マンション経営・アパート経営のランニングコストはいくら?相場や内訳を解説
所有している土地を有効活用する方法として、マンション経営やアパート経営が挙げられます。初めての経営では費用面などで不安を抱くかもしれませんが、どのような費用が発生し、どの程度必要なのかを理解しておくことで、長期的かつ安定的な経営を実現できるでしょう。
この記事では、マンション経営・アパート経営の初期費用やランニングコストの内訳、ランニングコストを抑える方法などを紹介します。これから経営を始めようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
マンション経営・アパート経営にかかる初期費用の相場
そもそもマンションやアパートを経営するとなれば、物件を建築するための初期費用が必要です。費用相場は建築する物件の構造や規模によって異なりますが、建築価格の8%~10%といわれています。
初期費用には、物件の建築費用や登記費用、印紙税、不動産取得税などが含まれ、物件の建築費が高額になるほど、その他の費用も高くなります。安定的に経営を継続できるように、初期費用は建築価格の30%ほどを用意しておくなど、資金に余裕を持たせるとよいでしょう。
なお、不動産取得税は請求されるまでに時間を要します。物件を建築した時点で支払う必要はありませんが、あとで必ず支払うことになるため、初期費用として覚えておくと資金不足とならず安心です。
アパート経営の初期費用を詳しく知りたい方は、こちらも併せてご覧ください。
関連リンク:
賃貸マンション経営・アパート経営に必要な初期費用とは?内訳や相場を解説
マンション経営・アパート経営にかかるランニングコストの相場
マンション経営やアパート経営では、物件の維持・管理にランニングコストがかかります。ランニングコストの内訳は、管理費用や修繕費用などを含めた維持費や税金、融資借入金の返済などです。これらの費用を毎月の家賃収入から支払わなければならないため、効率的に手残り利益を出すことが重要といえます。
ランニングコストの相場は、マンションタイプやアパートタイプなど物件によって異なりますが、家賃収入の60%~80%ほどと考えておきましょう。内訳としては、家賃収入のうち維持費が20%~30%、融資借入金の返済分が40%~50%ほどです。
なお、経営プラン(建築費の見積もりや賃料の設定など)によっては収支に1,000万円以上の差が生じるケースもあるため、実績が豊富な信頼できる建築管理会社を見つけることが大切です。
マンション経営・アパート経営のランニングコストの内訳一覧
マンション経営・アパート経営では、以下のようなランニングコストがかかります。
① 管理委託費
② 損害保険料
③ 管理費用
④ 修繕費・積立金
⑤ リフォーム費用
⑥ 入居者を募集するための広告費
⑦ 融資借入金の返済
⑧ 税理士費用
ランニングコストの内訳を詳細に把握することで、節約できる可能性や効率的にキャッシュフロー利益を増やせる可能性があります。物件の管理方法としては、サブリース会社が一括借上げする方法、管理のみの委託方法などがあり、それぞれの管理方法によってランニングコストも異なります。なかには、自己管理する人も見受けられます。レアケースではありますが自己管理する方法、物件を管理会社やサブリース会社が一括借上げする方法があり、それぞれの管理方法によってランニングコストも異なります。
ここでは、自己管理やサブリースによる違いを交えながら、ランニングコストの内訳を紹介するので、どのような費用がかかるのかを理解しましょう。
マンション経営・アパート経営のことをより詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてください。
関連ページ:
マンション経営の仕組みとは?メリットとリスクも解説!
アパート経営(賃貸経営)のメリットとリスクとは?
