
不動産を購入するために使えるローンは、目的に合わせてさまざまな種類に分かれていますが、その中にアパートローンと住宅ローンという、似たような名称のローンがあります。
実は、この2つのローン、名称は似ていますがまったく異なる目的に利用されるものです。
今回は、これから住宅を購入しようとしている人やアパート経営・マンション経営を考えている人に、アパートローンと住宅ローンの違いについて説明します。
この記事の目次
アパートローンとは
アパートローンとは、一般的にアパートやマンションなどを、投資用などの自己の居住以外の目的で購入・建築する際に利用できるローンを指します。集合住宅を一棟まるごと購入する場合にも、一室(区分所有権)だけ購入する場合にも利用することができます。
購入資金以外にも、アパート・マンションの建築資金、リフォーム資金、現在所有しているアパートなどの底地買取資金、以前に借り入れたアパートローンの借り換え資金などとしても利用することができるなど、幅広い用途に使えるローンです。
基本的には、満20歳以上の個人が融資対象ですが、条件次第では不動産管理会社が利用することもできます(実質的に個人と見なすことができるなど)。
銀行・信託銀行・信用金庫・JAバンク・ノンバンクなど数多くの金融機関が取り扱っています。
住宅ローンとは
住宅ローンは、借り入れる本人と家族、または借り入れる本人の家族が住むための住宅および付随する土地を購入する際に、金融機関から受ける融資のことです。新築の際だけでなく、中古住宅の購入や以前に借り入れた住宅ローンの借り換えなどにも使うことができます。
住宅ローンは、民間の金融機関による融資と、住宅金融支援機構などの公的機関による融資があります。特に、民間の金融機関が行う融資にはさまざまなプランが用意されているので、自分に合った条件のものを探す必要があります。
基本的には、満20歳以上の個人(上限は金融機関によって異なります)が融資対象となります。そのほか借り入れの条件として、年収や勤続年数、健康状態、保険加入の有無などが審査対象となります。
アパートローンと住宅ローンの違い
アパートローンは、投資用あるいは商業用不動産に必要な資金を融資するローンで、住宅ローンは、自分や家族が居住する不動産に必要な資金を融資するローンということになります。住宅ローンは、基本的に投資用不動産には使えないので注意してください。
一口にアパートローン、住宅ローンといってもさまざまな種類、条件があるので、資金が必要なときにいくつかの金融機関に断られたからといっても諦めることはありません。根気よく、引き受けてくれる金融機関を探すことが大切です。
このようにアパートローンと住宅ローンはどちらも金融機関の融資商品ですが、ローンの対象となる物件の性質が違いますので、当然金利・借入期間も違ってきます。
住宅ローンの場合は、該当者が居住することを前提に組まれているので、一般的に投資が目的のアパートローンより金利は低く設定されています。
そして、アパートローンは主に対象物件の市場価値などを判断して条件設定されますが、一般的には住宅ローンより高い金利設定です。
金利は不動産投資のキャッシュフローに大きな影響を与えますので、慎重な資金計画を組むことが大切です。
アパートローンと住宅ローンの併用は可能か
これまで述べたように性格の違う2つのローンですが、併用することは可能なのでしょうか?
