賃貸併用住宅の種類 (アパート・マンション・一戸建て)
マイホームの要素を持ちながら、賃貸スペースから家賃収入も得られるのが賃貸併用住宅です。賃貸併用住宅と言っても、建物の構造には様々な種類があります。以下では代表的な、アパート・マンション・一戸建てタイプの賃貸併用住宅について特徴を紹介します。
アパートタイプについて
アパートタイプの賃貸併用住宅の特徴として、木造や鉄骨造で2~3階建てであることがあげられます。アパートタイプの場合は、1階部分を自宅部分に、2階・3階部分を賃貸用の部屋にするなど、階層によって分けることが多いようです。一戸建てタイプと比較すると賃貸に充てられる部屋数が多くなる傾向にあることから、家賃収入が増える特徴もあります。なお、賃貸併用住宅を始めるにあたり、アパートの規模や条件によっては低金利の住宅ローンの利用が可能で、延床面積の51%以上が自宅部分であることが借入れの際の要件となります。また、住宅ローンを借入れする際の金融機関の審査のポイントは、個人の年収や勤続年数、保険の加入の有無などを主に審査するため、誰でも住宅ローンを利用できるわけではないので注意が必要です。
マンションタイプについて
マンションタイプの賃貸併用住宅の特徴として、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)で4階建て以上の集合住宅であることがあげられます。マンションタイプで賃貸併用住宅を運営する場合、例えば最上階をオーナー様の自宅、1階部分を店舗スペース、それ以外の階を住戸として賃貸するなど、自宅・賃貸・店舗などと組み合わせの幅も広くなるため、居住ニーズ以外にも商用スペースとしてのニーズに応えられるのが特徴です。さらにマンションタイプの賃貸併用住宅は、防音・防火などの観点からグレードの高い賃貸部屋を提供することができるため、相対的に高めの家賃設定が可能となり、賃貸部分を多くすることができることと相まって、アパートタイプより家賃収入を多く得ることができます。その結果、安定した高い収益があげやすいと言えるでしょう。一方で、建築費や容積率・建ぺい率の高い土地の取得、修繕費などの建物の維持費も、他のタイプの賃貸併用住宅と比べるとかかる傾向にあります。一定の家賃収入が見込めるのかを判断するためにも、立地調査を行うのはもちろんのこと、収支計画を綿密に行う必要があるでしょう。なお、アパートや一戸建てタイプと比較して規模が大きなマンションタイプの場合、通常はアパートローンと言われる事業用ローンを組むことになります。アパートローンの借入れには、事業として利益があげられるのかといった事業性、物件の担保力、オーナー様の収入・保有資産・借入れ履歴などの属性も厳しく審査されます。
一戸建てタイプについて
一戸建てタイプの賃貸併用住宅は、いわゆる一軒家をイメージするとわかりやすいでしょう。オーナー様の居住スペースを1階、賃貸スペースを2階と階数によって居住空間を分けたり、1戸の住宅を2つに分け、それぞれが1階と2階を持つ長屋構造が考えられます。また、時間の経過によって子どもが独立したため部屋が空いた、二世帯住宅として建築したもののニーズがなくなったなど、オーナー様のライフスタイルの変化に合わせて空いているスペースを有効活用するために、これまでオーナー様の居住スペースのみだった一戸建てを、賃貸併用住宅にリフォーム・リノベーションするといったパターンもあります。
一戸建てタイプの賃貸併用住宅は、構造上、賃貸スペースがやや少ないため、その分家賃収入が低くなる傾向にあります。また、オーナー様と入居者様との居住区分が曖昧になりやすいことから、居住スペースの区分はもちろん、玄関や廊下、ベランダといった共用部分についても明確に分けるといった配慮も必要になるでしょう。
賃貸併用住宅を一戸建てタイプで新築する場合は、他のタイプと同様に賃貸ニーズに合った間取りの賃貸スペースを設けることが重要です。しかし、他のタイプの賃貸併用住宅と比べて、入居者様とより近い距離で生活することを考える必要があります。入居して欲しい具体的な入居者様を想定した上で、オーナー様の家族構成やライフスタイルに合わせた間取りや建物のデザインを検討すると良いでしょう。
賃貸併用住宅の経営を始めるにあたって、オーナー様の収支計画やライフスタイルに合わせて建物の種類を決める必要があります。建物の構造によって特徴に違いがあるため、それぞれの良い点、注意すべき点を理解し、ご自身にあった賃貸併用住宅の運営をすることが重要であると言えるでしょう。