管理委託費
マンション経営やアパート経営では、管理に関する業務を管理会社に委託するのが一般的です。管理委託の費用相場は、毎月の家賃収入の5%ほどといわれています。
管理の範囲は、以下のように建物管理と入居者管理の2つに分類されます。
建物管理:防犯や警備、火災報知機の点検など、物件の維持管理業務
入居者管理:家賃滞納者の対応、入居者同士のトラブル、クレームの対応、入居者募集などの業務
サブリースを利用する場合の費用は、家賃収入の10%~20%が相場といわれています。管理委託よりも費用は高額になりますが、家賃保証やトラブルへの対応など、サービス内容の違いがあるため、自身に適した管理のしやすさが選ぶポイントとなるでしょう。
損害保険料
火災や地震などの災害が発生した場合、被害の大きさによってはマンションやアパートの経営を継続するのが困難な状況になるため、建物を対象とした損害保険への加入は不可欠です。一般的な火災保険の場合、地震災害は補償対象外になるため、地震保険にも加入しておきましょう。
火災保険の契約期間は、最長で5年、最短で1年に設定されており、長期契約のほうが割安になります。
管理費用
管理費用には、物件の共用部分の電気代や清掃費などが該当します。また、常駐管理人を雇う場合は、その人件費も管理費用に含まれます。
入居希望者にとって、エントランスや外観の清潔感は物件を選ぶポイントの一つです。空室対策に効果を発揮する大事な要素のため、コスト削減には適さない費用と考えられるでしょう。
サブリースを利用すれば、管理業務をサブリース会社に一任でき、管理業務の負担が大幅に軽減されます。
修繕費・積立金
建物は経年劣化するため、定期的に修繕して入居者が安心して長く住めるように維持することが大切です。また、建物を維持するために、12年程度の周期を目安として大規模修繕を行なう必要があります。大規模修繕は1回で数千万円かかるケースもあるため、資金不足にならないよう、修繕費を計画的に積み立てることが重要です。
サブリースを利用する場合も、サブリース会社は賃貸契約入居者と同じ立場になるため、修繕費はオーナー様が負担します。自己管理や管理会社に管理を委託している場合も、修繕費はオーナー様の負担です。
良心的な業者であれば、修繕費・積立金も含めた事業収支計画を立ててくれますが、業者によって対応は異なるため、現実的な事業収支計画になっているかを事前にしっかりと確認しましょう。
リフォーム費用
建物の経年劣化が目立つ場所に関しては、大規模修繕ではなく都度修繕しなければなりません。部屋の状態が悪くなった場合は、入居者が入れ替わる際に原状回復としてリフォームし、空室リスクを軽減します。状況によって異なりますが、ワンルームマンションで30万円ほどかかると考えておきましょう。
前述のように、サブリース会社はオーナー様から物件を借りている立場にあります。そのため、リフォーム費用を負担するのはオーナー様であることが一般的です。
入居者を募集するための広告費
新たに入居者を募集する際は、物件情報誌やWebサイトに物件情報を掲載することで効率的に入居者を募集できます。掲載する際に必要な広告費の相場は、家賃1ヵ月分ほどと考えておきましょう。
ただし、繁忙期は広告費が高くなるケースがあり、広告費を支払ったとしても確実に成約につながるとは限りません。
サブリースの場合、入居者の募集はサブリース会社が行ないます。その際にかかった広告費は業者負担になるため、オーナー様が負担する必要はありません。
融資借入金の返済
融資借入金で物件を建築した場合、毎月元本と利息を支払わなければなりません。利息は経費に計上できるため、確定申告の際は忘れずに処理してください。返済期間が長くなるほど返済総額が大きくなるため、建築時には頭金を用意しておくなど、資金に余裕を持つとよいでしょう。
マンション経営やアパート経営では、賃料が見直されたり修繕費が高額になったりして、融資借入金の返済が厳しくなるリスクがあります。また、サブリースや管理会社を利用している場合は、手数料や管理委託料を支払わなければなりません。運用を任せられるメリットを利用しつつ、自身でも契約内容や運用ノウハウ、キャッシュフローへの理解を深めることが大切です。
税理士費用