具体的には、住宅ローンを抱えた状態で不動産投資のためのアパートローンを組むことが可能なのかを検証します。
住宅ローンを抱えた状態で、アパートローンを組んで不動産投資をすることは可能です。貸し付ける金融機関側から見ると、住宅ローンとアパートローンでは返済のための原資がまったく別なので、問題はないという理由があるからです。
詳しく説明していくと、住宅ローンの場合、金融機関は本人の返済能力に対して貸出を行います。そこで重要視されるのは「勤務先」といった属性です。勤務先の給与支払い能力が高ければ高いほど、住宅ローンは組みやすくなります。
一方で、アパートローンは金融機関によって違いはあるものの、投資対象の不動産物件の収益性と担保価値が、貸付のためのもっとも大きな判断材料です。空室の不安が少ないような立地などの条件であれば、本人の返済能力以前にその物件がしっかりと家賃収入を獲得し続けます。
ただし、いくらアパートローンとはいえ、本人の資産状況も重要です。
資産家であれば金融機関にとっては不安材料がないため、一般的にローンは借りやすくなります。
また、総じてアパートローンは住宅ローンより高金利で融資期間が短くなっています。もし併用する場合は、途中でキャッシュフローが厳しくならないように十分な注意が必要です。
住宅ローンからアパートローンへの借り換えは可能か
前述したように、住宅ローンとアパートローンの併用は可能ですが、住宅ローンからアパートローンへの借り換えは可能なのでしょうか。
住宅ローンは、あくまでも借主本人が該当物件に住むという条件のもとで貸出されていますし、ローン契約時の書面にも使用用途が明記されているはずです。アパートローンとは使用目的がまったく違うため、一般的に金利も借入期間もアパートローンより好条件です。
あまり一般的ではありませんが、住宅ローンからアパートローンへの借り換えは可能です。
具体的な例を挙げると、相続などで自宅以外の住宅を取得し、その住宅に転居するケースが考えられます。このときに住宅ローンの残った自宅を賃貸に出すことになったとします。
この場合、住宅ローン契約書に記載した内容に変更が生じるので、速やかに金融機関に連絡する必要があり、原則的にローンは住宅ローンからアパートローンに変更となります。
このときに注意しなければならないのは、自宅が賃貸物件となった場合、もちろん家賃収入は得られるようになりますが、同時に管理費・修繕積立費・税金といった支出も発生することです。
ローンの借り換えと同時に不動産投資がスタートするわけですから、収入・支出両面からアプローチした事業計画が必要になるのです。
また、住宅ローンの借り換え時に違約金が発生することは現状ほとんどないようですが、アパートローンの借り換え時には金融機関へ違約金が発生する場合もあるようです。 借り換えを行う前に、契約書面をしっかり確認しましょう。
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アパートローン、住宅ローンの金利の違いとは
それでは、ここでアパートローンと住宅ローンの金利の違いについて見ていきましょう。
住宅ローン
住宅ローンの金利には変動型と固定型があります。
変動型の場合、金利は半年ごと、返済額は5年に1度見直しされます。当初の金利は低めに設定されていますが、見直しによって将来的に金利や返済額が上がるリスクがあります。
また、金利が低い時代にはメリットは大きいですが、金利が上昇した場合はそれに伴って返済額も増加します。
固定型は、全期間固定型と固定期間選択型に大別されます。
全期間固定型は返済中の金利が事前に決められたタイプのローンです。返済計画が事前にしっかり組み立てられるので、将来的なライフプランが立てやすいという大きなメリットがあります。
そして、固定期間選択型は金利が固定になる期間を選択できるタイプです。金融機関によって多様な設定があり、固定金利の期間終了後は変動型・固定期間選択型のいずれかを選べる商品が多いようです。
アパートローン
アパートローンの場合も、金利は上記と同じく変動型、全期間固定型、固定期間選択型から選べます。
アパートローンを選択する際にもっとも注意しなければいけないのは、基本的に住宅ローンと比較して借入期間が短く、金利も高めに設定されている点です。
ただし、アパートローンでも新築の場合や物件によっては長期の借り入れが可能になりますので、ローンを検討する際にはしっかりと確認しましょう。
家賃収入とローン・管理費・積立修繕費・税金など各種支出の両方をトータルで冷静に把握し、健全なキャッシュフローが築けるか否かを見極めた事業計画を立てることが大切です。
