賃貸併用住宅とは?後悔しないためのメリットやデメリット・注意点について解説

賃貸併用住宅を運営するなら儲けが出るのかどうかというところが、最も気になる点かと思います。

賃貸併用住宅を建設する場合は一般的な住宅を建てるよりもコストがかかりますから、その費用が回収できなければそれを持つメリットが薄れてしまうからです。

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賃貸併用住宅とは

そもそも「賃貸併用住宅」とはどのようなものでしょうか。

これは、住宅の一部に賃貸物件をプラスした建物です。
この住宅のメリットは、家賃収入でローンの返済ができること、ローンの完済後も家賃収入が得られ続けること、ライフスタイルの変化に合わせて住まい形態を変えていけることです。

このようなメリットを持つため、家賃収入でローンの負担を軽減したい方や、将来の家族構成の変化を想定して、賃貸併用住宅を二世帯住宅にしたいというライフプランをお持ちの方から高い関心を集めています。

一戸建てやアパートだけでなくマンションなども賃貸併用住宅として扱われており、一般的な2、3階建てのアパートもあれば、5階建て以上の中高層賃貸マンションの最上階などを自宅にするようなパターンもあります。

賃貸併用住宅と賃貸物件との違いとは

賃貸併用住宅と賃貸物件にはどのような違いがあるのか、見てみましょう。

利用できるローン

賃貸併用住宅は床面積50%以上が自己居住用であれば、賃貸経営をしていても住宅ローンを利用が可能ということが一般論としてあります。
以下の記事で「賃貸併用住宅における住宅ローン控除の方法と必要な書類」について、説明しておりますので、ぜひご覧ください。

一方で賃貸物件の場合は、不動産事業に対する事業融資となりますので、借り入れのできるローンは基本的にアパートローンとなり、金利は住宅ローンより高めに設定されています。

管理方法

賃貸併用住宅の場合、全般的な管理は管理会社に任せるのが一般的ですが、入居者に安心して長く住んでもらえるよう管理面でも配慮していらっしゃるオーナー様も多いようです。
対して賃貸物件は、管理会社に管理をお任せする方が一般的です。

間取り

賃貸併用住宅の場合、将来は賃貸併用住宅から二世帯住宅に変更する、またはその逆など、ライフスタイルの変化を視野に入れて間取りを決める方が多いです。

2階建て物件の場合は1階部分に賃貸物件2~4部屋を作り、2階部分はオーナー様の住まいというパターンが多く、中高層マンションの場合は、最上階をオーナー様の住まいにするパターンもあります。

固定資産税

賃貸併用住宅や賃貸物件に限らず、自宅や賃貸物件の敷地などには固定資産税の軽減措置があります。課税標準額の特例により、1戸あたり土地面積200㎡まで課税標準額が1/6に減額され、所有する土地が200㎡を超えた部分は、課税標準額が1/3に減額されます。

この場合に賃貸併用住宅を建てることで戸数が2つになれば、さらに土地面積200㎡が1/6の減額特例の対象となります。

賃貸併用住宅のメリット

家賃収入によるローン返済

賃貸併用住宅の大きなメリットは、家賃収入をローン返済に充当できることです。 一般的な住宅を建設・購入した場合、ローンは給与などの収入から返済していくことになります。一方賃貸併用住宅では、入居者から得られる家賃収入をローンの返済に充てることができるため、自己負担を軽減することができます。
さらに、ローン完済後は家賃収入が純粋な収益となり、将来の安定した副収入源として活用できます。

住宅ローンの利用が可能

賃貸マンションを建てる際は、通常アパートローンを利用します。しかし、賃貸併用住宅の場合、条件によっては住宅ローンの利用が可能です。
住宅ローンは一般的なアパートローンよりも低金利で借入できるため、多額の資金が必要となる建設・購入時において大きな利点があります。
その一方で住宅ローンの利用には自宅部分の床面積が50%以上といった制限が設けられているため、詳しい専門家に相談するなどして条件を確認しましょう。

節税効果をもたらす

賃貸併用住宅の賃貸部分については賃貸物件としての相続税評価額が適用されます。この評価額は自用地や自宅物件よりも低く算出されるため、結果として相続税の節税効果をもたらします。
さらに賃貸併用住宅の賃貸部分にかかる固定資産税や建物減価償却費などの費用を経費として計上し、青色申告をすることで、所得税の節税効果も得られます。
ほかにも固定資産税の軽減措置などがあり、賃貸併用住宅は税務面でも有利な選択肢といえます。

