マンション建築・経営で失敗しないために知っておきたいこと
事業を転換して収入を安定させるためや、将来の相続税対策のためにマンション経営を始めようと考えたとき、どうしても頭をよぎるのは失敗したときのことです。マンション経営を始めるということは、多くの場合、借り入れをして新たにマンションを建築することになります。当然、成功する可能性がある一方で、失敗するリスクを抱えることにもなります。
そこで今回は、マンション建築・経営で失敗しないために知っておくべき、建築前の分析調査や支出と家賃収入のバランス、確定申告の重要性などのポイントを解説します。
建築前の分析調査
マンション経営を検討する際には、建築する場所が賃貸経営に適しているか、建築する物件のタイプ(ワンルームとかファミリー向けとか)が、マンションを探している人のニーズにあっているのかを知ることが重要です。そのためにもニーズを調査した上で、ニーズに合った建物を建てる(計画する)必要があります。
また、相続税等の節税目的でマンションの建築を検討する場合は、その土地の資産価値や建築しようとしているマンションのコストなどを勘案して、相続税等の対策に効果があるのか、分析する必要があります。まずは、マンションを建てる目的を明確にした上で専門家に相談することおすすめします。
支出と家賃収入のバランス
基本的にマンション経営は、毎月出費する共用部分の光熱費や外部業者に支払う管理費や借り入れの返済よりも、家賃収入が上回れば成り立ちます。そのためにも精度の高い収支計画を策定し、ローン返済の原資となる家賃収入のバランスをしっかり把握することが重要です。
また、金融機関からマンション建築資金を借り入れて賃貸マンション経営するということは、この他にも空室リスクや建物管理、金利の変化などさまざまなリスクを想定して収支のシミュレーションを柔軟に行っていく必要があります。
なお、必要経費として認められている支出分の還付を適正に受けるためにも、確定申告が必要になります。
適正な経理と確定申告の重要性
マンション経営にはさまざまな支出があります。経費と認められる支出分の還付を受けるために、確定申告を適切に行う必要があります。そもそも、確定申告は家賃収入が年間20万円以上ある人は必ず行う義務があります。確定申告には青色申告と白色申告と2種類ありますが、事業規模と経営実態に応じて選択することになります。青色申告はメリットも多い分、事前に青色申告事業者として登録した上で、申告に必要なしっかりと記帳された帳簿(複式簿記による帳簿)が必要となります。白色申告は青色申告と比較すると、事前登録も不要で簡易的な帳簿(単式簿記による帳簿)を添えて申請となります。反面、優遇措置のメリットの恩恵が得られない点が大きく異なります。
適正な経理処理は、マンション経営を行う上で非常に重要な要素です。そのためにも、経理の仕組み(帳簿の記帳・支出と収入の考え方・収支計画の策定・納税・確定申告など)を理解することで、健全な賃貸経営が可能になります。仕組みを覚えることは必要なことですが、経理するマンションの規模や経理処理に十分に時間が取れないなどの可能性もあります。事業規模や確定申告の方法など総合的に判断して、経理の実務は専門の税理士に経理処理を代行してもらうことを検討してみるのもよいかもしれません。
賃貸マンションを建築・経営する際に失敗しないためにも、知っておくべきことは数多くあります。なかでも支出と家賃収入のバランスや適切な経理と確定申告の重要性を知ることは、安定した賃貸事業を行う上で必要な知識です。賃貸マンションを建築する段階から、将来的に考えられる賃貸経営のリスクを回避するためにも、収支バランスの仕組みを理解しましょう。