また、どちらのローンも手数料が必要ですので、ローンを組む際はこういった諸経費を含めた資金計画が大切です。
アパートローンの金利相場
アパートローンの金利は金融機関によって大きく異なります。また、ローン内容や信用力など、複数の条件によっても変わりますので注意が必要です。
金融 機関 |
都市銀行 地方銀行 |
信用金庫 信用組合 |
ノンバンク | 日本政策金融公庫 | JA(農業協同組合) |
---|---|---|---|---|---|
金利 相場 |
1.0〜2.0% | 2.5〜5.0% | 3.5%〜 | 1.1〜2.0% | 2.0%〜 |
関連リンク:アパートローンの金利相場と返済シミュレーション|メリット・デメリットについてもご紹介
アパートローンを低金利で利用するポイント
実績が豊富な建築会社に相談する
実績豊富な建築会社は数多くの金融機関と提携しており、金融機関の情報も豊富に有しています。
金融機関の側も、建築会社との間のこれまでの信頼関係も加味して融資の審査を行うことになるので、一般の融資申し込みと比べて、有利な条件を提示してくれる可能性があります。
そういった建築会社を通して提携先の金融機関を紹介してもらえれば、より優遇された金利条件での借り入れや、スピード感ある融資の審査が受けられるケースもあるでしょう。
そのため、アパートローンを低金利で利用したいと考える場合にはまずは建築会社などに相談してみるとよいでしょう。生和コーポレーションでもアパートローンの融資実績が豊富な金融機関を紹介可能です。
固定金利を選択するか変動金利を選択するか慎重に判断すること
近年の日本では低金利政策がとられ、歴史的な低金利の時代が続いていました。
低金利が続いている状況では、固定金利よりも変動金利のほうが金利が低くなりますので、アパートローンを低金利で利用したいと考え、変動金利を選択するケースが多くみられました。
しかし、2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除したことから、ローンの金利も徐々に上昇しつつある状況です。
ですから長期間の借り入れを予定しており、今後の金利上昇リスクを重視する人は、固定金利の選択を視野にいれることをおすすめします。
一方で、金利が上昇しつつあるとは言え、現時点ではまだまだ変動金利の方が有利な状況ではありますし、日本の経済状況を考えると今後の利上げの動向も未知数です。
ですから、比較的短期間の借入を予定している人や目先の金利の低さを重視する人には、変動金利での借り入れを検討する余地もあります。
ただしこの場合には、金利の動向によっては固定金利への借り換えを検討する必要が生じる可能性もありますので、金利の変動を注視していくことを忘れないでください。
このように固定金利または変動金利を選択する際には、お客様の状況に応じて、生和コーポレーションが提携する専門家が適切なアドバイスを提供させていただきます。
融資の審査対象として重視される自分の属性の強みを理解しておく
融資の審査では、「融資した資金がきちんと回収可能かどうか」という視点から、さまざまな個人属性の評価とともに、融資対象となる土地や建物といった不動産の資産価値や事業計画の評価を行います。
過去の年収や職業、勤務先、勤務年数、他の借り入れやこれまでに滞納の実績がないかなどを確認し、今後の返済滞納のリスクを評価します。
これらを評価した結果、貸し倒れのリスクが低いと判断されれば、金融機関にとっては条件のよい融資先となりますので、その分低い金利が提示されることになります。
ただし土地のオーナーなど、すでに不動産を所有している場合には、これらの中でも土地の担保余力と事業計画が特に重視されます。
担保余力の高い土地を所有している場合には、有利な条件で融資を受けられる可能性が高いことを理解しておくとよいでしょう。
アパートローンの返済実績がある場合は実績をアピールすること
今までにアパートローンを借り入れて、返済してきたという実績がある場合には、その返済実績を示すことで、審査対象の物件以外にも返済のすすんでいる不動産を所有している事実をアピールできます。
先ほども説明したように、金融機関は資金の貸し倒れのリスクをいかに低くするかを重視して融資の条件を決定します。
したがって、これまで滞りなくアパートローンの返済を継続してきたという実績は、金融機関にとっては信頼できるポイントです。
さらに、審査対象の物件以外にも不動産を所有しているという事実をアピールできるので、新たにアパートローンの借り入れを行う際の条件交渉に有利に働くでしょう。
精密な事業計画書の作成