初めて賃貸経営を行なう場合、専門知識のない状態で税金に関する手続きを行なうのは難しいため、税理士に依頼すると安心です。賃貸経営に関する疑問が生じても相談しやすいように、顧問契約するケースも見受けられます。
税理士と顧問契約を結んだ際にかかる費用は依頼する税理士によって異なりますが、年間で20万円~30万円ほどが一般的です。ひとくちに税理士といっても得手不得手があるため、賃貸経営に強い税理士に依頼すると安心です。
サブリース契約を結ぶ場合は、入居者ごとに契約を結ぶよりも手続きが簡略化されることで、確定申告時の事務手続きの負担も軽減されます。そのため、税理士が請け負う煩雑な作業が減り、依頼費用を削減できる可能性もあるでしょう。
マンション経営・アパート経営にかかる税金は3つ
マンション経営・アパート経営にかかる税金には、定期的に支払う必要のある税金と、相続税のように税金の発生時期が不定期なものがあります。マンション経営やアパート経営のランニングコストといえる税金は、マンション経営・アパート経営にかかる税金で、ランニングコストになるのは、相続税がない場合で以下の3つです。
① 固定資産税
② 所得税や住民税
③ 都市計画税
マンションやアパートの経営では、固定資産税、所得税および住民税、都市計画税などを納める必要があるため、ランニングコストとして覚えておくとよいでしょう。ここでは、それぞれの概要や税率などを紹介します。
固定資産税
固定資産税とは、所有している不動産にかかる税金のことです。標準税率は固定資産税評価額の1.4%と定められていますが、自治体によって異なるため、自治体ホームページの税金の項目などで事前に確認しましょう。
固定資産税には小規模住宅用地の特例(住戸1戸あたり200平方メートルまでの部分が対象)があり、適用されれば課税標準額(税額を算出するもとになる金額)が評価額の6分の1に軽減されます。賃貸マンションやアパートは、この特例が適用される可能性が高いでしょう。
固定資産税の評価額は3年に一度の周期で見直されるため、地価の変動によって納税額も変動します。なお、固定資産税の支払い方法は、毎年一括払いか四半期に一度の分割払いです。
所得税や住民税
マンション経営やアパート経営で家賃収入がある場合は、所得税や住民税が課税されます。所得税は所得にかかる国税で、住民税は地域に住む人が支払う地方税です。所得税は所得金額に応じて5%~45%の税率が設定されていますが、住民税は自治体によって異なります。
会社員で賃貸経営している場合は、給与所得と家賃収入を合算した金額が合計所得金額になります。経費として計上できる費用や控除されるものを理解しておくことで、節税効果が期待できるでしょう。
都市計画税
都市計画税は、土地区画整理事業や都市計画事業の費用に充てるための市町村税で、固定資産税評価額の0.3%にあたる金額を納めなければなりません。都市計画税も固定資産税と同様、小規模住宅用地の特例があるため、適用されれば課税標準額が評価額の3分の1に軽減されます。
なお、市街化区域(※)に該当しない場合は、都市計画税を納める必要はありません。都市計画税の詳細は市町村によって異なるため、自治体ホームページの税金の項目などで事前に確認しましょう。
※市街化区域:すでに整備が進められて市街地になっている区域と、おおむね10年以内に優先的に市街化を図るべき区域。また、市街化を抑制する「市街化調整区域」もある。この地域に該当する場合は都市計画税を支払う必要はないがマンションを建築するのは難しい。
マンション経営・アパート経営でランニングコストを抑える5つの方法
マンション経営・アパート経営でランニングコストを抑える方法は、以下の5つです。
① 適切な管理会社に管理委託を依頼する
② 日頃から物件のメンテナンスを怠らない
③ 確定申告は自身で行なう
④ 借り換えなどで融資借入金の金利を見直す
⑤ 法人化する
マンション経営やアパート経営にかかるランニングコストを抑えることで、手残り利益を高められる可能性があります。ただし、ランニングコストの削減を検討する際は、経営に影響をおよぼさない範囲で行ないましょう。
ここでは、ランニングコストを抑えるのに効果的と考えられる方法を紹介します。
適切な管理会社に管理委託を依頼する
