アパート経営・マンション経営における年末調整の必要性と確定申告の方法
サラリーマンなど給料をもらっている人は、「年末調整」という言葉はご存知だと思います。給与所得者は、毎月の給料から所得税が天引きされています。しかし、その額はおおまかに算定したもので、実際に支払うべき金額とズレが生じます。それを調整するのが年末調整です。年末調整では、配偶者控除や社会保険料控除、生命保険料控除などが受けられ、給与総額から各種控除額を引いたものに一定の税率を掛けることで金額が確定します。
では、アパート経営・マンション経営をしている人は、年末調整をする必要があるのでしょうか。
アパート経営・マンション経営でも年末調整は必要なの?
サラリーマンが勤務先から支払われる給与に対しては、会社側で年末調整を行います。年末調整は、給与を支払う会社側が行う義務であり、個々の給与所得者に対して適正な納税を代行する仕組みです。具体的には会社から渡される該当年度の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の2つの書類と、生命保険料控除の証明書などを提出することで、勤務している会社側が行ってくれます。
しかしながら、不動産所得については会社からの給与所得とは別に、自分で確定申告を行う必要があります。不動産投資で生計を立てている人だけでなく、サラリーマンでアパート経営・マンション経営を副収入としている人は、年末調整を行っていても、家賃収入を所得として申告しなければなりません。ただし、給与所得以外の所得が20万円を越えなければ確定申告を省略することもできますが、申告をすることで支払う税金を少なくできたり、還付金を受け取ったりできるかもしれません。
アパート経営・マンション経営の確定申告はどのように行うの?
アパート経営・マンション経営における所得税の申告は、他の確定申告と同じく原則毎年2月16日から3月15日までに行う必要があります。確定申告は税務署で受付していますが、確定申告の時期はたいてい外部に申告会場が受けられるので、税務署以外でも申告することができます。また、郵送での受付やインターネットを使ったe-Taxで申告することが可能です。
不動産所得がある場合は、確定申告書Bを用いて申請します。青色申告者は青色申告決算書、白色申告者は収支内訳書の不動産所得者用の書類も必要です。また、添付資料としてレントロール(賃借人の氏名や月額家賃など契約条件が一覧になっている書類)、必要経費が分かる領収書などが必要です。それに加えてサラリーマンなど給与所得がある人は、会社から発行される源泉徴収票を添付する必要もあります。
所得税の税率は、課税される所得金額によって違ってきますが、平成27年分以降では5%から45%の7段階の税率が採用されています。
アパート経営・マンション経営の確定申告で注意すべきことは?
サラリーマンは会社が年末調整をしてくれるので、これまで自分で確定申告に行く機会はなかったかもしれません。しかし、アパート経営・マンション経営をすると原則的に確定申告を自分でしなければなりません。申告義務があるのに申告をしなかった場合には、無申告加算税が課されてしまいます。これは納付すべき税額が50万円までは15%、50万円以上だと20%の税率が適用されます。また期限後に申告した場合は、期限を過ぎてから納付するまでの日数に応じて延滞税が課されます。もし申告漏れに気づいたら、速やかな対応を心がけ、早めに申告処理をするようにしましょう。また、前述の通り、確定申告には白色申告と青色申告の2通りあるので、どちらが自分のアパート経営・マンション経営の事業規模に合っているか、メリット・デメリットを比較して実行しましょう。
アパート経営・マンション経営を始めると基本的に毎年確定申告を行うことになります。はじめは難しいかもしれませんが、毎年行っていると要領がつかめてきます。平成28年度分からは確定申告書にマイナンバーの記載と本人確認書類の添付も必要になりました。期限ぎりぎりに提出して書類に不備が見つかると、期限を過ぎてしまうかもしれませんので、なるべく早めに行うようにしましょう。
確定申告で正しく経費を計上することで所得額を減らすことができ、節税効果も期待できます。日ごろから領収書などの確定申告に必要な書類を管理して、適正な確定申告を行いましょう。