アパート解体費用の平均相場は?構造別の違いや補助金などについて解説
アパートの解体を検討している方のなかには、費用がどれくらいかかるか相場がわからず、なかなか計画を進められない方もいるのではないでしょうか。解体費用はアパートの構造や規模などによって異なります。この記事では、構造別の解体費用の相場や費用を抑える方法、活用できる補助金、解体業者を選ぶポイントなどについて紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
アパートの解体工事費用は何で変わるのか
アパート解体工事は、建物の条件によって費用が変わります。条件とは「構造」「規模(大きさ)」「立地条件」などです。木造と鉄筋コンクリートでは、解体工事に必要な作業に違いがありますし、アパートが建っているのが広々とした敷地なのか、建物が密集した敷地なのかによっても作業は左右されます。それぞれの条件を詳しく解説します。
構造・大きさ
木造、鉄骨、鉄筋コンクリートなどと、建物の構造の種類によって解体作業は大きく変わります。木造は一般的な重機で簡単に壊すことができますが、鉄骨や鉄筋コンクリートの場合は、鉄骨を裁断するなど専用の重機が必要になります。また、鉄筋コンクリートでは、近隣に破片が飛ぶといった被害が出ないように、敷地内を養生シートで囲むなど養生にも気を配る必要があります。
構造の他、アパートの大きさによっても解体費用は変わります。部屋数や階数が多い場合は、解体作業にも時間が必要になり、養生費や重機のレンタル費も増えていくでしょう。解体で発生した多くの建材などの廃材処分費もアパートの大きさに比例します。
立地条件
解体工事を行うとき、作業が効率的に進むかどうかは敷地の立地条件に左右されます。敷地の前面道路や敷地内に十分なゆとりがない場合、重機の搬入・作業にも支障が出やすく、廃材処分の車両もスムーズに出入りできないことがあります。効率的に作業が進まなければ、工事期間が長くなり、重機のレンタルや作業員の増員など工事費用にも影響があります。
アパートの構造・大きさ別費用相場
アパート解体費用相場
アパートの構造の種類によって、解体工事の作業内容や工程は異なります。当然、それぞれ解体に要する費用も変わります。構造別でのアパート解体費用の坪単価相場は次のとおりです。
・木造4~5万
・鉄骨6~7万
・鉄筋コンクリート7~8万
解体するアパートの1階が30坪で、上の階も同じ坪数である場合での、構造別の解体費用を試算してみましょう。
なお、試算する解体費用は単純に坪数を基に計算したもので、実際には土地の立地条件などさまざまな要因により費用が異なることがあります。
木造アパート解体費用 ※坪単価4万円として計算
2階建て:1~2階で60坪×4万円=240万円
3階建て:1~3階で90坪×4万円=360万円
鉄骨アパート解体費用 ※坪単価6万円として計算
2階建て:1~2階で60坪×6万円=360万円
3階建て:1~3階で90坪×6万円=540万円
鉄筋コンクリートアパート解体費用 ※坪単価7万円として計算
2階建て:1~2階で60坪×7万円=420万円
3階建て:1~3階で90坪×7万円=630万円
4階建て:1~4階で120坪×7万円=840万円
構造によって解体費用の相場に違いがありますので、同じ坪数でも費用が大きく異なります。2階建てで比べると木造240万円に対し、鉄筋コンクリートは420万円と倍近くになります。
アパート解体費用の内訳
アパート解体費用の内訳には「仮設工事」「解体工事」「附帯構造物解体工事」「アスベスト撤去工事」などの項目があります。それぞれを詳しく確認していきましょう。
・仮設工事
仮設工事には、解体工事を行うための敷地囲いやネットなどの養生費や、重機を移動するときの運搬費の他、作業しやすいように足場を確保するための敷鉄板、車両の出入りを誘導してくれる警備員の費用などが含まれます。
・解体工事
解体工事を行うときに必要になる重機レンタル費や廃材処分費などを含みます。現場管理費や書類作成費などの諸経費が加わることもあります。
・附帯構造物解体工事
アパート本体とは別に、駐車場や駐輪場、倉庫、土間コンクリートなどを取り壊す費用や植栽の処分費用が含まれます。ブロック塀の解体が必要なケースもあります。
・アスベスト撤去工事について
建物にアスベストが使用されているときは別途、アスベスト撤去工事が必要になります。アスベストは発がん性があるため、他の廃棄物と分けて適切に処理することが法律で決められています。
アパート解体工事の流れや期間
アパート解体工事の期間も、建物の構造や大きさに左右されます。おおよその目安として、木造で10日~2週間、鉄骨・鉄筋コンクリートで2週間~1ヵ月になります。階数や附帯構造物が多い場合は期間が延びることもあります。また、解体工事を始めるまでには、現地調査や見積もりの提示、またその検討期間なども必要になりますので、全体では1~3ヵ月ほどが目安となるでしょう。
現地調査
解体前には、解体業者が必ず現地調査を行います。建物の構造や附帯構造物の確認、電気、ガス、水道などの設備の状況、道路と敷地の現状など、解体工事を行うにあたり支障がないかを確認します。現地調査から見積もりの提示まではおおよそ2~3週間が目安です。
見積もり・契約
