賃貸併用住宅は儲かるのか?利回りと年収の関係性
賃貸併用住宅とは、自宅スペースと賃貸スペースを合わせた住宅のことです。たいていローンを組んで土地の取得や建物の建築をすることになりますが、家賃収入を得ながらマイホームも手に入るということに魅力を感じるかもしれません。では、賃貸併用住宅は儲かるのでしょうか。一棟丸々所有する賃貸アパート経営と比較して利回りや年収にどのような違いが生じてくるのでしょうか。
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賃貸併用住宅で利用できるローンと節税効果
一棟丸々所有する賃貸アパートでは全スペースを賃貸にできますが、賃貸併用住宅では、自宅部分があるので賃貸できる戸数が少なくなり利回りは低くなる傾向にあります。家賃収入を重視する場合、一棟丸々所有する賃貸アパートの方が有利であると言えます。一方、賃貸併用住宅のメリットは、条件によっては比較的低い金利の住宅ローンが使えることです。賃貸のみのアパートを建てるためには、事業用途の金利の高いアパートローンを利用しますが、賃貸併用住宅だと自宅部分の面積が総面積の51%を超えていると、金利の低い住宅ローンを利用できる可能性があります。また、自宅スペースのみの建物を建てた場合は、基本的には所有者の給与から返済しますが、賃貸併用住宅なら賃貸スペースの家賃収入からもローンの返済にあてることができるので、ローンの負担が軽減されます。
さらに、賃貸併用住宅は、一般の住宅と比べ節税対策にも効果があります。不動産を所得すると課税される不動産所得税は、自宅のみの場合、築年数に応じて建物の固定資産税評価額から100万円~1200万円控除されるのに対し、新築賃貸併用住宅では1200万円×戸数分(自宅部分も1戸として数える)の控除を受けることができます。つまり、賃貸併用住宅を新築すると各戸の床面積が50平米以上240平米以下だった場合、一戸あたり1200万円控除されるため、不動産所得税が無税になることもあるようです。
このように、マイホームも手に入れたい人にとって節税効果の高い賃貸併用住宅は良い選択肢になるかもしれません。
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賃貸併用住宅の利回りはアパートの半分?
一棟賃貸アパートを建てた場合と、賃貸併用住宅の場合の表面利回りを説明します。
仮に、既に取得済の土地に総数6戸の賃貸アパートを5000万円で建て、一戸あたりの月々の家賃を6万円とすると、年間収入は432万円(6万円×6戸×12カ月)となり、表面利回りは約8.64%(432万円÷5000万円×100)です。それに対して、賃貸併用住宅の場合、半分の面積を自己居住用とすると、3室分の家賃収入になるので、年間収入は216万円(6万円×3戸×12カ月)となり、利回りは4.32%(216万円÷5000万円×100)です。
この計算は、ローンの支払いや必要経費などを含めない表面利回りです。表面利回りは、年間の家賃収入の総額を物件価格で割った数字であり、土地の取得、建物の建築費用を含め投資をしようとする物件を絞り込むための目安とする収益の指標です。家賃を下げたり、設備投資をしたりすれば、さらに利回りは低くなります。賃貸併用住宅も立派な不動産投資だという認識を持って収支計画を立てることが大切です。
賃貸併用住宅で適正な年収を確保するために
賃貸併用住宅でどれくらいの年収が得られるかは、さまざまな条件により異なります。立地条件が良いか、空室になりにくい物件か、自宅の割合をどれくらいにするか、賃貸する戸数や家賃設定によっても大きく違ってきます。賃貸併用住宅を建てる場合は、まず自己資金や借入額を大まかに決めておきます。そして、家賃相場などの市場調査を行い、どれくらいの年収が必要なのかを逆算して、必要な戸数をシミュレーションしていくと良いでしょう。また、賃貸併用住宅で住宅ローンを組む場合は、総面積の51%以上が自宅部分であることが求められます。収支計画を立てる際には、金融機関選びも大切です。
仮に、賃貸併用住宅を建てようとする周辺の賃貸ニーズが、独身や単身者が高いと仮定した場合、賃貸併用住宅の家賃収入は下記のようになります。
1.家賃設定(25平米1R):6万円(月額)
2.戸数設定:6戸
3.家賃収入(年収):{(家賃)×(戸数)× 12ヶ月}={(6万円)×(6戸)× 12ヶ月}=432万円
上記からローンの返済額、経費、税金を含めた支出を勘案し、どれくらい利益が出るのかシミュレーションすると良いでしょう。
賃貸併用住宅は、マイホームを手に入れたい人にとっては魅力的な選択です。しかし、収益性の面では賃貸のみの一棟アパートの方が優れているかもしれません。表面利回りだけで考えていると、空室が発生した時や、修繕が必要になっただけで赤字になってしまう可能性があります。そうならないためにも、しっかりとした収支計画を立てることは大切です。
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