ライフステージの変化への対応

賃貸併用住宅は、ライフステージの変化に柔軟に対応できる大きなメリットがあります。
子供の成長に合わせて賃貸部分を子供部屋として利用したり、親の介護が必要になった際に同居スペースとして活用できます。また、転勤などの予期せぬ生活変化にも対応しやすく、自宅部分を賃貸に出したり、逆に賃貸部分に住むなど、状況に応じて柔軟な住まい方ができます。
このように、家族構成や生活環境の変化に合わせて住空間を最適化できる点が大きな利点です。

賃貸併用住宅のデメリット

空室リスクがある

賃貸併用住宅の重要なデメリットの一つに空室リスクがあります。
賃貸部分が空室になると、家賃収入が得られず、ローン返済や固定資産税などの固定費負担が重くなります。特に、ローン返済計画が家賃収入を前提としている場合、深刻な財政問題を引き起こす可能性があります。
このリスクを軽減するためには、サブリース会社の利用や適切な物件管理など、様々な対策を講じることが重要です。

入居者トラブル発生のリスクがある

賃貸併用住宅では、オーナーと入居者が同じ建物内に居住するため、入居者トラブルのリスクが高まります。騒音、ゴミ出し、駐車場の使用など日常的な問題から、家賃滞納や契約違反などの深刻な問題まで、様々なトラブルが発生する可能性があります。
これらのリスクを軽減するためには、入居者用と自宅用で入り口を分けるなど設計上の工夫をすることや、管理を外部委託して入居者との直接的なトラブルを回避することが効果的です。

管理や維持に手間やお金がかかる

賃貸併用住宅は、個人の住宅とは異なり規模が大きくなるため、管理や維持に多くの手間と費用がかかります。家賃収入とローン返済のバランスに加え、これらの追加コストも考慮に入れる必要があります。
そのため、建物を建設する段階から収益性の高い物件を目指すことが重要です。
専門家に相談し、正確な収支シミュレーションを行うことで、長期的な視点で安定した賃貸経営を実現していきましょう。

賃貸併用住宅は儲かるのか?

賃貸併用住宅で儲けられるかどうかによって、運用を検討されている方も多くいらっしゃると思いますが、大きく儲けが出る運用法ではないということを覚えておきましょう。

賃貸併用住宅を建設する場合は、一般的にアパートやマンションを経営するよりも、世帯数自体は少なくなるケースが多いのです。

そのためそれほど毎月大きな家賃収入がはいってくるわけではないため、大きな利益を上げることが難しいのです。

しかしながら入居者が確保できている限りは毎月安定した収入が得られますので、それをローンの返済に充当できますし、ローンの支払いが終了すると、それを生活費や老後の資金として蓄えることが可能となります。

わずかではあるかもしれませんが、安定した利益が生み出せる資産形成の方法です。

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賃貸併用住宅の利回り

利回りとは支出と収益の割合のことで、賃貸物件の場合は建築費用や税金、その他もろもろの諸経費を家賃収入で割った金額にて計算されます。

マンションやアパートを経営する場合の一般的な利回りは、8%から10%程度だと考えられていますが、地域事情や坪単価、経営方法などによって大きな差が生じるためそれによって前後します。

賃貸併用住宅ではオーナーの居住スペースと賃貸スペースが共存していることもあり、一般的な賃貸物件ほど高い利回りは期待できないと考えておきましょう。

一般のマンション、アパートの利回りの半分である5%前後の利回りが出せる物件であれば、賃貸併用住宅はある程度安定した経営が見込めると判断していいと思います。

賃貸併用住宅の年収

賃貸併用住宅を経営する場合はどの程度家賃による年収が期待できるのでしょうか。

それは賃貸スペースの世帯数、家賃の価格設定によって年収に差が出てきますので一概には言い切れません。

家賃以外にも敷金や礼金による収入も期待できますが、こちらも入居者の居住サイクルや地域の事情によって収入金額が変動します。

程度の年収を得ることを期待する場合は、最低でもどの程度の家賃収入を得たいかを事前に決めることで、賃貸スペースに必要な間取りや設備、世帯数を決めていきます。

賃貸併用住宅でおすすめな間取りとは

賃貸併用住宅に限らず、賃貸物件で重要なのは空室を出さないことです。
そのためには、物件周辺のエリアの特徴を分析して、周辺にある賃貸物件の入居者層のニーズに合わせた間取り・設備を採用することが大切です。

