「アパート経営は儲からない」といわれることがあります。たしかに十分検討しないまま始めると、失敗してしまうリスクが高くなります。建物を新しく建てるにしても中古物件を購入するにしても多額の初期投資が必要なため、アパート経営で儲けるには準備や収支計画が重要です。
この記事では、アパート経営が失敗する原因を解説し、アパート経営で儲かる仕組みやポイントを紹介します。
この記事の目次
アパート経営が儲からない?失敗する原因とは
アパート経営が失敗する原因には、以下の4つが挙げられます。
・ 経営の目的がはっきりしていない
・ 管理会社に丸投げしている
・ メンテナンス・修繕が十分に実施されていない
・ 経営に向いていない土地にマンション・アパートを建てている
ここでは、安定的な賃貸経営のために、アパート経営が失敗する原因4つをそれぞれ解説します。
経営の目的がはっきりしていない
アパート経営を始める目的は人によって違います。まず、その目的がはっきりしていないと失敗、もしくは儲からない可能性が高くなります。
税金対策として始めるのか、家賃収入を長期的に得たいのかによって戦略は異なるため、目的に合った事業計画を立てることが大切です。
管理会社に丸投げしている
事業計画の策定を管理会社に丸投げするのも良くありません。管理会社から提示される複数の事業計画案を比較しつつ、オーナー様自身が事業計画に積極的に参加する必要があります。
メンテナンス・修繕が十分に実施されていない
アパート経営では、メンテナンスや修繕も非常に大切です。管理が十分でないと建物の価値は減り、魅力のない物件になってしまいます。その結果、入居者が退去してしまったり、次の入居者が決まらず空室リスクが高くなったりする可能性があります。
経営に向いていない土地にマンション・アパートを建てている
そもそも経営に向いていない土地に、マンション・アパートを建てた場合は、儲からない可能性があります。
一般的に、都市部は人口の移動が活発なため賃貸需要は高い傾向にありますが、地方でマンション・アパートの経営を行なうと、入居者がなかなか集まらないおそれがあるのです。
国土交通省の発表(※)によると、2018年(平成30年)における東京圏の転入超過数は13.6万人となっています。このような人口増減などに関するデータを活用することで、オーナー様が所有されている土地が、アパート経営に向いているかの確認が可能です。
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マンション・アパート経営で失敗する理由10選 | 成功のための対策も解説
アパート経営で儲かる仕組み
アパート経営で得られるおもな収入は入居者からの家賃で、修繕費や管理委託費、融資の返済、税金などの経費を差し引いたものが手残りとなります。
設備や間取りを工夫すれば家賃を高めに設定でき、長期的な経営を安定して行なえることがアパート経営の強みです。
例えば、子育て世帯の入居率アップを狙う場合は、保育園・キッズルームの併設や遮音設計、ホームセキュリティの設置などが有効でしょう。
安定的な経営を実現するためにも、高い入居率を維持して、なるべく空室を減らすことが重要です。
関連ページ:
マンション経営は儲かるって本当?仕組みや収益を得る方法を徹底解説
アパート経営で儲けるための収支計画
収支計画を立てるには、まずは希望する物件を取得するために必要な費用を計算します。土地があって新築する場合は建築費、中古の場合は物件の購入費がその大半を占めます。
次に、どれくらいの自己資金が準備できるかを考えます。そして、その地域での家賃相場を徹底的に調査し、現実的な家賃を管理会社に提案してもらうようにしましょう。
そのうえで、実際にその計画で経営が成り立つのかをさまざまな角度から分析し、長期的な視点で、家賃収入から経費を引いた額が、融資金の返済額よりも多くなるかどうかを見極めます。
収入例
マンション・アパート経営のおもな収入は家賃で、ほかにも下記のように共益費・管理費などがあります。
収入項目 | 内容 |
家賃 | 入居者から受け取る住宅の使用料 |
共益費・管理費 | 物件の共用スペースの管理用に受け取る費用 |
駐車場代 | 駐車場を併設している場合に受け取る費用 |
礼金 | 入居時に受け取る謝礼金 |
更新料 | 賃貸物件の更新時に受け取る費用 |
支出例
