アパート経営は儲かる?キャッシュフロー例や儲かるポイントを徹底解説
土地活用でアパート経営を考える方のなかには、「アパート経営は儲かるのか?」「儲けるポイントは何か?」などの疑問を持つ方もいるでしょう。
アパート経営で儲けを出すためには、知識を身に付け、十分な計画を立ててから実行することが重要です。
この記事では、アパート経営で儲けが出てない場合の原因や、収入・支出の詳しい内容を解説します。併せて、アパート経営のキャッシュフロー例や、儲かるためのポイントなどについても紹介するので、アパート経営を考えているオーナー様は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
アパート経営は本当に儲かる?
アパート経営で儲けを出すには、利回りを考慮しながら計画を立てることが大切です。
アパート経営が儲かるかどうかは計画次第
アパート経営にはリスクがともないますが、計画次第で儲けることが可能です。儲けを出すには、アパート経営に関する十分な知識を身に付け、土地の条件や周辺環境に見合う経営計画を立てましょう。
アパート経営が儲かるかどうかは「利回り」が重要
アパート経営における「利回り」とは、「アパートの建築費や物件価格に対し、収益がどれくらいあるか」を表した数字です。おもな利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」があります。
· 表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件取得費(建築費または物件価格+諸費用)×100
· 実質利回り(%)=(年間家賃収入-年間経費)÷物件取得費(建築費または物件価格+諸費用)×100
アパート経営の収益を考える際は、実質利回りに注目しましょう。一般的な実質利回りの最低基準は3%~3.5%、理想は5%以上とされています。
アパート経営が儲からない4つの原因
アパート経営が儲からないおもな原因は、以下の4つです。
· 入居率が低い
· 経年により修繕費などのコストがかかる
· 融資の返済額が大きい
·融資完済まで収入のすべてが手残りになるわけではない
それぞれについて詳しく解説します。
入居率が低い
アパート経営でコンスタントに儲けを出すには、高い入居率を維持しなければなりません。高い入居率を維持するには、以下のような配慮が必要です。
· 立地条件や相場に見合った家賃の設定
· エントランスや階段などの共用部分、室内の清潔の保持
· 高速インターネット、システムキッチン、宅配ボックスなどの需要の高い設備の導入
入居率が低くなると、家賃収入が減るため、儲けを出すことが難しくなります。
経年により修繕費などのコストがかかる
アパートを建築してから年月が経過すると、修繕費がかさむようになります。通常損耗や経年劣化に対する修繕費は貸主負担になるため、入居者が退去したあとの原状回復費の考慮も必要です。
融資の返済額が大きい
賃貸経営におけるキャッシュフローとは、家賃収入から経費・融資返済額・税金を指し引いたあとに残るお金のことです。
アパート経営において融資返済額が大きい場合、予期せぬ修繕費や空室リスクなどが発生すると、キャッシュフローが小さくなります。
アパート経営では、1回あたりの返済額が大きくならないように、返済期間はできるだけ長く設定することが大切です。
融資完済までは収入のすべてが手残りになるわけではない
アパート経営は、多額の資金を必要とします。税金や修繕費などを支払いながら、投資分を回収していかなければなりません。融資完済まで収入のすべてが手残りになるわけではないため、しっかりと計画を立てる必要があります。
アパート経営の「収入」とは?
アパート経営が儲からないおもな原因を押さえたところで、次はアパート経営の収入について理解を深めましょう。アパート経営の収入には、次のようなものがあります。
· 家賃
· 礼金
· 共益費・管理費
· 更新料
ここからは、アパート経営の収入の詳しい内容について解説します。
家賃
家賃は、入居者が貸主に対して毎月支払う賃貸料金です。家賃の金額は、アパートの立地・需要・地価などに基づき、相対的に設定されます。
家賃は、アパート経営の収入の大部分を占めるため、毎月どれくらいの家賃収入があるかを把握することが重要です。
礼金
礼金は、賃貸借契約を結ぶ際に、入居者が貸主に支払う一時金のことです。礼金には、貸主が家を貸してくれたことに対する感謝やお礼の意味合いがあります。
礼金の相場は家賃の1ヵ月~2ヵ月分とされ、一般的に貸主から入居者に返金することはありません。昨今では、入居率を高めるために「礼金0円」の物件も見られます。
共益費・管理費
共益費や管理費は、ゴミ捨て場・エントランス・廊下・階段など、アパートの共用部分の維持管理にかかる費用です。
維持管理費用の具体的な内訳には、共用部分の修繕や清掃にかかる費用、電気代や電球交換費用、アンテナや浄化槽の保守点検費用などがあります。
更新料
アパートの賃貸借契約には、契約期間が設定されています。更新料とは、入居者が契約期間の更新を希望する際に、貸主に支払う手数料のことです。更新料は、賃貸借契約書に記載されている場合に発生し、すべての入居者に対し法的に義務づけられているものではありません。
更新料の相場は、家賃の1ヵ月~2ヵ月分です。ただし、更新料の有無や金額は地域性も関係するため、必ず相場に近い金額になるとは限りません。
アパート経営に必要な「支出」とは?