エリアの特徴が分析できたら、学生・社会人・ファミリーなど想定するターゲットに合わせた間取りを具体的に検討できるでしょう。

賃貸併用住宅では、例えば2階建ての建物で、1階か2階どちらかの階層のすべてを自宅にすることを「横割り」といい、1階と2階の一部を自宅にして、残り部分を賃貸物件にすることを「縦割り」と呼びます。

横割りで1階をオーナー様の自宅した場合は、高齢になっても住みやすく庭も利用できます。しかし、その反面2階の入居者の足音などが気になる場合もあります。
反対に、2階をオーナー様の自宅した場合は、日当たりや眺めが1階より良いことが多いでしょう。

縦割りにした場合は、オーナー様と入居者間の騒音問題対策として有効ではありますが、オーナー様の自宅内に階段を設けなければいけないので、若干空間のロスが生じてしまいます。

双方の構造のメリット・デメリットを考慮し、実例を参考にしながら何を優先するのか考えて間取りを選ぶのがおすすめです。
間取りに迷った際には、以下の記事も参考にしてみてください。

賃貸併用住宅の注意点とは

まず、入居の判断をするのは入居者ですので、入居者の住み心地を優先することは大切です。

例えば、オーナー様の自宅部分の環境だけが優先され、賃貸部分とのクオリティ差がはっきりと出てしまったら、入居者にとって気持ちの良いものではありません。

また、同じ敷地内にオーナー様が居住し、頻繁に顔を合わせることに抵抗がある方は意外に多いものです。
そのため入居者の居室への出入りの際に、お互い気を使わなくて済むようなプライバシーが尊重された設計・間取りになっていることは重要です。

オーナー様と入居者は、ライフスタイルも価値観も違います。
お互いの生活音が毎日聞こえてくるような状況が続けば、ストレスとなってしまいます。
双方がストレスにならないように、居住スペースの防音対策はしっかり行いましょう。

 

賃貸併用住宅は、自宅であると同時に不動産投資です。
家賃収入を安定させ健全なキャッシュフローを構築するためには、上記の点に気を付けて高い入居率を保ちましょう。
また、事業として賃貸経営をしているという点をしっかり認識して、事業計画を立案することが大切です。
そのためには入居者の立場に立った対応を優先しましょう。

賃貸併用住宅は、儲けは大きくないが安定した利益を生む

賃貸併用住宅は家賃収入をローン返済に充てられ、条件を満たせば住宅ローンも利用できます。

賃貸併用住宅には、固定資産税の軽減措置があるため節税対策となることや、ライフスタイルの変化に合わせて住居形態を変えていけるというメリットがあります。

しかし一方では、オーナー様と入居者が近いという点でトラブルの発生が予想されますので、設計・間取りの工夫や防音対策などでしっかりとした対策が必要です。

上記のようなメリット・デメリットを理解した上で選択すれば、土地と住まいを上手に活かすことができる不動産投資ですが、安定した利益は生み出しても他の不動産投資と比較して大きな儲けが出るタイプの投資ではありません。
賃貸併用住宅を購入・建設する前に、そのことを踏まえて検討することが大切です。

また、以下の記事でも賃貸併用住宅のリスクなどについて説明しておりますので、気になる方はぜひご一読ください。

※写真はイメージです
※本記事は、2018年9月以前時点の情報をもとに執筆しています。 マーケットの変化や、法律・制度の変更により状況が異なる場合があります
※記事中では一般的な事例や試算を取り上げています。個別の案件については、お気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

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生和コーポレーション編集部

「すべてはオーナー様のために」をテーマに、土地をお持ちの方の目線で、不動産の有効活用に関連する情報を発信しています。当社の豊富な実績をもとに、税理士や建築士、宅地建物取引士などの有資格者が監修した記事も多数掲載。賃貸マンションの建設・管理から相続や税金の話まで、幅広いコンテンツを公開中。

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会社名
生和コーポレーション株式会社
所在地

西日本本社
大阪府大阪市福島区福島5丁目8番1号

東日本本社
東京都千代田区神田淡路町1丁目3番

会社設立
1971年(昭和46年)4月16日
お問い合わせ・ご連絡先
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