マンション・アパート経営のおもな支出は、下記のように融資金の毎月の返済費や、毎年かかる税金などがあります。
支出項目 | 内容 |
融資金の返済費 | 金融機関などへの融資金返済に必要な費用 |
固定資産税 | 土地や建物などの所有者が納める税金 |
都市計画税 | 市街化区域内に土地や建物を所有している場合に納める税金 |
管理費 | 管理を委託する管理会社へ支払う費用 |
修繕費 | 物件の原状回復や定期的な外壁の修繕などの費用 |
保険料 | 火災保険や地震保険に必要な費用 |
仲介手数料 | 入居者との仲介を行なった管理会社へ支払う手数料 |
また、建物の取得費用は、減価償却という方法で確定申告する必要があります。減価償却とは、マンション・アパートなどの固定資産の耐用年数に応じて、費用を複数年にわたり分割して計上する仕組みのことです。
このように、支出項目をどのように経費として計上するのかも把握しておかなければなりません。
これらのアパート経営におけるおもな収入や支出を確認したら、収入から支出を差し引いた手残りがどれくらいになるのかを年単位でまとめた、収支計画書を作成します。
収支計画は、中長期的な建物の劣化をふまえた家賃の下落や入居率の低下など、考えられるマイナス要因を含めて作成することが大切です。さらに、景気の変動や税制の変更によって経営の指標は変化していくため、経営当初に立てた収支計画に頼らず、市場の動向に合わせて収支計画を定期的に見直す必要があります。
アパート経営の投資判断
アパート経営の採算が合うかどうかを判断するのに、表面利回り(単純利回り)、実質利回り(純利回り)などの指標があり、それぞれ以下の式で求められます。
・表面利回り = 年間収入 ÷ 物件の取得費用 × 100
・実質利回り =(年間収入 − 諸経費)÷ 投資総額 × 100
表面利回りは諸経費を考慮しない分、実質利回りに比べて高い数値が出るため、不動産広告などでは表面利回りで書かれていることがほとんどです。物件を検討するときは、まず表面利回りを参考に絞り込み、諸経費を考慮する実質利回りで採算性を確認します。
ただし、利回りは採算性の判断目安にはなりますが、その利回りが必ず得られることを保証するものではありません。
ほかにも、投資判断の指標としては、自己資金に対する収益性を表す「キャッシュオンキャッシュリターン(CCR)」などがあります。さまざまな指標と収支計画を総合的に検討するとよいでしょう。
アパート経営は、しっかりとした市場調査や収支計画により、リスクを軽減できます。収支計画を立てる際は、現実的な計画に加えて最悪の場合を想定しておくと、どれくらいのリスクに耐えられるかの判断材料にもなります。
もし、自分が望んでいるほどの利益が出ないことがわかったら、無理に計画を進めるのではなく、いったん立ち止まって計画を見直すことも、アパート経営で失敗しない秘訣だといえるでしょう。
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アパート経営における10個のリスクと対応策
安定的な家賃収入や節税効果などのメリットが期待できるアパート経営ですが、次に挙げる10個のリスクがあることも認識しておかなければなりません。
- 災害リスク
- マンションに比べて高い空室リスク
- 入居者による家賃滞納リスク
- 経年による家賃下落リスク
- 入居者トラブル発生のリスク
- 建物老朽化リスク
- 立地によるリスク
- 将来の金利上昇リスク
- サブリース契約にまつわるリスク
- 融資返済リスク
各リスクの内容と対応策を解説します。
災害リスク
築年数の古い木造や鉄骨造のアパートの場合は、火災が発生すると、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションと比べて全焼する可能性が高くなります。そのため、火災保険の加入は忘れずに行いましょう。
ただ、新築物件や建築後日が浅い物件に関しては、厳しくなった防火基準を通っており、火が一気に回らない構造となっています。そのため、避難するまでに十分な時間は確保できるでしょう。
また、1981年以前に建築された物件は、現在の耐震基準とは違う古い耐震基準で造られています。そのため、万が一の事態に備えて避難方法・避難経路などは普段からしっかり準備しておきましょう。
1981年以降の改正された耐震基準で建てられた物件は、地震にも強いと言われています。特に、2×4工法を採用した建物は建物全体で揺れを受け止めて分散させるので、地震に強い構造となっています。