アパート経営を始めるなら、支出についても押さえておきましょう。アパート経営の支出は、次の3つです。
· 初期費用
· ランニング費用
ここからは、アパート経営に必要な支出の詳しい内容について解説します。
初期費用
アパート経営にかかる初期費用は、「建築費」と「建築費以外の諸費用」の2つです。建築費は、アパートの構造・規模・グレード・立地条件などによって異なります。建築費以外のおもな諸費用の内訳は、以下のとおりです。
· 測量費用
· 融資手数料
· 火災保険料
· 地震保険料
· 印紙税
· 登記費用(登録免許税・司法書士報酬)
· 不動産取得税
ランニング費用
アパート経営におけるランニング費用は、おもに管理費用と税金に分けられます。
・管理費用(管理委託費・共用部の水道光熱費・修繕費・原状回復費・広告費・修繕積立費)
アパート経営では、アパートを管理するための費用が必要です。
管理費用の内訳の多くは、アパートの管理を行なう管理会社に支払う管理委託費です。管理委託費は「アパートの家賃収入の○%」という形で設定され、管理会社によって異なります。
管理会社に支払う管理委託費以外にも、共用部分の電気代や水道代・修繕費・退去後の原状回復費・入居者募集の広告費なども考慮しなくてはなりません。
また、大規模修繕をするには、アパートの規模や築年数などによって数千万円の資金が必要になるため、修繕積立費として毎月の積立も必要です。
税金アパート経営を行なう際は、以下のような税金がかかります。
· 所得税
· 住民税
· 個人事業税または法人税
· 消費税(課税売上が1,000万円以上の場合に翌々年から課せられる)
· 固定資産税、都市計画税
アパート経営のキャッシュフロー例
ここでは、アパート経営の3つのキャッシュフロー例を紹介します。なお、建築会社や地域によって、建築費や家賃設定は異なるため、あくまでも参考であることをご了承ください。
1K・8戸 | 2DK・8戸 | 2LDK・8戸 | |
建築費 | 8,000万円 | 1億円 | 1億5,000万円 |
家賃/月額 | 7万9,000円 | 11万4,000円 | 15万円 |
家賃収入/年(空室なし) | 758万4,000円 | 1,094万4,000円 | 1,440万円 |
借入金返済 | 455万400円 | 656万6,400円 | 864万円 |
諸経費 | 113万7,600円 | 164万1,600円 | 216万円 |
支出/年 (借入金返済+諸経費) | 568万8,000円 | 820万8,000円 | 1,080万円 |
キャッシュフロー (家賃収入-支出) | 189万6,000円 | 273万6,000円 | 360万円 |
アパート経営4つのメリット
アパート経営の収支内容や、キャッシュフロー例を踏まえ、アパート経営の4つのメリットを見ていきましょう。
· 長期的な安定収入を得られる
· 相続税対策ができる
· 家族に資産を残せる
· 固定資産税や都市計画税の減額措置がある
ここからは、アパート経営の4つのメリット、それぞれについて詳しく解説します。
長期的な安定収入を得られる
アパート経営が安定すれば、オーナー様は、長期的な一定収入を得られます。オーナー様が若いうちにアパート経営を始めれば、老後資金を準備することも可能です。融資の返済はいずれ終了するため、アパートを長期に経営すればするほど、儲けを期待できるでしょう。
相続税対策ができる
オーナー様に相続が発生した際、相続人は現金よりも不動産を相続したほうが、相続税の負担が減ります。
アパートなどの賃貸物件における、相続税評価額の計算方法を見てみましょう。アパートの相続税評価額を計算する際は、相続税評価額を用いることが一般的ですが、ほぼ同値の固定資産税評価額を使用することも可能です。
以下は、アパートにオーナー様の自宅を併設せず、賃貸割合100%とした場合の計算式です。
· 固定資産税評価額-固定資産税評価額×借家権割合(30%)×賃貸割合(100%)
固定資産税評価額は時価の7割程度になるため、現金を相続するよりも相続税評価額を抑えられます。
なお、この方法は、あくまでも目安を算出するための手段としてご利用ください。
自宅がある土地や更地など、自分で所有し、他人が利用する権利のない土地のことを「自用地」といい、自用地の相続税評価額の計算方法は以下のとおりです。
· 正面路線価×地積×各種補正率等
オーナー様の土地にアパートなどの賃貸物件がある場合は「貸家建付地」となり、土地の相続税評価額の計算方法は、以下のようになります。
· 自用地評価額-自用地評価額×借地権割合×借家権割合(30%)×賃貸割合
路線価は時価の8割程度になるため、貸家建付地の場合は、自用地よりも相続税評価額が低くなります。
家族に資産を残せる
オーナー様の相続発生により、ご家族はアパート経営による定期的な家賃収入を得られます。ご家族は必要に応じて、アパートを売却することもできます。
固定資産税や都市計画税の減額措置がある