管理委託で賃貸経営を行なう場合は、相場に近い金額で依頼できる管理会社に委託するとよいでしょう。ただし、管理会社によって業務内容は異なり、管理委託料が同等だとしても、業務内容まで同じとは限りません。事前確認せずに依頼するとオーナー様の負担が増える可能性があるため、依頼する際は管理してもらえる範囲を必ず確認しましょう。
また、ランニングコストを安く抑えたい場合は、管理会社を変更することも可能です。ただし、解約の申し出期間が設けられているケースが多いため、解約を検討する際は早めに契約書を確認しましょう。
なお、管理会社に委託する場合は、サブリースよりも手間が増えることを考慮して委託を検討する必要があります。
日頃から物件のメンテナンスを怠らない
建物は経年劣化するため、不具合を放置することで状態はさらに悪化し、大がかりな修繕が必要になる可能性が高まります。日頃からメンテナンスを行ない、修繕費の削減につなげましょう。
また、定期的にメンテナンスを行ない、物件をきれいに保つことは、修繕費を抑えるだけでなく内見に訪れた人に対して良い印象を与えます。空室対策にもつながるため、清潔感も意識してメンテナンスを行ないましょう。
確定申告は自身で行なう
マンション経営やアパート経営の確定申告は、税理士を通さず自身で行なうことで税理士費用を削減できます。ただし、申告内容や手続きにミスがあった場合は、追加で税金を支払わなければならないケースもあるため、注意して手続きを進めましょう。
特に、経費処理を行なう際の家事按分(※)に関しては、専門家でも意見が分かれるほど判断が難しいといわれています。そのため、自身で行なうリスクも考慮したうえで、確定申告の方法を検討しましょう。
※家事按分:私生活の支出と事業用の支出が混在している費用において、事業用を算出すること。賃貸経営の場合は、自宅兼事務所の賃料、通信費、内見に使用する車の維持費などが該当。
借り換えなどで融資借入金の金利を見直す
借り換えとは、現在利用している金融機関とは別の金融機関で融資を組み直すことです。より金利の低い金融機関から融資を受けることで、返済総額を軽減でき、ランニングコストを抑えられる可能性があります。
ただし、借り換えを行なうことで、これまで取引していた金融機関との関係が悪化しかねないことも考慮する必要があるでしょう。また、借り換えにも、融資事務手数料や登記費用、繰り上げ返済手数料などの費用がかかるため、メリットとデメリットを比較し、自身の事業収支計画に適しているかを慎重に検討することが大切です。
法人化する
家賃収入が増えた場合は、法人化することでランニングコストを抑えることが可能です。法人化すると、税率が低くなったり経費として認められる範囲が広くなったりするため、所得税の負担を軽減できるでしょう。
ただし、法人化すること自体の費用も必要であり、所得が大きくなければコスト倒れする可能性も否定できません。そのため、所得が1,000万円を超えたあたりが法人化に適したタイミングといえるでしょう。
また、会社員として賃貸経営を行なっている場合、法人化するほど規模の大きな経営となれば、本業に支障をきたすことも考えられます。
副業が禁止されている公務員であっても賃貸経営は可能ですが、認められている条件が法人化の規模には合っていません。そのため、ほかの方法でランニングコストを抑えたほうがよいでしょう。
まとめ
マンション経営やアパート経営では、経営を維持するためのランニングコストがかかります。その内訳は、維持費や税金、融資借入金の返済などと幅広く、家賃収入の60%~80%ほどを占めるため、キャッシュフローを増やしたい場合はコストを抑える工夫が必要といえるでしょう。
ただし、キャッシュフローを増やすことに注力してしまうと、入居者にとって住み心地の良い物件を提供できなくなり、空室率が高くなる可能性があります。そのため、信頼できる管理会社に管理を委託するほか、日頃のメンテナンスや融資の借り換えなどで、コストを適切にコントロールすることが大切です。
生和コーポレーションは土地活用52年の強みを活かし、オーナー様の利益利益を第一に考えたプランを提案します。豊富な実績と確かな技術力でフルサポートしますので、マンション経営やアパート経営のことで疑問や不安がある方は、生和コーポレーションにお気軽にご相談ください。