マンションに比べて高い空室リスク
アパートはマンションと比べると、一般的に空室率が高いと言われています。というのも、マンションは建材的に高層化が可能なので、駅前などの利便性の高い土地に建築される傾向があり、立地が理由で空室が発生しにくいのです。
一方でアパートは低層建築、ローコストで建てられるので、郊外でも採算が合います。そのため、駅近くの交通至便な物件と比較すると、立地の関係で空室が出やすくなります。
アパート経営を成功させるためには、事前に周辺をしっかりリサーチして、ターゲットのニーズをきちんと見極めることが重要になります。また、周辺状況に応じて、臨機応変に家賃を見直すことも大切です。
関連記事はこちら:「アパート経営のリスク」
入居者による家賃滞納リスク
家賃を滞納する入居者がいると、滞納期間中の家賃収入がなくなるだけでなく、新たな入居者の募集もできません。一般的には、3ヵ月以上の滞納がないと、貸主側から契約解除することはできないという前提があります。
賃貸借契約において適用される借地借家法は、借りる人の権利を保護する目的で定められているため、そもそも入居者に立ち退きをさせることは容易ではありません。
家賃滞納によるリスクを回避するには、入居時に十分な敷金を納めてもらうのが効果的です。併せて、入居者に家賃保証会社へ加入してもらえば、滞納時の逸失収入をカバーできます。
経年による家賃下落リスク
当然のことながら建物は経年劣化していくため、通常アパートの家賃は新築時が一番高く、築年数が経過するごとに下落していく傾向にあります。物件としての競争力も落ちていくので、近隣に新築物件が建築されると、従来の家賃では入居者の確保が難しくなることもあるでしょう。
経年による家賃下落は避けられないものと考え、将来的な家賃下落も考慮に入れた資金計画が求められます。また、家賃下落を抑えるには、長期的な管理やメンテナンスの計画も欠かせません。計画を立てるだけでなく、その計画を将来にわたって遂行できるだけの安定した経営基盤や資金力のある管理会社を選定することも重要です。
入居者トラブル発生のリスク
入居者のなかにマナーの悪い人がいると、入居者同士のトラブルに発展するリスクがあります。よくあるトラブル要因としては、入居者の発する騒音、ゴミの出し方、部屋に放置されたゴミによる悪臭、ペット不可物件におけるペット飼育などが挙げられます。
トラブルが原因で他の入居者が退去してしまったり、新たな入居者を確保しづらくなってしまったりするかもしれません。
入居者トラブルを防ぐためには、ルールの守れない人が入居しないよう、事前にチェックする必要があります。委託先の管理会社に厳正な入居者審査を行ってもらうことが有効な対策です。
建物老朽化リスク
築年数が長くなると家賃が下落するだけでなく、建物の躯体や住宅設備も老朽化します。物件の価値や魅力を維持するためには、修繕やリフォームを行わなければならず、大きなコストがかかるでしょう。築古物件では、突発的な修繕対応が発生するリスクも高まります。
資金計画を立てる際には、定期的な大規模修繕費用だけでなく、突発的な不具合への対応コストも予備として見込んでおきましょう。また、経年による空室リスクを低減するために、計画的なリフォームや居室内のフルリノベーションなども欠かせません。
立地によるリスク
のちほど詳しく解説しますが、アパート経営においてターゲット選定は大切な要素です。ただし、ターゲットによっては、立地に関するリスクが大きくなる可能性があることに注意しましょう。
たとえば、近隣にある大学の学生や会社に勤める社会人などをターゲットにしている場合、ターゲットの通う大学や工場が移転してしまった途端に、賃貸ニーズが急激に低下するおそれがあります。
ターゲットとして重視する施設がある場合には、その施設に関する情報を事前によくリサーチしておきましょう。施設の動向に経営を左右されるというリスクの高さを認識し、アパート経営以外の活用方法も並行して検討したいところです。
将来の金利上昇リスク
日銀のマイナス金利政策が終了し、十数年続いた超低金利時代は終わりを迎えました。そのため、将来的に金利が上昇すると予想されます。超低金利を前提として変動金利型で融資を受ける場合、将来、金利上昇により月々の返済額が増加し、想定していたよりもキャッシュフローが悪化してしまうリスクがあります。
