固定資産税は、土地・家屋・有形償却資産に課税される地方税です。マンション経営をはじめると、土地と家屋(マンション)を所有することになるため、必ず固定資産税が課税されます。
そこで今回は、マンション経営にかかる固定資産税について解説することにします。
- 固定資産税の元となる固定資産税評価額は、3年に一度評価替えし、自治体の市町村長が決定する。
- 固定資産税には特例や調整措置が存在し、マンションを経営することで節税が可能となる
- 敷地面積や築年数によっても軽減措置が異なるため、不明な点があれば税理社などの専門家に相談するべきである
この記事の目次
固定資産税とは?
固定資産税は、土地や家屋、償却資産を所有する人が支払う税金で、毎年1月1日現在の所有者に課されます。
この税は、固定資産の価格(適正な時価)を基準に算定され、市町村に納めるものです。標準税率は1.4%ですが、一定額(免税点)以下の資産には課税されません(土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円)。
1950年に創設されたこの税は、不動産を持っている人が、その地域の行政サービスを受けることを考慮して負担する仕組みになっており、市町村の財源として重要な役割を果たしています。
納税は通常、自治体から送付される納税通知書に基づき、年4回(例えば東京都は5月、7月、9月、11月)に分けて行います。
固定資産を所有する限り毎年発生する税負担であるため、適正な評価額や納期を確認しながら計画的に納税することが大切です。マンション経営にかかる固定資産税の計算方法
土地・家屋(マンション)の固定資産税を算出するには、以下の計算式を使います。
固定資産税額 = 固定資産税評価額(課税標準) × 1.4%(標準税率)
固定資産税評価額は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」によって、自治体の市町村長が決定します。この評価額は、3年に一度評価替えされます。
土地の評価額の決まり方
固定資産税の評価額は、公示価格(国土交通省が毎年1月1日時点で決定)を基準とし、それらの約70%を目安として算出されます。評価には、地域の特性、公共施設への距離、街路の状況、建物の疎密度、土地の形状、利用状況、法的規制などが影響を与えます。
これらを総合的に考慮し、市町村(東京23区は東京都)が評価を行います。固定資産税評価額は原則として3年ごとに見直されます。ただし、地価の変動が大きい場合などの理由により、評価額が適当でないと判断される場合は修正されることもあります。
評価額の算出は複雑であり、個人で正確に算出するのは困難です。正確な評価額を知るには、固定資産税の課税明細書を確認するほか、固定資産課税台帳の閲覧や固定資産評価証明書の取得が必要です。
建物の評価額の決まり方
建物の固定資産税評価額は、「固定資産評価基準」に基づき各自治体が決定し、「再建築価格方式」により算出されます。これは、同じ建物を新築する場合の建築費(再建築費)を基準とする方法です。
評価は、外壁や屋根などの基礎部分、トイレやキッチンなどの内部設備ごとに評点数を算出し、経年による減価や物価水準の変動などを補正したうえで計算されます。
評価額は3年ごとに見直され、原則として前年度の価額を上回ることはありません(増改築等がある場合を除く)。一般的に、建物の評価額は再建築価格の約70%、工事請負契約の50〜70%、建築費の6〜7割程度とされていますが、実際の評価額は地域や建物の状況によって異なります。
こちらについても、正確な額を確認するには、固定資産税の課税明細書を確認するか、自治体の窓口で固定資産課税台帳を閲覧するのがよいでしょう。
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固定資産税の計算方法
固定資産税の計算方法について、具体的な条件をもとに、実際の計算の流れ・方法を確認していきましょう。
・条件
物件:鉄筋コンクリート造(RC造)マンション
土地評価額:3億円
建物評価額:2億円
総戸数6戸の合計床面積:600平方メートル
※1戸あたり100平方メートル
敷地面積:500平方メートル
・土地の固定資産税
200平方メートル×6戸=1,200平方メートルまでは課税標準×1/6の軽減措置が適用されるため、土地の固定資産税は
3億円×1.4%×1/6=70万円
となります。
・建物の固定資産税
各戸120平方メートルまで、新築後3年間は課税標準×1/2の軽減措置が適用されるため、建物の固定資産税は、2億円×1.4%×1/2=140万円となります。
土地と建物の固定資産税の合計額は、210万円となり、軽減措置を使わない場合は、560万円なので350万円もの差が出ます。
固定資産税を払うのはいつ?払わないとどうなる?
