マンション建築に必要な手続き・届出と手順について
マンション建築を思い立って、土地と資金の目処がついたとしても、いきなり建築できるわけではありません。一般住宅と同様にマンション建設には建築前や建築後だけでなく、建築の途中にも適切な検査を受けるなど様々な手続が必要になります。ここでは、マンションが完成までに必要となるさまざまな手続きの中から、マンション建築の確認申請と建物の登記に必要となる手続きを中心に流れを解説します。
マンション建築に必要な手続きや届出とは
マンションを建築する場合にはいろいろな手続をしなければなりません。マンションは建築前、建築中、建築後に検査を行うことで建物の安全性が保たれます。具体的には、マンションの建築前には建てようとするマンションが法令や条例の規定に合致しているか審査を受ける必要があります。これらの検査は建築基準法に基づいて、特定行政庁の建築主事あるいは指定確認検査機関が行います。完成後の登記は不動産登記法に基づき、土地又は建物の物理的な状況を正確に把握するための調査などは土地家屋調査士、登記は土地家屋調査士か司法書士が行います。たいていの手続は、委任状を書いて業者に任せることになりますが、オーナー様としてどの手続きでどのようなことが行われているのかを知っておくことは重要です。
マンション建築の確認申請について
1.建築前に必要となる手続きや届出
マンションに限らず何か建物を建築する場合は、必ず特定行政庁もしくは国土交通大臣又は都道府県知事の指定を受けた民間の機関にて建築確認を行わなければなりません。その審査をしてもらうための手続が建築確認申請です。
工事を着工する前に、建物の設計図や構造計算書、建築工事届などを管轄する特定行政庁もしくは民間の指定確認検査機関へ提出し、建物の構造や設備、用途などが建築基準法の規定に適合しているかどうかについて提出先の審査を受けます。その後、審査に通ると確認済証が交付されます。建築確認は従来、建築主事という建築基準適合判定資格を持つ公務員だけが行っていましたが、現在は民間の指定確認検査機関も行うことができるようになっています。申請は建物のオーナー様が行うことになっていますが、多くの図面や書類を揃える必要もあるため、たいていは設計事務所や建設業者などに委託して手続きを行います。
2.建築中に必要となる手続きや届出
マンション建築では実際に工事が始まっても、建物の安全性を担保するために中間検査を受けなければなれません。中間検査は全国一律で建築物の階数が3階以上である共同住宅が対象となります。建築基準法により指定された中間検査が必要な工事の工程(特定工程)を行う前に申請をする必要があり、中間検査合格証の交付を受けないと、取り掛かれない工事の工程(特定工程後の工事)が取り決めされています。
中間検査は、実際に建築中の建物を見て目視や寸法測定などを行い、建築基準関係規定に適合しているかが審査されます。中間検査申請もオーナー様が行うことになっていますが、他の申請手続きと同様に設計事務所や建設業者などに委託して行うのが一般的です。
3.建築後に必要となる手続や届出
マンションが完成すると完了検査を受ける必要があります。工事が完了してから4日以内に完了検査申請をし、申請を受理されてから7日以内に、その建物や敷地が建築基準関係規定に適合しているか、現場での検査が行われ判断されます。この検査に通ると検査済証が交付されます。
マンション完成後の建物の登記
マンションに限らず建物を新築した場合には、不動産登記法に基づき建物表題登記(建物表示登記)も行わなければなりません。表題登記がなされると、建物の所在、地番、種類、構造、面積などが記載され、確かにそこに建物が建っているということを行政が把握できるようになります。これに基づいて固定資産税や都市計画税が課されるので、表題登記は義務として行わなければなりません。賃貸マンションでは、建物の登記は1通の登記簿に記載しますが、分譲マンションなどでは、区分建物表題登記を行うことで、それぞれの部屋ごとに登記簿が作られます。表題登記の申請には、建築時の検査済証なども必要になります。これらの手続も多くの書類の準備が必要になりますので、司法書士に委託して行うのが一般的です。
マンションを建築する際に、建築前、建築中、建築後の行程ごとに必要となる検査に伴う確認申請や建物の登記など手続きや届出があることはお分かりいただけたと思います。専門的な書類や図面が必要となるため、実際の手続きは設計事務所や建設業者などの専門家に委託するのが一般的です。