金利に関する様々な予測は存在しますが、結局のところどうなるかは誰にもわかりません。金利上昇リスクを重視する人は、固定金利型での融資や、自己資金の比率引き上げを検討するのがおすすめです。
サブリース契約にまつわるリスク
アパート経営におけるサブリース契約とは、オーナー様とサブリース会社の間で一括借上げする賃貸借契約を締結し、毎月固定家賃をオーナー様へ支払う契約形態を指します。
サブリース契約は、ニーズが安定している都市部の物件であれば、オーナー様が管理の手間をかけることなく一定の収入を得られるため、おすすめの契約形態です。
一方で、駅から遠いなど、賃貸ニーズが不安定な立地の物件においてサブリースを勧められた場合、サブリース会社側から将来、減額請求されるケースもあるため注意が必要です。
こうした会社は、オーナー様自身が賃貸ニーズを見込めないと考えている立地の悪い物件について、「サブリースで家賃を保証する」といってアパート建築の契約を迫るケースがあります。立地が悪い場合、サブリースであるかどうかに限らず、アパート経営は厳しいと考えましょう。
サブリース契約を締結する際は、賃貸ニーズが十分に見込めるか検証するとともに、事前に契約内容をしっかりとチェックするよう心がけましょう。
融資返済リスク
これまで紹介してきたリスクによってキャッシュフローがマイナスになると、融資返済が滞ってしまうリスクがあります。キャッシュフローの良し悪しに関係なく、融資は毎月返済しなければなりません。
一時的に家賃収入が減少したり、必要経費が増大したりしたとしても返済に窮しないよう、余裕を持った資金計画を立てましょう。
アパート経営で儲けるための方法とポイント
アパート経営で儲けるための方法、ポイントには以下が挙げられます。
・ 市場調査を行なう
・ 付加価値のある物件を選ぶ
・ 小さめの間取りを選ぶ
・ 戸数を意識する
・ 時機を見て買い替える
・ 1階部分に対策を施す
・ 管理委託方式を選ぶ
・ 自己資金を用意しておく
・ 地域の変化を予測する
それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
市場調査を行なう
アパート経営を始めようと考えている地域で、どのような物件の需要があるのかを市場調査して判断する必要があります。
例えば、近くに大学があればワンルーム、近くに大企業や学校があればファミリー向けの物件の需要が大きいかもしれません。あるいは、高齢者が多ければバリアフリー化された物件が必要とされるでしょう。
付加価値のある物件を選ぶ
物件を建築および購入する際は、付加価値のある物件を建てたり、選んだりすることも大切です。例えば、音楽大学がある地域なら防音対策をすること、近くに女子大学があるならセキュリティを強化することがアピールポイントになります。
さらに、近年ではペットを飼う人が増えているため、ペット可の物件にすることで、ほかの物件との差別化ができます。ドッグランやペットの足洗い場、玄関にリードを引っかけるフックを付けるなど、物件の建築・購入に際して入居者の目線に立った設計をすることで、空室率を減らせるかもしれません。
いずれにしても物件の建築・購入にあたり、実際にアパート経営を始めようと考えている場所に行って、自分の目で物件や地域情報を確かめることは非常に重要です。もともと所有している土地や候補地を実際に歩いてみて、近隣に競合する物件がどれほどあるか、空室の具合、どのような物件が不足しているのかなどを確認しましょう。
小さめの間取りを選ぶ
物件の間取りを小さめに設計することで、儲けやすくなる可能性があります。一般的に、小さい間取りの部屋を多くしたほうが、面積あたりの家賃を高く設定できていたためです。しかし近年は都心部を中心に、同じ平米数であっても、2LDKなどのファミリータイプの部屋が小さい間取り2部屋分の家賃を上回るという逆転現象もあるため、一概にはいえません。
具体例として、60平方メートル分の面積における家賃収入例を2パターン紹介します。
・ 20平方メートルの1Kが1戸9万円の場合:3戸分なので家賃収入は27万円
・ 60平方メートルの3LDKが1戸20万円の場合:1戸分なので家賃収入は20万円
とはいえ、あまりに小さな間取りを選ぶと、将来的に陳腐化するおそれがあるので要注意です。1Kなど小さな間取りのマンション・アパートは供給量が多い傾向にある分、周辺の競合物件と差別化しづらくなる可能性もあります。