提示された見積もりの確認し、比較検討を行います。業者から解体工事の内容を説明してもらい、契約に進みます。すぐ契約を結ぶこともありますが、検討期間は長くても1ヵ月が目安と考えましょう。
引き込み配管・配線の撤去
電気、ガス、水道などの引き込み配管を撤去します。解体工事を行う前にこれらの使用を停止して、あらかじめ撤去してもらいます。撤去にはおおよそ1週間かかります。
解体工事
建物本体などの解体工事を行います。構造、大きさなどにより工事期間は異なりますが、おおよそ2週間〜1ヵ月が目安です。建物が大きい場合や立地条件で解体作業がスムーズに進行できなかった場合は、さらに1ヵ月ほど要することもあります。
解体工事の期間は、構造や建物の規模、作業のしやすさなど、さまざまな条件によって変わります。どのくらいの期間が必要になるのか、解体する前に確認しておくと安心です。
アパートの解体工事に必要な手続きについて
アパート解体工事を進めるには、解体工事のための届出や道路使用許可などさまざまな手続きが必要になります。詳しく確認しましょう。
解体工事届出(建築リサイクル法に関する届出)
延べ床面積が80平方メートルを超える建物を解体するときは、建築リサイクル法に基づき、事前に届け出ている業者しか工事を行うことができないと法律で決められています。解体工事届出は施主が行うとされていますが、一般的には解体する会社が届出を代行する場合がほとんどです。提出は着工の7日前までに済ませる必要があります。
道路使用許可申請
道路使用許可申請は、重機などが敷地内では作業ができず、道路に駐車しなければならない場合に、解体業者が提出するものです。住所を管轄する警察署に提出し、許可を得ます。申請には手数料が必要になります。
解体後には建物滅失登記
建物を解体した後で忘れてはいけないのが、建物滅失登記の提出です。建物が消失していますので、そのままでは固定資産税がかかり続ける可能性があります。建物滅失登記の申請先は法務局となり、一般的には司法書士に依頼することが多いでしょう。
解体工事の費用を抑えるためのポイント
補助金の活用
解体工事は多くの作業を要し、必要経費もかさむため、費用負担は少なくありません。しかし、一定の要件に該当すれば、解体費用の一部を補助する制度を活用できます。制度は地方自治体が独自で設けるなど各自治体により異なるので、情報を収集して活用につなげましょう。
・老朽危険家屋解体撤去補助
長期間、管理されることなく放置された家屋で、そのままでは倒壊の恐れがある場合に、解体にかかる費用の一部を自治体が補助するものです。危険家屋の二次災害を防止する目的もあります。
・都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金
都市の景観を維持するために、倒壊の危険性にかかわらず、老朽化した家屋解体費用の一部を補助するものです。
・建て替え建設費補助金
老朽化した家屋を解体して建て替えをする場合に、一定の基準に該当する家屋であれば解体費用と建築費用の一部を補助するものです。基準を満たす必要がありますが、解体と建築の両方に補助が受けられる点がメリットです。
複数社に見積もりを依頼
解体工事の費用を抑えるためには、複数社に見積もりを依頼することが効果的です。1社のみの見積もりでは、金額の妥当性を比較する材料がありません。複数社からの見積もりがあると、それぞれの金額の根拠を比較できます。
自分で処分できるものを分ける
解体工事を行う前に、自分で処分できるものと、解体工事で処分するものを分けることで、必要以上のゴミ処分費が発生することを避けられます。リサイクルショップに引き取りを依頼することも処分費を抑える方法のひとつです。
解体工事の費用は、坪数での単価計算が目安ですが、建物の中にあまりにも処分するものが残されている場合、処分費を上乗せされることもあります。リサイクルや知人への譲渡など、工夫することで費用の削減につながります。
失敗しないための解体業者選びのコツ
見積もりの内訳が明確
解体工事の見積もり内訳を詳細に記していて、何にどれくらいの費用がかかるかが明確な会社を選びましょう。
工事の流れ、施工の方法などをきちんと説明
着工から工事終了までの流れや期間をきちんと説明してくれる会社は、しっかりと計画を立てていると考えられ、安心して任せられます。また、工事中の注意点などのアドバイスがある会社だと、近隣への工事説明などもしっかりと行うことができるでしょう。
また、解体工事後に建て替えをする場合は、同じ会社にどちらの工事も依頼することで、工事計画の全体として費用を提示してもらえるため、コストダウンにもつながります。一連の流れで建て替えまで責任を持って対応してもらえることは、工事を依頼する側もスムーズに進める上でメリットになります。
施工実績・評価など
解体工事の実績があり、地域での評判も良い会社を選びましょう。解体工事には、近隣への騒音、ホコリなどの対策も必要になりますので、経験豊富な会社に依頼したほうが安心感があります。
現場での対応力
解体工事中は、さまざまな下請け工事の関係者がかかわります。現場を統率し、天候なども考慮しながら臨機応変に対処できる、現場対応力がある会社がベストです。大きな振動や音が発生する時期には近隣に周知をするなど、きめ細かい対応をとることで、工事中のトラブルを回避できます。
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