長期にわたり確実にアパートローンの返済を続けていくためには、当初に想定した事業計画から大幅に逸れることなく、収益が実現していくことが重要です。
そのため、金融機関が融資の可否や条件について判断する際には、事業計画書は重要な資料として扱われます。
- 家賃の設定や入居率の見積もり判断は、近隣の相場や類似する物件などと比べて合理的な範囲であるか
- 事業の収益性の高さ、コストの適切な見積もりに問題はないか
- 返済計画に無理はないか
- 今後の事業計画が長期的視野に立って無理なく作成されているか
これらの内容がしっかりと織り込まれ、豊富な借上実績があり、信頼性の高い会社が作成した説得力ある事業計画書であれば、金融機関の融資について有利に働きます。
ですから事業計画書を作成する際には、実績のある建築会社に相談することが大切です。
頭金を用意し、自己資金の割合を増やす
アパートローンを利用する際には、必要額の1~2割程度を頭金として、残額の借入を行うのが一般的です。
この際に用意できる自己資金の額が多ければ多いほど、金融機関からの信用力は増すと考えられます。
金融機関は融資先のリスクに応じて融資条件を決定しますので、より有利な条件での借り入れが可能になります。
関連リンク:アパートローンを活用した相続税対策とは
アパートローンの利用の流れ
アパートローンの利用の流れを簡単に説明します。
- 融資の相談
- 仮審査
- 融資の申し込み
- 本審査
- 融資決定・契約
- 融資の実行
融資の実行と同時に、所有権移転や抵当権設定などの手続きも行われるのが通常の流れです。
融資の審査にかかる期間は、1カ月前後が一般的ですので、期間的な余裕を持って申し込むことをおすすめします。
住宅を購入する際の流れは以上ですが、新たに建築する場合には、契約、着工、中間、竣工など複数回に分かれて支払が生じます。
その際の融資の実行日は、建物が完成した竣工日です。
建物完成までの間はつなぎ融資を活用して必要な資金を用意することが一般的ですが、つなぎ融資は抵当権の設定をせずにする融資のため、金融機関側がリスクを負う分、融資の審査が厳しくなり、金利も高くなるので注意が必要です。
アパートローンの審査のポイント
最後に、アパートローンの審査のポイントについて簡単に説明します。
アパートローンの審査では、
- 計画地の担保価値
- 計画の収益性
- その他の資産背景
- 頭金
- これまでの実績
- 本人の属性
などが重視されます。
このようにアパートローンの審査においては、計画地の担保価値が非常に重視されます。
融資の実行の際には担保となる土地に抵当権が設定され、返済が滞れば抵当権が実行されて、金融機関はそこから返済を受けることになるからです。
また賃貸物件の収益性は、不動産の立地条件や築年数、建物の構造、入居候補者となるターゲット層などによって大きく左右されますので、精密な事業計画書の作成によって計画の収益性の高さをアピールすることも大切です。
その他の資産背景や頭金の大きさなども、信用力を評価するための参考となります。
すでにアパート経営の実績がある場合には、今後の経営状況についての信頼度が増すとともに、他にも担保価値のある資産を所有している証明として有利に働くでしょう。
本人の年収や勤務先、資産状況、頭金の有無なども、アパート経営に不測の事態が生じた際の貸し倒れのリスクを低減させるための判定要素となります。
関連リンク:アパートの融資を受けるにはどうしたらいい?審査の流れや条件を徹底解説!
長期的なライフプランを見据えたローン選択が必要
アパートローンは不動産投資のために組むローンで返済の原資は家賃収入です。したがって、審査の際は該当物件の立地や収益性の事業計画などが大きく考慮されます。
一方で、住宅ローンは住居を取得するためのローンで、返済の原資はサラリーマンでいう給与所得です。借入主の支払い能力が審査を大きく左右します。
ローンを組む目的が違うため、投資のためのアパートローンは一般的に借入期間が短く金利も高めです。
また、住居として住宅ローンを組んで購入した不動産を相続などの事由で賃貸に出す場合は、金融機関に連絡してローンをアパートローンに変更する必要があります。
どちらのローンでどの金利タイプを選択するにしろ、将来的なライフプランに影響が出ないようにしましょう。
そのためには、堅実なキャッシュフロー計画を立てることが大切です。
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よくあるご質問
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