また、基本的に1Kなど小さな間取りは単身者向けとなるため、地域の賃貸ニーズも考慮したうえで、1戸あたりの適正な大きさを入居者が選べるように設計しましょう。
戸数を意識する
小規模な物件を扱う場合、可能であれば物件の戸数を10戸以上で設計しましょう。不動産の貸付規模を測る「5棟10室基準」を考慮して設計することで、節税効果を得られるためです。
マンション・アパートで10戸以上を賃貸として提供していれば、「事業的規模」と認められます。事業的規模として認められることで、青色申告で最高65万円の特別控除を受けられるうえ、家族へ給与を支払う際は青色事業専従者給与として全額経費で計上できます。
時機を見て買い替える
アパート経営では、税金対策を目的に別の賃貸物件へ買い替える選択肢もあります。その際、マンション・アパートを売却した際の譲渡所得にかかる税率が、所有期間によって以下のように変動する点に留意しておきましょう。
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
短期譲渡所得 | 不動産を譲渡した年の1月1日における所有期間が5年以下の場合 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 不動産を譲渡した年の1月1日における所有期間が5年超の場合 | 15% | 5% |
※2013年(平成25年)から2037年(令和19年)までは、基準所得税額に対して復興特別所得税2.1%も加わる
上表のとおり、譲渡所得にかかる所得税と住民税の税率は、5年を境として変化します。マンション・アパートを買い替える際は、自身が損をしない時機をしっかりと検討したうえで手続きを行ないましょう。
1階部分に対策を施す
マンション・アパートの立地条件などによっては、1階部分を居住用に貸し出すのではなく、店舗用のテナントスペースとして貸し出したほうがよいでしょう。
というのも、1階はセキュリティ面から敬遠されがちで、入居者が集まりづらく、居住用にするにはデメリットが大きいケースがあるためです。一般的に、居住用よりも事業用のほうが賃料を高く設定できるメリットもあります。ただし、テナントスペースとして貸し出すには集客が見込める立地でなければならないため、事業用の貸し出しに向けて対策できる建物は限られます。
具体的には、土地から繁華街や商店街までの距離や、大通り沿いであるかなどの立地条件も考慮したうえで、どのようなテナントが入居可能か検討する必要があります。誘致できるテナントの具体例としては、コンビニエンスストアや飲食店などです。
また、1階部分を居住用として貸し出す場合は入居率を上げるために、防犯・防音を含めた以下のような空室対策を施すのも手です。
・ カメラ付きインターフォンを設置する
・ ドアや窓を二重錠にする
・ 建物を底上げして地上との距離を作る
・ 浴室乾燥機を設置する
・ 専用庭を造る
上記のような要望がある場合は、なるべく早い段階で建築会社へ相談することで対応してもらいやすくなります。
管理委託方式を選ぶ
安定的な入居率を保つには、オーナー様自身で管理するのではなく、管理委託方式を選ぶことがポイントです。管理委託方式とは、賃貸物件の管理業務を管理会社に委託する経営方式で、入退去の手続きや清掃、入居者のトラブルなどに対応してもらえるメリットがあります。
また、管理会社がマンション・アパートを一括で借上げる、サブリース方式という別の方法も選べます。管理委託方式は、入居率に応じて家賃収入が変わるのに対し、サブリース方式は、入居率に関係なく固定の保証賃料を受け取れる点がメリットです。
管理委託方式・サブリース方式・オーナー様の自主管理の3パターンで、管理の手間と負担費用についての関係性を表すと、以下のようになります。
【管理の手間】
サブリース方式 < 管理委託方式 < 自主管理
【オーナー様の負担費用】
自主管理 < 管理委託方式 < サブリース方式
より安定性の高いアパート経営を行ないたいのであれば、専門家に任せられるサブリース方式がよいでしょう。
自主管理や管理委託方式を選ぶ場合と比べて、オーナー様の負担費用は多くかかる傾向にありますが、入居率を問わず保証賃料を受け取れるうえ、管理の手間を最小限に抑えられます。
関連ページ:
一括借上げ(サブリース)のメリット・デメリットは?管理委託方式との3つの比較ポイントも解説!