ここでは、固定資産税を払う時期をはじめ、万が一、固定資産税を払わなかった場合には、どうなるのか解説します。
固定資産税を払う時期
固定資産税は、毎年1月1日の時点において、その土地建物を所有している人に対して、4月1日から3月31日までの1年分が請求されます。
1月1日時点における土地建物(マンション)の所有者に対して、各地方自治体より4月から6月頃に固定資産税の納付通知書が送られる仕組みです。
支払い期日は各地方自治体によっても異なりますが、支払い方法については年4回の分納または一括払いを選べます。
固定資産税を払わないと延滞金が発生する場合もある
固定資産税は確定申告のように自分から申告をして支払うものではなく、上記のとおり各地方自治体から納付書が届き、納付書に記載の支払期日までに支払いを済ませることとなります。
固定資産税の支払いがあまりにも遅いと、自治体から電話や封書による督促通知が届きます。また、期日以降に支払う際には、追加で延滞金が発生することもあります。
令和2年の延滞金の税率は、納付期限の翌日から1ヶ月を経過するまでは「年2.6%」で1カ月経過した日以後は「年8.9%」となっています。
さらには、延滞金の発生だけでなく、建物やと土地、給与や預金も差し押えされる可能性があります。追加の支払いだけでなく、自分の生活に影響が出る可能性もあるため、延滞金が発生してしまった場合は、速やかに支払いましょう。
固定資産税の住宅用地特例や軽減設置について
固定資産税を軽減させる住宅用地の特例や軽減措置についてもご紹介します。
住宅用地特例
固定資産税には、いくつかの特例や調整措置が用意されています。まず、土地(住宅用地)については、以下の軽減措置があります。
・200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)→ 課税標準の6分の1に軽減
・200平方メートル超の部分(一般住宅用地)→ 課税標準の3分の1に軽減
となります。更地で土地を持つよりも、マンションを建てたほうの固定資産税が安くなるのはこの調整措置があるためです。
※200平方メートルという規定は、住宅一戸について認められている面積です。したがってマンションの場合は、200平方メートル×住宅数の面積が小規模住宅用地として認められます。
また、住宅用地特例が適用できるおもな住宅には、以下のような種類があります。
・自用地:自身が所有する土地であれば、自宅でも賃貸でも住宅であれば適用できます。
・併用住宅:「自宅兼アパート」のように、自宅と賃貸物件を併用している賃貸併用住宅や、賃貸マンションとコンビニエンスストアを併用している住宅なども適用対象です。
・空き家:手入れが行なわれていない空き家などは、空き家特別措置法の影響を受ける場合もありますが、条件によっては空き家でも軽減対象となります。
さらに新築でマンションを建てた場合は、以下の軽減措置が適用されます。
・新築された建物は、120平方メートルまでの部分について固定資産税が2分の1になります。
一般住宅 → 新築後3年間
3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅 → 新築後5年間
上記の対象となるのは、居住用部分の床面積が一戸につき40平方メートル以上280平方メートル以下の住宅です。
必ずすべての新築された建物に適用されるわけではないので注意してください。
適用可否の判定は住戸ごとになります。
また、地域によっては都市計画税も軽減対象となる場合があります。都市計画税とは、「市街化区域」と呼ばれる地域にある土地建物に対して、上下水道の整備や区画整理といった費用にあてる目的で課せられる税金のことです。
固定資産税は地域を問わず、すべての土地建物が対象となりますが、都市計画税は市街化区域内の土地建物が対象となります。
新築でマンションを建てたときの軽減措置
固定資産税などの税金には、細かい規定があったり、軽減措置を受けるための手続きが面倒だったりしますが、内容がよくわからない場合は、最寄りの税務署や取引のある不動産管理会社、税理士など専門家に確認してください。
わからないことがあったら管理会社や税理士へ相談する
一定の条件に該当する土地建物には、固定資産税の軽減措置が適用できる場合があり、特に新築された建物は標準税額の軽減措置が受けられます。
このほかにも、都市計画税の軽減や、空き家でも軽減対象となる場合がありますので、固定資産税で不明な点があれば、管理会社や税理士へ相談してみるとよいでしょう。
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よくあるご質問
- 土地活用・不動産経営は初心者なのですが、どのように相談をおこなえばよいでしょうか?
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