賃貸併用住宅の収支計画の立て方
賃貸併用住宅の収支計画を立てるにあたり、どのような収入や支出があるのか全体を把握しておくことは大切です。また、賃貸併用住宅は、自宅のみや賃貸のみの一棟アパートと比較して、どれくらい収入や支出に違いが出てくるのでしょうか。ここでは、賃貸併用住宅を経営する際の収支計画の立て方について説明します。
賃貸併用住宅から得られる収入とは
賃貸併用住宅を建築するにあたり、周辺エリアの家賃の相場や、そのエリアでの賃貸ニーズを元に家賃収入額を把握しておく必要があります。家賃収入を安定して得るためには、空室リスクを減らす必要があるため、そのエリアではファミリーが多いのか単身者が多いのかなど、どのような入居者様が見込めるのかを事前にシミュレーションしましょう。家賃以外に、更新料・共益費・敷金・礼金も受け取りますが、敷金・礼金は基本的にはオーナー様の収入にはなりません。敷金は入居者様が退去したときに返却したり修繕費として使ったりする必要があります。つまり、敷金や礼金を除いた家賃収入が賃貸併用住宅を経営する上で得られる収入と見るべきでしょう。
支出の中で大きな割合を占めるローン返済
一般的に支出の中で一番大きな割合を占めるのが、借入れに対するローンの返済です。賃貸併用住宅の場合、自宅部分の面積が総面積の51%を超えていると、金利の低い住宅ローンを利用できる可能性があります。さらに借入する金融機関によってさまざまなプランがあるので、毎月どれくらい返済しなければならないか、住宅金融支援機構などが公開しているローンシミュレーションを利用して、返済額を把握しておくことは大切です。返済額を算出するためには、総借入額、融資期間を決める必要があります。また、返済方法は、元利均等にするのか、元金均等にするのかを選びます。さらに金利の利率に加え、固定金利なのか、変動金利なのかも確認します。いろいろと条件を変えて比較してみると良いでしょう。
その他の支出として、保険料、管理費、固定資産税などの税金も支払う必要があります。こうした定期的な出費に加え、修繕費や外壁塗装などの大掛かりな出費のためにも蓄えておく必要があるでしょう。
具体的な収支計画を立てるにはどうすればいいの?
ある程度収支が分かったら、実際に住宅金融支援機構などのローンシミュレーションで、長期的な計画を立ててみましょう。では賃貸併用住宅の場合、一戸建て住居(賃貸なし)の場合、一棟賃貸アパートの場合の3通りを想定して比較してみます。仮に、借入金額7000万円(賃貸併用住宅や一棟賃貸アパートの場合)、もしくは借入金額3000万円(賃貸なしの場合)として、借入期間30年、金利1.5%(住宅ローン)もしくは金利4%(アパートローン)、返済方法は元利均等、金利タイプは固定金利、ボーナス返済なしという条件でシミュレーションすると以下のようになります。土地は既に所有している前提で計算してみます。
○賃貸併用住宅の場合
・条件:借入金額:7000万円、金利:1.5%(住宅ローン利用)、 戸数:4戸、家賃:6万円/戸
・結果:家賃収入は毎月24万円、毎月の支払いは約24万円
毎月の家賃収入で、ローンを相殺することができローンの負担が軽減されているのが分かります。
○一戸建て住居(賃貸なし)の場合
・条件:借入金額:3000万円、金利1.5%(住宅ローン利用)
・結果:毎月の支払いは約10万円
家賃収入はないので、毎月10万円のローンを返済しなければなりません。
○一棟賃貸アパートの場合
・条件:借入金額:7000万円、金利:4%(アパートローン利用)、戸数:8戸、家賃:6万円/戸
・結果:家賃収入は毎月48万円、毎月の支払いは約33万円
毎月約15万円の収入を得ることができる計算になります。
この試算では、単純に借入金額と金利だけで計算しており、必要経費や、空室率などは考慮していません。実際には、空室率や減価償却、修繕費などさまざまな要素を考慮して計画を立てることが必要です。
賃貸併用住宅は、家賃収入が得られるため、自宅のみの場合よりもローンの負担が軽減されマイホームを持つ目的では非常に魅力的な選択です。しかし、収益性では賃貸のみの一棟アパートの方が高くなる傾向があります。いろいろなプランでシミュレーションして自分に一番合うプランを探すようにしましょう。