住宅やアパートなど、人が住むための敷地として利用されている土地は、固定資産税や都市計画税の減額措置があります。
小規模住宅用地 (1戸につき敷地200平方メートル以下の部分) | 一般住宅用地 (1戸につき敷地200平方メートルを超える部分) | |
固定資産税 | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
都市計画税 | 評価額×1/3 | 評価額×2/3 |
アパート経営3つのデメリット
アパート経営では、デメリットを把握しておくことも重要です。アパート経営におけるおもなデメリットは、以下の3つです。
· リスクがある
· マンションよりも法定耐用年数が短い
· 初期費用がかかる
ここからは、アパート経営の3つのデメリット、それぞれについて解説します。
リスクがある
アパート経営のおもなリスクは、以下の3つです。
· 空室リスク:空室が増えた場合、家賃収入が減ったり途絶えたりする
· 家賃下落リスク:アパートの老朽化や周辺エリアの需要低下、空室リスクを避けるためなどの理由で家賃を下げると収入が減る
· 災害リスク:水害、地震、火災などの発生によりアパートに被害が出た際に修繕が必要になり、場合によってはアパートの資産価値が下がる
アパート経営は、リスク回避を常に意識しながら行なう必要があります。
マンションよりも法定耐用年数が短い
一般的に、アパートは軽量鉄骨造(S造)または木造(W造)で、マンションは鉄筋コンクリート造(RC造)などです。
法定耐用年数とは、建築物などの資産を「減価償却費」として経費に充てられる期間を指します。建築物の構造による、法定耐用年数は次のとおりです。
· 鉄筋コンクリート造(RC造):47年
· 重量鉄骨造(S造):34年
· 軽量鉄骨造(S造・厚さ3mm超え4mm以下):27年
· 軽量鉄骨造(S造・厚さ3mm以下):19年
· 木造(W造):22年
建築物の取得費は、法定耐用年数の全期間にわたり減価償却(分割して必要経費として計上)できますが、アパートは、マンションよりも法定耐用年数が短いため、減価償却できる期間が短くなります。
初期費用がかかる
アパート経営は、建築物の建設が必要なため、建築物を必要としない駐車場経営などよりも初期費用の負担が大きくなります。さらに、建築費以外にも、不動産取得税・印紙税・登記費用・各種保険料などの諸経費も必要です。
アパート経営で儲かるための4つのポイント
アパート経営のメリットとデメリットを踏まえ、アパート経営で儲かるための4つのポイントを見ていきましょう。
· 賃貸需要のある土地で経営する
· ターゲット層に見合う設計にする
· 自分に合った管理方式を選択する
· 実績が豊富にある会社に依頼する
ここからは、アパート経営で儲かる4つのポイントを、それぞれ詳しく解説します。
賃貸需要のある土地で経営する
賃貸需要の低い土地でアパート経営を始めても、入居者の獲得は難しいでしょう。賃貸需要の高い土地の条件には、以下のようなものが挙げられます。
· 電車、バス、地下鉄などが近くにあり交通機関が充実している
· スーパーマーケット、コンビニエンスストア、学校、病院などが近くにある
アパート経営では、入居者の生活の利便性の高さを考えることが重要です。
ターゲット層に見合う設計にする
アパート経営を行なう際は、学生・単身者・ファミリーなど、入居者のターゲット層を想定することが大切です。
ターゲット層をイメージした敷地面積・部屋数・設備導入などで、高い入居率を狙いましょう。
自分に合った管理方式を選択する
アパート経営のおもな管理方式には、管理委託と一括借上げ(サブリース)があります。
管理委託とは、アパートの点検やメンテナンスなどの管理を、管理会社に委託する方式です。
一方、一括借上げ(サブリース)は、管理会社がオーナー様からアパートを借上げ、入居者に転貸する方式を指します。
一括借上げ(サブリース)では、オーナー様は入居者数に関わらず、毎月定額の家賃保証を受けることが可能です。
無理のないアパート経営を行なうためにも、自分に合う管理方式を選択しましょう。
実績が豊富にある会社に依頼する
アパート経営の計画を確実なものにするには、自分で安易に考えず、アパート経営の実績が豊富にある会社に依頼しましょう。
実績が豊富にある会社であれば、地域のニーズに合った経営方法や建築事例、税金対策、融資の事例などのノウハウも多いため、困難な問題に対応できる可能性も高くなります。
まとめ
アパート経営を始める際は、賃貸需要の把握やターゲット層の決定、収支のシミュレーションを踏まえた計画の立案などが重要です。
また、アパート経営を成功させるためには、土地活用の経験が豊富にある会社への相談も欠かせないでしょう。
土地活用一筋52年の生和コーポレーションは、アパート経営の事業計画から管理業務まで、オーナー様のトータルサポートを行なっています。
土地活用でアパート経営を考えているオーナー様は、生和コーポレーションへお気軽にご相談ください。