状況
・既存借入額と年間返済額
・他物件の収支(すでに賃貸経営をしている場合)
また、ローンを申し込んだ金融機関との取引実績も加味されます。
一般的に金利は、メガバンク→地方銀行→信用金庫→ノンバンクの順で高い傾向です。
金利が低いほど融資審査が厳しいことに注意し、どの金融機関でローンを組むかしっかり調べて、慎重に決めることをおすすめします。
アパートローンを利用した場合の返済シミュレーション
仮に、3億円を固定金利1.7%の35年ローンで借り入れた場合を例にして返済額を見ていきましょう。
この場合には、毎月の返済額は948,226円、年間返済額は11,378,712円となり、そして総返済額は398,254,920円になります。
実際にアパートローンを利用する場合には、事業計画や物件の収益性などで条件が異なりますので、複数の金融機関でプランを比較して、慎重に選択しましょう。
ローンによって初期投資の資金計画を立てる場合には、先々の収支計画が狂ってしまわないように無理のない返済計画を立てることが重要です。
ただし、いくらしっかり返済計画・収支計画を立てたとしても、あくまで予測でしかないため、時間の経過や景気などの変化によって、状況も大きく変わります。
時代や景気の変化に応じてシミュレーションを行い、軌道修正をしていきましょう。
アパートローンの借り入れと返済計画は長期的視野で判断
アパート経営という不動産投資は、長い時間経過の中で金利も変化します。また、アパート経営を取り巻くマーケットもさまざまな要因で変化し、設備などに求められる機能も変化することは確実です。今では当たり前のシャワー機能付きトイレや最近流行のWi-Fi環境などはその代表でしょう。初動時期とマーケットが同じ条件のままの方が珍しいはずです。
建設後から長い期間が経てば物件も劣化してしまうため、物件の修繕が必要になることも考慮しなければいけません。
利益を確保しながら、無理のない返済を行う綿密な計画を立てることも大切ですが、状況に合わせてシミュレーションをやり直し、柔軟に収支を見直すことも求められます。
アパートローンを組むときは、長期的視野に立って返済計画を立てましょう。
※写真はイメージです
※本記事は、2019年4月以前時点の情報をもとに執筆しています。 マーケットの変化や、法律・制度の変更により状況が異なる場合があります
※記事中では一般的な事例や試算を取り上げています。個別の案件については、お気軽にお問い合わせください。
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