自己資金を用意しておく
不動産投資を始めるにあたり、全体費用に対してある程度の自己資金を用意しておくことが重要です。物件の取得費用以外の諸費用に対しては融資されない場合があるうえ、融資されたとしても金利が高くなる可能性もあるためです。
金融庁が金融機関に行なったアンケート調査(※)によると「物件の購入金額の一部を顧客の自己資金で賄わせているか」という質問に対する回答のうち、「必ず行なっている」と答えた銀行が15%、「おおむね2/3以上の案件で行なっている」と答えた銀行が63%という結果でした。
この調査結果からわかるとおり、一般的に自己資金を用意しておかなければならないケースが多いため、事前に用意しておけば融資の申請をスムーズに行なえます。
※参照:
金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果」
地域の変化を予測する
アパート経営では、地域の賃貸ニーズの動向を予測しておくことが大切です。特に、大手企業の工場や大学のキャンパスが地域にあることで、入居者を確保できている場合は注意しなければなりません。工場の移転や閉鎖、大学の移転などが起こると、賃貸ニーズが揺らぐ可能性があるためです。
近年は、キャンパスを郊外から都心へ移転する大学が増えている傾向です。地域の特需に依存せずとも安定的な経営を実現できるように、先を見据えて戦略を練ることで、経営基盤を強化できます。
アパート経営に強い管理会社の選び方
アパート経営に強い管理会社を選ぶ際は、以下5つのポイントに気を付けましょう。
・ 過去の実績が豊富であるか
・ 安定性の高い経営プランであるか
・ 管理体制が充実しているか
・ 集客力があるか
・ 担当者の対応が丁寧か
儲かる賃貸経営を実現するには、管理会社選びが重要です。特にサブリースに対応した管理会社であれば、マンション・アパート1棟を一括借上げして管理してくれるため、入居率に左右されず安定した収入を得られるでしょう。
ここでは、マンション・アパート経営に強い管理会社の選び方について詳しく紹介します。
過去の実績が豊富であるか
管理会社が手がけた過去の実績件数を確認しておくことで、自身のケースにおいても安定的な経営を実現しやすい管理会社かどうかがわかります。
ホームページ上に事例集を掲載している管理会社であれば、マンション・アパートの外観写真や敷地面積などを確認でき、オーナー様が所有されている土地での賃貸経営を具体的にイメージしやすくなるためおすすめです。
安定性の高い経営プランであるか
管理会社を選ぶ際は、管理会社が提示する経営プランが、現実的で十分な手残りの見込める内容であるかを確認することが重要です。特に、経営プランの利回りを確認する際は、経営を継続するうえで必要な諸経費が含まれていることがポイントとなります。
表面利回りのみを確認するのではなく、諸経費が考慮された実質利回りも含めて確認しなければ、経営プランの安定性が高いか否かは判断できません。
管理体制が充実しているか
建物内のトラブルに対応できる十分な管理体制が整っているかどうかも、チェックしておきたいポイントです。入居者のライフスタイルに柔軟に対応できるように、24時間365日のサポート体制が敷かれているのがベストです。
夜間に給湯器などの設備が故障したような場合も、管理体制が万全な管理会社なら迅速に対応できるため、高い顧客満足度につながる可能性が高まります。また、サブリースに対応している管理会社であれば、入居者募集や集金、トラブル対応、建物の点検・清掃などの管理をまとめて任せられます。
集客力があるか
集客力のある管理会社なら、入居者を募集した際に短期間で応募してもらえる可能性が高まります。空室期間を短くできるため、早い段階から家賃収入を確保しやすくなるでしょう。
目安として、入居率95%以上の実績を持つ管理会社であれば、集客力があるといえます。
担当者の対応が丁寧か
賃貸経営は、管理会社にサポートしてもらいながら長期にわたって取り組む事業です。初期の問い合わせの段階で、誠実に対応してくれる担当者かどうかを確認しておくことで、実際の契約後に長期でも安心して付き合えるでしょう。
担当者のチェックポイントとしては、「疑問点や不明点にきちんと答えてくれるか」「連絡や報告をなるべく早めに行なってくれるか」などが重要です。
関連リンク:不動産管理会社とは?賃貸管理と建物管理の違いや役割について解説まとめ
アパート経営で儲けるには、事前の市場調査をしっかり行なったり、付加価値のある物件を選択したりする必要があります。また、オーナー様のパートナーとして信頼できる管理会社を選ぶには、過去の豊富な実績や管理体制などをチェックすることが大切です。
生和コーポレーションは、累計着工戸数11万4,607戸、入居率99%以上(※)の実績があるうえ、専門スタッフによる24時間365日体制のサポートにも対応しています。
※2023年(令和5年)3月末時点
長期にわたって付き合える賃貸経営のパートナーをお探しの方は、ぜひ生和コーポレーションまでお問い合わせください。
よくあるご質問
- 土地活用・不動産経営は初心者なのですが、どのように相談をおこなえばよいでしょうか?
- 弊社HPの電話もしくはお問い合わせフォーム・資料請求フォームから、お気軽にお問い合わせください。ご要望に応じて、オンライン面談・電話・メール等での対応が可能です。
- 生和コーポレーションの土地活用・不動産経営には、どのような特徴があるのですか?
- 4大都市圏での営業に特化し、土地活用一筋50年を超えております。マンション・アパートの累計着工戸数は100,000戸を超え、都市部に強い生和だからこそ、サブリース・一括借上げの入居率98%台を実現しています。
- お問い合わせ後の流れはどのようになっているのですか?
- お問い合わせ頂いた電話番号もしくはメールアドレスに担当がご連絡致します。
お客様のご相談内容に応じて、経験・知識が豊富な担当が対応致します。
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