賃貸併用住宅を経営するメリットとデメリット
賃貸併用住宅とは、オーナー様の自宅スペースと賃貸スペースが共存している建物のことを言います。ここでは賃貸併用住宅を経営するオーナー様にとって、どのようなメリットとデメリットがあるのかをそれぞれ解説します。
この記事の目次
賃貸併用住宅のメリット
賃貸併用住宅はひとつの建物に自宅スペースを保有しながら独立した賃貸スペースを併設するため、自宅から家賃収入を得られる点がメリットにあげられます。家賃収入を住宅ローンの返済に充てることで月々の支払い負担を軽減できる上、完済後も賃貸併用住宅の経営を継続することで、家賃収入を生活費の一部として、または老後の貯蓄として活かすことができる点も魅力と言えるでしょう。
さらに賃貸併用住宅は、節税効果がある点も大きなメリットです。家や土地などを保有すると、必ずかかる税金が固定資産税ですが、賃貸併用住宅は200平方メートルまでの敷地部分は、固定資産評価額の1/6を課税標準とすることが認められています。
賃貸併用住宅を相続する場合、賃貸部分については小規模宅地の特例を受けることができるため、自宅部分だけの建物と比べると節税効果が高いと言えます。
さらに、ライフスタイルに合わせて、自宅スペースの間取りを変化(変更)させることができる点もメリットと言えるでしょう。また、一階部分を賃貸スペース、二階部分を自宅スペースとして賃貸併用住宅を経営している人が、両親との同居が必要になった場合、一階部分を両親用の住居スペース、二階部分を自宅スペースというように二世帯住宅として生まれ変わらせることもできます。
賃貸併用住宅のデメリット
賃貸併用住宅ならではのデメリットについても理解する必要があります。
一般的な不動産経営と比較すると、自宅部分があることで賃貸用の部屋が少なくなるため、利回りが低くなってしまう傾向にあります。これは、建築する建物の延べ床面積が同じと仮定して比較した場合です。
また、自宅部分だけではなく賃貸部分の建築費がかかるため、一般的なマイホームを建築するよりも初期費用が高くなります。概ね借り入れる住宅ローン額も自宅のみを建築するケースより多額になる傾向にあるため、利回りを含め収支のバランスに気をつける必要があると言えるでしょう。
賃貸併用住宅は入居者様がいないと当然のことながら家賃収入を得ることはできません。入居者様が途絶えてしまう可能性があることも認識する必要があります。家賃収入の減少によりローンが払えなくなったら、自宅もなくなるリスクがあります。そのためにも建築する土地の特徴、ターゲットを誰にするのかなどを調査して、入居者様のニーズを取り入れ空室リスクに備えましょう。
他にも、賃貸併用住宅ならではのオーナー様居住スペースと賃貸用スペースがある建物の特徴にも、デメリットに繋がる要素があります。それは、自宅部分と賃貸部分が隣接していることから、さまざまなトラブルに発展する可能性があるということです。入居者様の生活リズムの違いによる騒音の問題をはじめ、共用部分である廊下に私物を置いてしまう、バルコニーの使用方法、ペットの飼育などを起因とするトラブルも考えられます。このような場合、共用部分に注意喚起を促す貼り紙をするなど、入居者様への対応に留意する必要があります。ただし、規則やルールを厳格化し、居住者様との関係がギクシャクしてしまっては、かえって日々のコミュニケーションが難しくなってしまう可能性があります。
オーナー様ひとりですべてを解決するのは難しいこともありますから、不動産管理会社に管理を任せるなど、その物件にあった対策をとることでトラブルを回避できるよう、事前によく検討しましょう。賃貸併用住宅にはメリット、デメリットの両面がありますので、これらのことを充分に理解し、賃貸併用住宅の経営に活かしましょう。